外来というのは医者にとって結構大変な仕事です。それはなぜかというとひと月やふた月に一度程度それぞれの患者さんからの情報をもとに、適切と思われる薬物療法を選択し、説明しなければならないからです。しかも何十人も1日に診なければならず、一人に使える時間は5−10分程度といったところであるため、とても忙しく頭を巡らせなければなりません。患者さんはたまに来る病院でそれまでに生じた疑問など話したいことがいっぱいあるし、医者は医者で人数をこなさなければならず、患者さんの話の全てを聞いている暇は普通ありません。
そのような状況が重なると医者と患者さんのコミュニケーション不足から信頼関係がうまく構築できないといった事態になります。その時に役に立つのがわずかな世間話です。お洒落な杖をついている方のその杖をほめてみたり、素敵なシャツを指摘してみたり、旅行の事、4ヶ国語喋れる患者さんの生い立ち、毎日1時間以上頑張って歩いている事など、ちょっとだけ医療とそれた話をうかがってみるとその後意外とスムーズに外来が進んだりします。
普段他人に対して思うこと、例えば「かっこいいな」とか「綺麗だな」とか、「スポーツができてすごいな」「勉強ができてすごいな」「優しいな」など特にポジティブなことは、その想いを直接伝えることはなかなか難しいことかもしれません。しかし、それを言ってもらえるとやっぱり誰でも大抵の場合は嬉しいものです。私は仕事で良い成果を出しているなど、優れた側面を持っている人にできるだけそれを伝えてあげたいと思っています。また、外来などで良好な人間関係を保つために、患者さんの良い面、注力している点など感じたことを伝えるようにしています。
学生時代に好きな異性に自分の想いを伝えられなかったという悔しい経験をお持ちの方も多いのではないでしょうか。少し大人になった今、「前向きな想いを他者に伝える」を実践してみてはいかがでしょうか?