【C.H.Sisson英訳】
First set those lovely things in motion; and this,
With the hour it was, and the delightful season,
Gave me reason to entertain good hope
【Mark Musa英訳】
the day Divine Love set their beauty turning;
so the hour and sweet season of creation
encouraged me to think I could get past
【野上素一和訳】
その美しいものを動かしはじめた時すでに
いっしょだった星を伴って昇っていた。
だが時刻もよく季節もよかったので
【平川祐弘和訳】
太陽とともにあったあの星々であった。
この朝という時刻もこのさわやかな季節も、
毛並鮮やかなこの豹を
【語句】
lovely=(目も心も惹きつけるような)美しい、可愛らしい、快い。愛情を誘うような「愛らしい」。
beautiful=「美しい」を意味する、最も一般的な語。
handsome=通例、「顔立ちのよい」男性に用い、女性に用いた場合には「立派な体つきでりりしい」。
pretty=(子供・女性・小さなものなどの)見た目などの「かわいい」、可憐な。「美しい」というより、見たり、聞いたりして魅力的なものに言います。
good-looking=男女共に用いられ、handsome, prettyとほぼ同義。
set~in motion=(機械などを)始動させる、(物事を)始める。
delightful=(人に大きな喜びを与える意味で)楽しい、愉快な、快適な。
delighted=自分自身が大きな喜びを感じている。pleasedより意味が強いです。
reason=ある行動をしたり、信念などをもつようになった理由、動機。
cause=(結果を生み出す)原因。ある結果・行動を引き起こす、直接の原因となるもの。cause and effect「原因と結果」(因果)、first cause「第一原因、原動力」。
entertain=(感情・意見・希望などを)抱く。
sweet=気持ちよい、楽しい、快い。
encourage A to do=A(人)を~するように元気付ける、励ます。
past=(場所・人など)を通り過ぎて。
さわやかな季節=さわやかな春という季節。
【解説】
ダンテが生まれたのは1265年、太陽が双子宮を伴って昇り、没した頃(5月18日~6月17日)であり(その他の証拠も考慮に入れて、ダンテ誕生は5月末と見られています)、当時の占星学によると、双子宮の星の下に生まれた人は、文筆や科学や哲学などの分野で叡智を授けられると信じられていました。ダンテはこの星の下に生まれたことを誇りとしていたようで、地獄界第7圏に恩師の碩学ブルネット・ラティーニを登場させ、「君は君の星に従って進むなら、現世で見立てた私の眼に狂いがなければ、間違いなく栄光の港へ着けるはずだ」(地獄篇第15歌)と語らせており、また、天国界の双子宮に達した時、自ら「おお栄光の星よ、大いなる力に満ち満ちた光よ、私の才はそれが何であろうとも、全て汝から出たものであることを認めよう」(天国篇第22歌)と語っているのです。あるいは地獄篇、煉獄篇、天国篇のいずれも最終歌の末節は「stella」(星)という言葉で結ばれており、占星学的な知識が背景にあることが見て取れるでしょう。