ダンテ『神曲』地獄篇第1歌でボキャブラ・アップ:第12連句

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学び
【C.H.Sisson英訳】
And somehow it managed to stay in front of me
In such a manner that it blocked my way so much
That I was often forced to turn back the road I had come.
【Mark Musa英訳】
And, everywhere I looked, the beast was there
 blocking my way, so time and time again
 I was about to turn and go back down.
【野上素一和訳】
私の面前に現われ、立ち去ろうとせず
立ちふさがって私の前進をひどくじゃました。
そこで私は引き返そうとして幾度もふり向いた。
【平川祐弘和訳】
面と向かいあったが立ち去りもせず、
 逆に行手をさえぎろうとするから、
 引き返そうかと私は幾度も後ろを振り返った。

【語句】
somehow=どういうわけか、なぜか。
manage to do=どうにかして~する、うまく~する。
force=(人に)強いて~させる。(人に~させることを)余儀なくさせる。compelより意味が強く、人の意志に反して、または抵抗を排除して、人に無理にあることをさせる。
 compel=権威とから抵抗しがたい力によって、あることを無理にさせる。
 impel=強い欲望・動機・感情などによって、ある行動に駆り立てる。
 oblige=止むを得ず、人にあることをさせる。(人に~する)義務を負わせる。
beast=動物、(特に大きな)四足獣。この意味ではanimalの方が一般的だが、寓話ではよく用いられます。
time and (time) again=time after time、再三再四。
be about to do=今にも~しかけていて。be going to doよりもbe on the point of doingよりも「今にも~しようとしている」の意を明確に表わします。したがって、tomorrowなどの副詞句は用いません。

【解説】
 ダンテは『神曲』の詩が出来ると、ヴェロナのカングランデ(カン・フランチェスコ)の宮廷へ行き、多くの人の前で読んだようですが、そのため、『神曲』の詩を世間の人がすっかり憶えてしまい、それを町中で口ずさむこともあったそうです。ダンテがある時、1軒の鍛冶屋の前を通りかかると、中から彼の詩の1節を間違った調子で吟じるのが聞こえました。そこで、怒ったダンテは店の中に飛び込んで、そこにあった道具を叩き壊すと、鍛冶屋は怒って「おい、私の物を壊すな」と叫ぶのですが、それに対して、ダンテは「お前は私の物を壊したじゃないか」と答えたそうです。あるいは、ダンテが北イタリアのアディジェ川の土手を歩いていると、一人の女性に出会いましたが、彼女が他の女性に向かって、「ごらんなさい、あの人は時々地獄界に降って、そこのニュースを持ってくるのよ」と言うと、もう一人の女性は答えました。「ああ、それだからあの人の鬚は黒いのね。地獄界の煙が黒くするのね」。
 さらにダンテが没してから数日後に息子達と友人が遺稿の整理を行なっていますが、彼らは「天国篇」の原稿がすでにカングランデに送り届けられていることは知っていたものの、最後の13の歌がどうしても見つかりませんでした。しかし、それから8ヶ月してヤコポの夢の中に光り輝く白衣のダンテが現われ、ヤコポの手を取ってダンテの寝室へ連れて行き、羽目板を指し示して消えました。果たして、そこで探していた13の歌が発見されたのです。
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