毎月の理事会、運営会議、委員会。役員会議だけで月に7〜8回あるうちの法人では、議事録作成だけで事務局の工数を相当持っていかれていました。
私は医療法人で事務局長をしているのですが、3年前まで議事録は完全に手作業。会議中に必死でメモを取り、終わってからWordで清書する。1時間の会議で議事録に2時間というのが当たり前でした。
それが今は、AIを使って30分。しかも自分が書くより精度が高い。
このブログでは、ChatGPTやClaudeといった生成AIを使った「議事録自動化」の実際の手順と、医療法人で導入して見えた現場のリアルをまとめます。
## なぜ議事録は時間がかかるのか
議事録に時間がかかる本当の理由は「清書」ではありません。
「何を残し、何を捨てるか」の判断に時間がかかるんです。
会議では雑談も派生話題も出る。役員の細かい言い回しや、決定事項に至るまでの議論の流れ。これを「議事録としての体裁」にまとめ直す作業が、地味に脳のリソースを食います。
そして次の日になると記憶が薄れ、自分のメモを見返しても「あれ、これって何の話だっけ」となる。これがまた時間泥棒です。
## AIで議事録を自動化する3ステップ
私が実際にやっている手順はシンプルです。
**ステップ1: 会議を録音する**
スマホかPCで録音するだけ。うちはZoom会議が多いのでZoomの録画機能をそのまま使っています。対面の会議も最近はノートPCを真ん中に置いて録音させてもらうことが増えました。
**ステップ2: 文字起こしする**
録音データをそのまま文字起こしツールに通します。Whisper(OpenAIが公開している無料の文字起こしAI)が精度・コスト面で圧倒的に優秀です。1時間の会議でも数分で文字起こしが終わります。
専門用語の混じる医療系の会議でも、固有名詞の認識精度は実用レベル。患者名や薬剤名が文字化けすることはありますが、後工程で補正できます。
**ステップ3: AIで議事録に整形する**
ここが本丸です。文字起こしテキストをChatGPTやClaudeに渡して、議事録のフォーマットに整形してもらいます。
ポイントは「プロンプト」(AIへの指示文)。これを工夫するかどうかで、出力品質は別物になります。
## 実際に使っているプロンプト
以下は私が運営会議で使っているプロンプトの骨子です。
「あなたは医療法人の事務局スタッフです。以下の会議文字起こしから、議事録を作成してください。
形式は次の通り:
1. 会議名・日時・出席者
2. 議題ごとの議論要約(雑談・派生話題は省略)
3. 決定事項
4. 次回までの宿題(誰が・何を・いつまでに)
5. 次回会議日程
注意点:
- 個人名は役職で記載する
- 議論の経緯ではなく結論に重きを置く
- 推測ではなく文字起こしに書かれていることだけを使う」
このプロンプトに文字起こしテキストを貼り付けて投げると、ほぼそのまま使える議事録が返ってきます。
## やってみて見えた、AI議事録の3つの落とし穴
良いことばかり書いても嘘になるので、つまずいたポイントも共有します。
**落とし穴1: 固有名詞の誤認識**
患者名、薬剤名、診療報酬の項目名。これらは文字起こし段階でズレることがあります。私は議事録を出力したあと、必ず原音を頭出しして固有名詞だけ確認するルールにしています。
**落とし穴2: 議論ニュアンスの欠落**
AIは「結論」を抽出するのは得意ですが、「誰が強く反対していたか」「どこで空気が変わったか」のような行間情報はほぼ消えます。意思決定の経緯を残したい会議では、AI議事録の上に手書きで補足を入れる運用にしています。
**落とし穴3: 機微情報の取り扱い**
患者情報・職員の人事案件など、外部AIサービスに渡しにくい情報は要注意です。うちでは院内サーバで動くオープンソースのLLMを別途立てて、機微情報を含む会議はそちらで処理しています。クラウドのChatGPT・Claudeは「公開しても問題ない範囲」に限定しています。
## 効果:月20時間以上の削減
実際の効果は数字で出ています。
導入前:月8回の会議 × 議事録2時間 = 月16時間
導入後:月8回の会議 × 議事録30分 = 月4時間
差し引き月12時間。これに「議事録のレビュー・修正依頼の往復」が消えたぶんを足すと、体感では月20時間以上は浮いています。
事務局メンバーの残業も明らかに減りました。
## 始めるなら今です
生成AIは去年と今年で進化のペースが本当に速いです。1年前は使い物にならなかったツールが、今は普通に実務で使えるレベルになっています。
「うちはアナログだから」「ITに弱いスタッフが多いから」と先送りしている法人を見かけますが、議事録ぐらいの単純な業務であれば、誰でも始められます。
うちの法人は事務局長の私が技術担当を兼ねていますが、特別なIT人材を雇わなくても、ここまでの自動化は組めます。
## ご相談ください
医療・介護・福祉系の法人で、「議事録だけでなく業務全体をAI・自動化で楽にしたい」というご相談を受けています。
会議録・申請書類・レセプト集計・スタッフのシフト調整など、業務のどこに時間を取られているかをヒアリングしたうえで、AI・Pythonで自動化できる部分を一緒に切り分けます。
業界経験のある事務局長が直接対応するので、現場感のないIT屋さんに頼んで失敗した、というケースを避けたい方にも安心していただけると思います。
ご興味があればプロフィールから出品サービスをご覧ください。