自分の心だけ、守れなかった。

自分の心だけ、守れなかった。

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夜中の三時に、はっと目が覚める。

心臓が、少しだけ速い。

時計を見て、また目を閉じる。でも、眠れない。

・・・

そして、思う。

ああ、また、朝が来てしまう。

・・・

もし、あなたがこんな夜を過ごしているなら。

最初に、これだけ言わせてください。

それは、あなたが弱いからじゃない。

あなたの心が、「ここから離れろ」と、正常に鳴らしている、警報です。

・・・

でも、あなたはきっと、こう思っている。

逃げるなんて、甘えだ。

みんな、我慢してる。

ここで投げ出す自分は、情けない。

・・・

わかります。

私も、まったく同じことを、自分に言い聞かせていました。

毎朝、世界が滅亡すればいいのにと願いながら、それでも、会社へ向かっていた、あの頃。

・・・

任された部署を、私は、夢中で育てました。

何年もかけて、それは、ちゃんとした実績に、なりました。

その実績を買われて、私に、白羽の矢が立ちました。

「新しい部署を作る。その責任者を、任せたい」と。

期待されているんだ、と思いました。

だから私は、希望を持って、その役目を、引き受けたんです。

・・・

でも。

そこが、私にとっての、地獄の入り口でした。

任されたのは、まったく経験のない分野。

引き継ぎは、ありませんでした。手順書も、ありませんでした。

ただ「回しておいて」と、放り込まれただけ。

現場の同僚も部下も、結束が固くて、外から来た私を、誰も、受け入れてはくれませんでした。

・・・

そんな、ある日。

その立場の人間しか、触らない仕事に、初めて、ぶつかりました。

私の部下たちも、やったことがない。その現場の管理職しか、知らない特融の仕事でした。

だから私は、それを実際にやっている、同じ立場の古株の人に、頭を下げて、聞きました。

聞ける相手は、その人しか、いなかったからです。

・・・

その人は、手も止めず、こちらを見もせずに、言いました。

「そういうのは、ご自分の部下にでも、聞いてもらえますか」

・・・

部下が、知っているわけが、ないんです。

そして、それを誰よりわかっていたのは、その人のはずでした。

まわりには、何人も、いました。

でも、誰ひとり、顔を上げなかった。

それが、当たり前みたいに。

・・・

そのとき、はっきりと、わかってしまったんです。

ここに、私の味方は、一人も、いない。

・・・

それから、眠れなく、なりました。

体にも、出はじめました。

ストレスで、蕁麻疹が、全身に。

薬で、抑えていました。

でも、薬で蕁麻疹を抑えるたびに、本当は、わかっていたんです。

抑えなきゃいけないのは、これじゃない、と。

・・・

ここで、ひとつ、正直に書いておきます。

私は当時、メンタルヘルス・マネジメント検定という資格を、持っていました。

職場で、人の心の不調に気づいて、守るための知識を学ぶ資格です。

眠れていない人がいたら。体に不調が出ている人がいたら。

早めに気づいて、手を打つ。

そういうことを学んで、知識も、つけていた。

・・・

なのに。

自分の体が、蕁麻疹で悲鳴をあげていることには。

自分の心が、壊れかけていることには。

最後まで、気づかないふりを、していたんです。

人の心は守れるつもりで。

自分の心だけは、守り方が、わからなかった。

・・・

眠れない夜が、どれくらい続いた頃でしょうか。

ある晩、私はふと、もう何年も、しまいこんでいた、タロットカードを、取り出して、並べてみました。

藁にもすがる、というやつです。

出たカードが、私に、こう言っているように、見えました。

「あなたは、ここに、とどまる必要はない」

・・・

その晩、私は妻に、全部、話しました。

眠れないこと。毎朝、消えてしまいたいこと。

妻は、しばらく、黙っていました。

そして、言いました。

「もう、無理しないでいいよ。あなたの体のほうが、心配」

・・・

翌週、私は上司に相談して、自分から、その役目を、降りました。

役職は、下がりました。給料も、かなり、減りました。

世間で言えば、「降格」です。

逃げた、と思いました。負けた、とも思いました。

・・・

でも。

しばらくして、気づいたんです。

夜中に、目が覚めなく、なっていました。

あれだけ全身に出ていた蕁麻疹も、いつのまにか、出なく、なっていました。

役職と給料を手放した代わりに、私は、自分の心と体を、取り戻していました。

・・・

役職を、降りました。

でも、あとで、思ったんです。

降りるのは、役職だけじゃ、ない、と。

毎朝、笑顔を作ること。

「みんな我慢してるんだから」と、自分に言い聞かせること。

期待に応えなきゃと、背伸びし続けること。

そういう見えない役を、人は誰でも、背負わされています。

肩書きが、あってもなくても。

・・・

あなたが今、いちばん降りていいのは。

「頑張り続けなきゃ、という戦い」かもしれません。

今なら、はっきり、言えます。

あれは、逃げじゃ、なかった。

降りたんです。

これ以上は危ない、と判断して、自分の意志で、一段、降りた。

・・・

登り続けることだけが、強さじゃない。

危ない場所から、自分の足で降りることも、立派な、強さです。

だから、もし今、あなたが夜の闇の中で、目を覚ましているなら。

逃げたい自分を、責めているなら。

どうか、その言葉を、こう、置き換えてみてください。

私は、逃げるんじゃない。

私は、降りるんだ。

自分を、守るために。

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ひとつだけ、約束してほしいことが、あります。

もし、つらさが何週間も続いているなら。

眠れない夜が、どうしても止まらないなら。

占いよりも先に、心療内科や、公的な相談窓口を、頼ってください。

・・・

そのうえで。

もし、「降りていいのか、まだ踏ん切りがつかない」のなら。

私は今、タロットで、あなたのような人の鑑定をしています。

あの夜、迷っていた私に、答えを映し出してくれたカードで。

今度は、あなたの中にある答えを、一緒に見つけるために。

・・・

当てる占いでは、ありません。

「降りるべき」と決めつけることも、ありません。

あなたの心が、本当はもう出している答えに、光を当てるだけの鑑定です。

・・・

私の鑑定は、対面では、ありません。

あなたの状況を、文章で送っていただいて、

私が、ひとり静かにカードを並べ、鑑定書を書いて、お返しします。

人に顔を見られず、急かされず、あなたのペースで。

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