ダンテ『神曲』地獄篇第1歌でボキャブラ・アップ:第18連句

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学び
【C.H.Sisson英訳】
She weighed down so heavily upon me
With that fear, which issued from her image,
That I lost hope of reaching the top of the hill.
【Mark Musa英訳】
This last beast brought my spirit down so low
 with fear that seized me at the sight of her,
 I lost all hope of going up the hill.
【野上素一和訳】
その獣が見る者に与える恐怖のために
私ははなはだ思い悩んだあげく
ついに丘の頂上をきわめる望みを捨てた。
【平川祐弘和訳】
それを見た時恐怖のあまり
 度を失い、
 私は丘にのぼる望みを捨てた。

【語句】
weigh=(人・心の上に)重荷となってかかる、圧迫する。
issue=(血・煙などを)出す、発する。
seize=(~を突然ぎゅっと)つかむ、握る、捕まえる。いきなり力づくでつかむ。
 seize the day=carpe diem(カルペ・ディエム、この日をつかめ。)
 take=「ものを取る」の最も一般的な語。
 grasp=しっかりと握る。
at the sight of=~を見て。

【解説】
 ダンテに先立つ「霊界物語」として、ギリシア文学にはホメロスの『オデュッセイア』第11歌にギリシアの英雄オデュッセウスが自分の未来の運命を知ろうとして、妖女キルケーの勧めで冥府に下る話があり、プラトンの対話編『ゴルギアス』524aにも地獄へ下降する男の物語があります。ラテン文学としては、ウェルギリウスの『アエネイス』第6巻に主人公アエネイスが父親に会うために冥府に下降する物語があります。中世に入ると、初期キリスト教文学に次のような彼岸の世界旅行の物語が続々生れています。
「世界が出来てから千年経った時、神の火が邪悪なものを焼き払い、悪への誘惑者である悪魔は火と硫黄の池に投げ入れられた。神は純白の玉座に座り、天のエルサレムは宝石や水晶のように不滅の光を放って輝いていた。この聖都には十二の城門があり、十二人の天使によって守られていたが、城壁は四重に築かれ、その材料は宝石であり、高さは一万二千スタディウム(1スタディウム=606フィート)、その厚さは百四十四キュビト(1キュビト=18インチ)であった。」(『聖ジョヴァンニの黙示録』)
「蜜、乳、油、ぶどう酒なる四種類の川に取り巻かれた四つの都があり、そこに四つの異なる階級の人が住んでいた。・・・都の中央に玉座があり、側に冠と衣が置いてあったが、ここに座るのを許されるのは生前謙遜な生活を営んだ人に限られていた。これは天国界の有様であるが、地獄界では火の河が流れ、生前不信仰な生活を営んだ人が、罪の重さに応じて、あるいは膝まで、あるいは首まで浸けられていたが、浸けられる回数も不信仰な行為を犯した回数に比例していた。それを眺めた聖パウロは涙を流し、天使に戒められた。・・・その外の血の井戸の中には姦通者、色欲者が入れられ、火の柱には白衣を着せられた嬰児殺しの女や黒衣を着せられた不品行の女が縛り付けられていた。地獄界の一番奥には竪井戸の底にタルタロという場所があり、井戸には七つの封印が貼ってあって、中にはヒューマニストと奇跡否定者が閉じ込められていたが、隙間から猛烈な悪臭が洩れていた。」(『聖パウロの黙示録』)
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