保育士が仕事を探すとき。
求人票を見て、条件を確認して、応募する。
そして、面接や園見学へ行く。
そのとき、多くの人がまず考えるのは、
「採用してもらえるかな」
「ちゃんと答えられるかな」
「自分の経験をうまく伝えられるかな」
ということではないでしょうか。
私も、もちろんそうでした。
でも、これまでいくつかの園を見てきて、今になって思うことがあります。
面接では、園は私たちを見ている
でも同じように、
私たちも園を見たほうがよい
今回は、そんなことを考えるきっかけになった、ある園のお話です。
▶園長先生は、とても素敵な方
その園の園長先生は、とても感じの良い方でした。
お話をしていても嫌な感じはなく、保育に対する考え方にも共感できるところがありました。
「ここ、いい園かもしれないな」
そんな印象を持ったことを覚えています。
ところが、園見学や面接の中で、私はある小さな違和感を覚えました。
それは、主任の先生が、一度も笑わなかったこと。
もちろん、それだけで何か問題があるわけではありません。
初対面です。
緊張していたのかもしれません。
もともと表情があまり変わらない方だったのかもしれません。
その日の体調や気分だってあるでしょう。
だから私は、「まあ、こういうこともあるよね」
と、その違和感をあまり気にしないことにしました。
▶園長先生が素敵だから、大丈夫
もしかすると、私はそんなふうに考えていたのかもしれません。
園長先生が素敵だった。
園の雰囲気も悪くない。
だから、「きっと大丈夫。」
そう思って、気になったことを深く考えませんでした。
そして、実際に働き始めました。
ところが、働き始めてから、私はその主任の先生との関係に悩むことになりました。
結果的に、主任の先生は私と話す時、笑顔ひとつなく、何かを言う時、依頼するとき、無表情でいう事が怖いと感じました。
そして、希望休の件で圧を感じてしまい、その園を退職することになりました。
人間関係は、そんな一つの出来事だけで決まるものではありません。
でも、今振り返ると、面接の際に、にこりとも笑わない主任に対し
歓迎されていないのではないか と思っていたのかもしれない。
そう思うのです。
▶ 違和感は「悪い園」の証拠ではない
ここは、誤解してほしくないところです。
園見学で、「この先生、あまり笑わないな」
と思ったからといって、
「この園はやめたほうがいい」ということではありません。
人にはそれぞれ性格があります。
無口な人もいます。
人見知りの人もいます。
初対面では表情が硬くなる人もいます。
私も真面目そう、怖そう、怒ってる?と言われます(笑)
だから、ひとつの出来事だけで人や園を判断する必要はありません。
では、なぜ違和感を大切にするのでしょう。
それは、違和感そのものが答えなのではなく、自分が何を感じたのかを知るための材料になるからです。
「私は、職員同士が笑顔で話している職場が好きなのかもしれない。」
「質問しやすい雰囲気の主任さんと働きたいのかもしれない。」
「園長先生だけではなく、現場の先生との関係も大切にしたいのかもしれない。」
そうやって自分の感覚を言葉にしていくと、
自分が職場に何を求めているのか
が少しずつ見えてきます。
▶「良い園」と「自分に合う園」は違う
就職活動をしていると、「この園、すごく良さそう!」と思うことがあります。
保育方針が素敵だったり、設備がきれいだったり、園長先生のお話に共感したり。
もちろん、そういうことは大切です。
でも、「良い園」と「自分に合う園」は、必ずしも同じではありません。
園として素晴らしい。
園長先生も素敵。
それでも、自分がそこで働いたときに、
「ちょっと息苦しいかもしれない」
と感じることはあるかもしれません。
逆に、「すごく魅力的な園というわけではないけれど、ここなら無理なく続けられそう」という園が、自分にとっては良い職場かもしれません。
だからこそ、面接では、採用されるかだけではなく、
私はここで働きたいと思えるだろうか
という視点も持っていていいのだと思います。
▶ 面接の帰り道に、自分に聞いてみる
面接や園見学が終わったら、すぐに結論を出さなくてもいい。
私は、これから就職する保育士さんには、一度家に帰ってから考えてみてほしいと思っています。
たとえば、
「良かったところは?」
「気になったところは?」
「誰と話したときに安心した?」
「逆に、少し緊張したのは誰だった?」
「職員同士の雰囲気はどうだった?」
そして、ここで働いている自分を想像できる?と。
その答えが「分からない」でもいいのです。
分からないなら、もう一つ別の園を見てみればいい。
いくつかの園を見ることで、
「あ、この雰囲気が私は好きなんだ」
「こういう職場はちょっと苦手なんだ」
と、自分の基準が見えてくることがあります。
▶その場で決めなくてもいい
面接をして、「ぜひ来てください」
と言っていただけると、嬉しいですよね。
必要としてもらえたことは、とてもありがたいことです。
でも、その場で答えを出さなくてもいい。
「ありがとうございます。少し考えてからお返事させてください。」
そう言って、一度持ち帰ってもいいのです。
就職は、その日一日の出来事ではありません。
これから毎日通う場所です。
一緒に働く人たちと過ごす場所です。
だからこそ、焦って決めるより、自分が納得して選ぶこと
を大切にしていいと思います。
▶ 「園を見る」ポイント
今回の私の経験から、就職活動をする保育士さんに伝えたいのは、この3つです。
① できれば、いくつかの園を見てみる
一つの園だけを見ていると、「これが普通なのかな」と判断しにくいものです。
比較することで、自分に合う環境が見えてくることがあります。
② 面接の場で決めなくてもいい
採用のお話をいただいても、一度持ち帰って考えて大丈夫。
自分の生活や働き方を含めて、ゆっくり考えてみましょう。
③ 「なんとなく」を言葉にしてみる
「なんか気になった」
「ちょっと安心した」
「なぜか緊張した」
その感覚を、そのままにしない。
なぜそう感じたのかを考えてみると、自分が職場に求めているものが見えてくるかもしれません。
面接は、園が私たちを見る時間。
でも、私たちも園を見ています。
そして、私たちが選ぶのは、
採用してくれる園だけではありません。
自分らしく働き続けられる園を選んでいいのだと思います。
あのとき感じた小さな違和感を、私は「気にしすぎかな」と片づけてしまいました。
今なら、もう少しだけ、
「私は、何が気になったんだろう?」
と考えてみると思います。
違和感が正しいとは限りません。
でも、その違和感は、
自分自身が職場を選ぶために送ってくれている、小さなサインなのかもしれません。
次の面接では、ぜひ園を見てみてください。
そして、あなた自身のことも、ちゃんと見てあげてください。