ダンテ『神曲』地獄篇第1歌でボキャブラ・アップ:第7連句

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学び
【C.H.Sisson英訳】
Then my fear was a little put at rest,
Although it had lain in the pool of my heart throughout
The night which I had passed in that pitiful state.
【Mark Musa英訳】
And then only did terror start subsiding
 in my heart’s lake, which rose to heights of fear
 that night I spent in deepest desperation.
【野上素一和訳】
そのとき私の恐怖はややすこししずまった。
それは夜の間じゅう心の洞にとどまって
私をたいそう苦しめていたものだった。
【平川祐弘和訳】
するとあわれなさまで過ごした夜を通し
 私の心の奥にわだかまっていた不安も
 少しはしずまってきた。

【語句】
at rest=安らいで、安静となって、安心して。
 set a person’s mind (fear) at rest=人の心(不安)を静める。
lie=(自動詞)横たわる、ある。lay(過去形)、lain(過去分詞)。
 lay=(他動詞)横たえる、置く。laid(過去形、過去分詞)。
pool=(意識、静けさなどの)深み、たまり。
pitiful=かわいそうな、哀れな。
 pity=哀れみ、同情。自分より劣っていたり、弱い立場にある人に対する哀れみの気持ちを表わすことが多いです。
 sympathy=相手の悲しみ・苦しみを理解し、共に悲しんだり、苦しんだりする気持ちを表わします。
 compassion=通例、積極的に相手を助けようとする気持ちを含みます。
pass=(時間などを)過ごす、つぶす。
state=状態、有様、様子。「状態」を表わす最も一般的な語で、人・事物とそれを取り巻く状況とのあるがままの状態。
 condition=ある状態や事情を作り出した原因や環境とその人・事物との関連を強調します。
 situation=人・事物とそれを取り巻く状況との相互関係を重視します。
terror=身がすくむような、しばしば長時間に及ぶ、激しい恐怖。
subside=(建物が)平常の位置より下がる、(地面が)陥没する、(船が)沈没する。
rise to=そびえ立つ、(水面に)浮かび上がる。
fear=危険・苦痛・脅迫などによる「恐れ・不安」を表わす、最も一般的な語。
desperation=自暴自棄、やけ、いらいらしている状態。
spend=(時・休暇などを)過ごす。
心の洞=中世医学では、心臓の中に洞があって、そこに血が蓄えられていると考えられていました。

【解説】
 ダンテは『神曲』を当時の国際公用語たるラテン語で書かず、女性や子供にも分かるようにとトスカナ方言で書きましたが、これが近代イタリア語の基礎となりました。この点、ルターのドイツ語訳聖書が近代ドイツ語の基礎となったことに通じると言えます。イギリスでも欽定訳聖書が近代英語の原点です。
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