勉強のコツ⑨:学力の本質は「論理的思考力(logical thinking)」にある

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 「英語の勉強は単語の暗記から」「最終的に英語力はボキャブラリー(語彙=使いこなせる単語・熟語の量)で決まる」とはよく言われることですが、ここには隠れた大前提があります。それは「個々の知識を体系化する力」、すなわち「論理的思考力」が必要とされているということです。いろいろな糸(素材)をたくさん集めれば、きれいな服をたくさん作ることができますが、ただ集めただけではダメで、それらを編まないと服にはならないわけです。この編み棒(あるいは織機)に相当するのが「論理的思考力」なのです。英語でもある文章を読む時に最も困難が生じるのは、個々の単語・熟語の意味が分からないケースではなく(辞書で調べればおしまいです)、文法事項が分からないケースでもなく(文法書で確認すればおしまいです)、「個々の単語・熟語も文法も分からない所はない、でも全体の意味が分からない」というケースなのです。
 例えば、「I is ninth.」という短い3単語からなる文章を見た時に、どう理解するでしょうか?「I」は「私」、「is」は「です」、「ninth」は「9番目の」ですから、中学生でも知っている単語です。ですから、「私は9番目です」という意味かなあと思って、「9人兄弟で9番目なのかな」「順番に並んでいて9番目に立っているのかな」などといったイメージが湧くことでしょう。ところが、文法を知っている人であれば、「でも、それならI am ninth.になるはずだ」とすぐに疑問に感じます。この文法の知識も「3単現(3人称単数形現在)のs」に該当するもので、やはり中学校1年の英語の学び始めに覚えます。「何か変だなあ~」と感じるところですが、ではこの文章が文法的に間違っていないとしたらどうでしょうか?まさしく、「個々の単語・熟語も文法も分からない所はない、でも全体の意味が分からない」というケースですね。
論理的に考え詰めると、結論はどう考えても「このIは私ではない」ということになります。すなわち、「Iは9番目です」ということです。では、これは何を意味するのでしょうか?「誰がどう見ても納得するただ1つの答え」とは「IはアルファベットでA, B, C, D, E, F, G, H, Iと9番目に来る」ということです。ここまで読んできてピンと来る人は、「論理的思考力」の本質をつかんだ人です。
 実は、この「誰がどう見ても納得するただ1つの答え」こそが英語でも数学でも国語でも試験で問われていること(客観的問題)なのです。「人の数だけ答えが存在する」ような問題(主観的問題)は学力試験では問うことができません(それをするとしたら「人間性」を見る小論文か面接ということになります)。学力試験は「能力の差」によって「落とす人を決める」ために行なうのですから(「定員割れ」していれば、全員入れるしかありません。「試験の本質」は「落とすこと」にあるのです!)、客観的に1つの答えに決まる難しい問題を出して、どれだけ解答に迫れるかを「能力(論理的思考力)の差」として評価するわけです。つまり、このことに気付けば、英語も数学も国語も全て伸びるということになります。英語ではある英文を読ませて(英語の主戦場は英文解釈にあります)、「あるテーマに関して筆者はどういう論拠を元にどこまで論理展開をして、どういう結論に至ったか」を問題という形式で問いますし、数学ではある問題に対して1つの答えにどれだけ迫れるか、国語では評論(国語の主戦場はここです)などを読ませて、「あるテーマに関して筆者はどういう論拠を元にどこまで論理展開をして、どういう結論に至ったか」をどれだけ把握できたかを見るのです。したがって、基礎的な知識を吸収している段階(素材をそろえる)を過ぎれば、どの科目も「論理的思考力」(個々の知識を体系化する能力)が問題になるのであって、英語・数学・国語といった主要科目でどれかが極端に苦手ということは本来あり得ないということが分かるでしょう(「学力の本質」が「論理的思考力」にあることに気付かなければ、科目ごとに個々の知識の寄せ集めがあるに過ぎません)。
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