「マニュアルを渡したのに、また同じことを聞かれた」
そんなとき、説明する側は「前にも伝えたはず」と感じるかもしれません。
ただ、質問が繰り返される理由は、覚えていないからとは限りません。手順は書いてあっても、いつもの流れから外れたときの判断が書かれていないことがあります。
今回は「担当者が不在だった」という場面を例に、手順書に何を足せばよいかを紹介します。
※以下は説明用の架空の例です。実際の顧客事例ではありません。
■「担当者に確認する」だけでは、止まる場面がある
問い合わせの受付マニュアルに、次の一文があるとします。
「内容を記録し、担当者に確認してから回答する」
担当者がいれば、進められそうです。ところが、不在だと疑問が出てきます。
・代わりに誰へ確認すればいい?
・返事が来るまで、何をしていい?
・相手には、何と伝えればいい?
経験者は、普段のやり取りから判断できます。一方、新人にはその前提がありません。
この場合、必要なのは「マニュアルをよく読んで」という説明よりも、不在時に使える分岐です。
■書き換え例:不在時の動きを決めておく
【変更前】
担当者に確認してから回答する。
【変更後】
01|受付内容を記録する
問い合わせの要点、相手の回答希望日時、連絡先を、社内で定めた管理先に記録する。不明な項目は推測せず「未確認」とする。
02|確認先を決める
担当表の一次担当者へ確認する。不在の場合は、担当表に記載した代替担当者へ確認する。代替担当者も不在なら、受付責任者へ引き継ぐ。
03|回答できる範囲を分ける
受付した事実と、内容を確認中であることは伝えてよい。未承認の対応内容や回答期限は、その場で約束しない。
04|返答がない場合の扱いを決める
社内で定めた再確認時刻になっても返答がなければ、受付責任者へ再連絡する。判断が必要な回答は保留し、確認済みの情報だけを伝える。
ここで大切なのは、「担当表」「再確認時刻」を実際に使える状態にすることです。
誰が代替するのか、どこを見れば分かるのか、何時に再確認するのか。これらを運用前に決め、手順書から参照できるようにします。単に「適宜確認する」と書き換えるだけでは、迷いが残ります。
緊急時や安全に関わる業務では、この例よりも自社の緊急対応ルールを優先してください。
■質問を、手順書の修正メモに変える
同じ質問が来たら、その場で答えるだけで終わらせず、短く記録してみてください。
質問:担当者が休みですが、誰に聞けばいいですか?
止まった手順:02|確認先を決める
不足していた情報:代替担当者と、その人も不在の場合の引継ぎ先
追記する場所:手順02と担当表
追記したら、利用者へ変更箇所を知らせ、古い版と混ざらないよう更新日も入れます。
次に同じ場面が来たとき、その記載で進めたかを確認すれば、修正が役立ったかを判断できます。
もちろん、原因がいつも説明不足とは限りません。マニュアルの場所が分からない、情報が古い、項目名が探しにくい場合もあります。まず「どこで止まったか」を聞くことが出発点です。
■最初から、すべての例外を書かなくていい
起こり得ることを全部盛り込むと、読む側も探す側も大変になります。
まずは、最近繰り返された質問を一つ選ぶだけで十分です。
・誰に確認するか
・自分で進めてよい範囲はどこまでか
・進められないとき、どう引き継ぐか
この三つを、該当する手順の近くに足してみてください。
マニュアルは一度渡して完成ではなく、実際に止まった場所を直しながら使っていくものです。
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