こんにちは。
今回は、米国の物価指標、原油価格、ドル円相場の現在地について整理していきます。
足元のドル円は162円前半で推移しており、非常に狭い値幅での持ち合いが続いています。
上にも下にも動きにくい状況ですが、チャート上では重要な価格帯に挟まれており、今後どちらへ抜けるかが大きな焦点になっています。
---
米国株は上昇、ドルは全体的に売られる展開
前日の米国株式市場は上昇しました。
S&P500は28ポイント高、NASDAQは162ポイント高となり、株式市場には買いが入りました。
一方、為替市場では円安、ドル安、ポンド高という動きが見られています。
特にドルは主要通貨に対して弱く、ユーロドルやポンドドルは大きく上昇しました。
ただしドル円については、ドル安と円安が同時に進んだため、結果として前日とほぼ変わらない水準で推移しています。
つまり、ドル円が上昇しなかったからといって、円が買われたわけではありません。
ドルも弱かった一方で、円も同じように弱かったため、相殺された形です。
---
米PPIは予想を大きく下回る
米国の6月生産者物価指数、いわゆるPPIは市場予想を大きく下回りました。
今週は米国のCPIやPPIなど、インフレに関係する重要指標が相次いで発表されましたが、いずれも予想を下回る結果となっています。
ニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁も、インフレがピークをつけた可能性があり、今後数四半期にわたって低下していく根拠があると発言しています。
通常であれば、インフレ鈍化は利下げ期待につながり、米金利低下、ドル安の材料になります。
実際、ドル全体では売りが強まりました。
しかし、今回はインフレ鈍化だけで相場を判断することはできません。
その理由が原油価格です。
---
原油価格の上昇がインフレ鈍化を打ち消す可能性
WTI原油価格は、再び1バレル80ドル台まで上昇しています。
一時は68ドル前後まで下落していましたが、イラン情勢の悪化を受けて、再び買い戻されました。
イラン側が交渉のテーブルに戻らない状況が続けば、地政学リスクは簡単には解消されません。
そのため、当面の原油価格は100ドル方向へ急騰するわけでもなく、60ドル方向へ急落するわけでもなく、80ドル前後で高止まりする可能性があります。
原油価格が上昇すれば、輸送費や製造コストが押し上げられます。
その結果、せっかくCPIやPPIが低下しても、数か月後には再びインフレ圧力が強まる可能性があります。
現在の相場は、
「物価指標は低下しているが、原油高がその効果を打ち消す」
という複雑な状況にあります。
したがって、単純にPPIが低かったからドル売りと考えるのではなく、今後の原油価格も同時に確認する必要があります。
---
ドル円は162円前半で狭い持ち合い
ドル円の日足チャートを見ると、値動きはかなり煮詰まってきています。
下方向では、日足25日移動平均線がサポートとして意識されています。
現在の25日線は161円93銭付近です。
一方、上方向では年初来高値となる162円83銭付近が強い抵抗帯になっています。
つまり、現在のドル円は、
* 下値支持:161円90銭前後
* 上値抵抗:162円80銭前後
という、1円にも満たない狭い範囲に挟まれています。
この状態が長く続くほど、抜けた際の値動きは大きくなりやすくなります。
162円83銭を明確に上抜ければ、163円台、さらにその先を試す可能性があります。
反対に、161円90銭付近の25日線を割り込めば、短期的な調整が強まる可能性があります。
現在は、方向を予想して先回りするよりも、どちらへ抜けるかを確認してからついていく方が安全な局面です。
---
円が買われにくい最大の理由
現在のドル円相場では、ドルの上値が重くなりつつあります。
それでもドル円が大きく下落しない理由は、円を積極的に買う材料が少ないからです。
円高材料として考えられるのは、主に以下のような要因です。
* 日本政府・財務省による為替介入
* 投機筋による円売りポジションの大規模な解消
* 日銀の想定以上の金融引き締め
* 世界的なリスク回避による円買い
しかし、現時点ではどれも強く意識されていません。
特に追加の為替介入については、前回の介入から2か月以上行われていません。
ドル円が162円後半まで上昇しても、財務省や財務官から強い円安牽制発言がほとんど出ていない点も気になります。
市場から見ると、政府は現在の162円台を、緊急に対応しなければならないほどの円安とは考えていない可能性があります。
---
政府は短期的な円安を容認しているのか
政府関係者からは、日本経済が強くなれば、いずれ円は買われるという趣旨の発言が目立っています。
これは言い換えると、短期的な為替水準を無理に動かすよりも、経済の基礎体力を高めることで長期的な円高を目指す姿勢とも受け取れます。
そのため、短期的には165円や170円に近づいたとしても、直ちに介入するとは限りません。
円安には輸入物価上昇というデメリットがある一方で、輸出企業の収益改善や海外利益の円換算額増加など、プラスの側面もあります。
株価や国債市場と比べて、為替介入の優先順位が下がっている可能性も考えられます。
過去には、介入効果が一時的だと分かっていても、急激な為替変動を抑えるために介入が行われたことがあります。
ただし今回は、162円台でも強い牽制が出ていません。
介入があるとしても、可能性が高まるのは急激に円安が進んだ場合や、国内世論が大きく悪化した場合でしょう。
---
為替介入があるなら7月後半か
仮に政府が追加の為替介入を行うのであれば、タイミングとしては7月後半が一つの候補になります。
8月は夏休みに入り、市場参加者が減少しやすい時期です。
流動性の低い時期に介入を行えば、一時的には大きく動く可能性がありますが、その後の値動きが不安定になるリスクもあります。
そのため、実施するのであれば市場参加者がまだ多い7月中の方が現実的です。
逆に8月半ばまで何もなければ、今回の介入局面は前回で終了したと市場に判断される可能性があります。
そうなれば、円売りの安心感がさらに強まり、ドル円の上昇を後押しする可能性があります。
---
週末終値にも注目
短期的には、ドル円が週末に162円より上で終われるかどうかも注目点です。
過去2週間は、週の途中で162円後半まで上昇する場面があっても、週末には162円を下回って終了しています。
これは、162円台後半では利益確定売りや戻り売りが出やすいことを示しています。
今週末に162円台を維持して引けることができれば、これまでとは異なる動きになります。
特に162円83銭を上抜けた状態で週足が確定すれば、上昇トレンド継続のサインとして意識されやすくなります。
一方、再び162円を下回って終了する場合は、依然として上値の重い状態が続いていると判断できます。
---
今後のドル円戦略
現在のドル円は、円安とドル安が同時に進んでいるため、方向感が見えにくくなっています。
そのため、ドル円だけを見るのではなく、以下の市場も確認することが重要です。
* ドルインデックス
* 米10年債利回り
* WTI原油価格
* ユーロドル
* ポンドドル
* 日本政府の円安牽制発言
ドルインデックスが下落しているにもかかわらずドル円が下がらない場合、円の弱さがかなり強いことを意味します。
反対に、ドルインデックスが反発してくれば、ドル円は年初来高値を更新する可能性が高まります。
短期トレードでは、162円83銭の上抜けと161円90銭前後の下抜けを確認したいところです。
持ち合いの内部で売買を繰り返すと、値幅が狭いため損切りが増えやすくなります。
今は無理にポジションを持たず、相場が動き出してから参加することも立派な戦略です。
---
まとめ
米国のCPIやPPIは予想を下回り、インフレ鈍化が意識されています。
その一方で、イラン情勢の悪化によって原油価格が80ドル台まで上昇しており、今後のインフレ再加速が警戒されています。
ドルは全体的に売られていますが、円も弱いため、ドル円は162円前半で横ばいとなっています。
チャート上では、161円93銭付近の25日移動平均線と、162円83銭付近の年初来高値に挟まれています。
今後は、この狭い持ち合いをどちらへ抜けるかが重要です。
また、政府による追加の為替介入や円安牽制発言が見られないことから、現在の円安水準は一定程度容認されている可能性があります。
ドル円は動いていないように見えて、内部ではエネルギーを溜めている局面です。
方向を決めつけるのではなく、上抜け・下抜けを確認しながら慎重に対応していきましょう。