開院1年目のクリニックがやるべきお金の管理|請求→返戻→入金の流れ整理

開院1年目のクリニックがやるべきお金の管理|請求→返戻→入金の流れ整理

記事
ビジネス・マーケティング
クリニックを開院して1年目。日々の診療に追われながら、「請求したお金がちゃんと入ってきているのか」を把握できていない——そんな状態になっていませんか? 私は医療法人の事務局長として、複数のクリニック・施設の経営管理に携わっています。開院間もないクリニックで最もよく見かける課題が、まさにこの「お金の流れが見えていない」問題です。 今回は、社保・国保の請求から入金までの流れと、開院1年目で整えておくべき管理の仕組みについてお伝えします。

レセプト請求から入金までの基本的な流れ

クリニックのお金の流れは、大きく分けてこうなっています。 【毎月の流れ】
①レセプト請求(翌月10日まで)
 → 社保は支払基金へ、国保は国保連へ提出
②審査
 → 支払基金・国保連がレセプト内容を審査
③支払(請求の約2ヶ月後)
 → 振込通知書とともに入金される
④返戻・査定
 → 審査で問題があったレセプトは減額(査定)または差し戻し(返戻)される つまり、「請求した金額」と「実際に入金される金額」は一致しないのが普通です。

請求額と入金額がズレる3つの原因

では、なぜズレが生じるのか。主な原因は3つあります。 1. 査定減額
審査の結果、「この診療行為は認められない」と判断されて点数が減らされるケースです。増減点連絡書に理由コードとともに通知されます。理由は「医学的に不適当(A)」「過剰(B)」「告示等と不一致(D)」など様々です。 2. 返戻
レセプトそのものが差し戻されるケースです。処方箋との突合不一致、資格喪失後の受診、記載不備などが主な理由です。返戻されたレセプトは修正して再請求できますが、対応しなければその分の入金はゼロです。 3. 過誤調整
過去に支払い済みの請求に対して、後から調整が入るケースです。支払通知書の「過誤調整額」として差し引かれます。

開院1年目で「見える化」すべき4つの数字

最低限、以下の4つを月次で把握しておくことをお勧めします。 ① 請求額(社保・国保別)
総括表に記載される請求点数×10円が請求総額です。外来と訪問で分けて把握しましょう。 ② 入金額(実際の振込額)
振込通知書に記載される「差引振込額」です。これが実際に口座に入る金額です。 ③ 差異額と差異率
請求額と入金額の差がいくらか、何%かを毎月追います。差異率が急に上がった月は、何か問題が起きているサインです。 ④ 査定・返戻の件数と金額
増減点連絡書から、査定の理由別に件数と金額を記録します。同じ理由で繰り返し査定されていれば、請求の仕方自体を見直す必要があります。

管理のポイント:Excelで十分、ただし仕組みが大事

高価なシステムを導入する必要はありません。Excelで十分です。ただし、「毎月同じフォーマットに記録する」仕組みを作ることが重要です。 具体的には、以下のようなシート構成がお勧めです。 ・月次サマリー:社保/国保別の請求額・入金額・差異額を一覧化
・振込通知書転記シート:振込通知書の内容をそのまま記録
・査定管理シート:増減点連絡書の内容を理由別に蓄積
・年間推移グラフ:差異率の推移を可視化 毎月15分程度の入力で、1年分のお金の流れが一目で把握できるようになります。

実例:国保の過誤調整で20%の差異が出ていたケース

あるクリニックの事例では、国保の決定額約30万円に対し、過誤調整で約6万円が差し引かれ、実際の振込額は約24万円でした。差異率は約20%です。 原因を調べたところ、過去月の資格喪失に伴う過誤調整が大半でした。こうした情報は、管理表を作って初めて「見える」ようになります。放置していると、毎月なんとなくお金が減っているのに気づかない、という状態が続いてしまいます。

まとめ

開院1年目は、診療体制の構築に手一杯で事務管理まで手が回らないのが現実です。しかし、お金の流れの「見える化」は早ければ早いほど効果があります。 ・請求額と入金額の差異を毎月追う
・査定・返戻の理由を記録して傾向を把握する
・Excelで月次管理の仕組みを作る この3つを押さえるだけで、「うちのクリニック、ちゃんとお金が回っているのか?」という不安が、データに基づいた判断に変わります。 請求・入金の突合管理Excelの構築や、データ分析の自動化についてご相談があれば、お気軽にメッセージください。医療法人での実務経験をもとに、貴院に合った仕組みをご提案します。
サービス数40万件のスキルマーケット、あなたにぴったりのサービスを探す ココナラコンテンツマーケット ノウハウ記事・テンプレート・デザイン素材はこちら