原点思考とは何か
「原点思考」は、ストレングス・ファインダーで定義される34の資質の一つです。これは文字通り、「過去から学ぶ」性質を強く持つ人が示す傾向を指します。歴史や記録、事例などを丁寧に振り返り、そこから今と未来に生かすことを得意とするのが特徴です。たとえば「このプロジェクトをうまく進めるには、同じような事例を調べてみよう」「昔はどうやって課題を乗り越えていたのか?」と、まずは事例やデータを振り返るところからスタートすることが多いでしょう。仕事場面でも「同様の問題を過去にどのように対処してきたのか」をよく知っているため、チームのメンバーにとっては貴重な“知恵袋”になることも少なくありません。
一方で、ただ昔のやり方をなぞるだけでなく、「そこから何を学び、どう未来に活かすか」にフォーカスするのが本質です。原点思考の人は、過去の事実や経験を土台にしながら、そこに新たな着眼点を加えることによって、周囲の人々が思いつかないようなアイデアを生み出すこともあります。歴史や伝統を大切にしつつ、そこから得た学びを今後の行動指針に落とし込む力こそが、原点思考の真の強みといえます。
原点思考がもたらす強みと注意点
過去の知識と経験から本質を読み解く
原点思考を持つ人は、過去の経験や事例をとても大切にします。たとえば企画会議で新しいプランを検討するときも、「以前、似たようなケースがあった。そこではこういう課題が発生したけど、こう解決したんだよね」と具体的なデータとともに提示できるのです。これは周囲にとって強い説得材料になりますし、何よりプロジェクトやチームに安心感をもたらします。さらに、ただ「前はこうだったよ」という情報伝達にとどまらず、当時の状況を整理し「なぜそういう結果になったのか?」を分析できるのも大きな価値です。その分析結果を活かし、今後のリスクヘッジやスムーズな計画立案につなげることができるでしょう。
ストーリーを伝える力
原点思考を持つ人は、“事実”や“出来事の経緯”を丁寧に把握していることが多いため、ストーリーとして他人に伝えるのが上手です。たとえば自社の歴史を振り返りながら、新人に「会社の伝統はここから始まったんだよ」と語ることで愛着やモチベーションを高めたり、チーム内の経験則を語って「なぜ今この施策が大切なのか」を納得させたりといった具合に、周囲を巻き込むコミュニケーションが自然とできます。
過去にとらわれすぎるリスク
過去から学ぶという強みが裏目に出ると、「前例がないからやめておこう」「昔はこうだったから、今回も無理だろう」と新しい試みにブレーキをかけがちになる可能性があります。いわゆる“前例主義”に陥るリスクがあるのです。過去はあくまで参考材料であり、未来を縛るものではないという意識を持つことが大切です。また、過去の情報量が膨大になりすぎたり、抜け落ちたデータを埋めようと必要以上に時間を割いてしまう場合もあります。特にスピード感の求められるビジネスシーンでは、ある程度“見切り発車”も必要です。情報にこだわりすぎて決断が遅れると、チャンスを逃してしまうかもしれません。
セルフコーチングで原点思考を深める10の質問
以下の10の質問は、原点思考を活かした自己理解と行動を深めるためのものです。質問ごとに狙いや回答例も一緒に紹介しますので、ぜひ自分自身への問いとして使ってみてください。
「これまでの人生で特に影響を受けた出来事は何だったか?」
意図: 過去を振り返ることで、自分にとって大切な価値観や原点を再確認する。
回答例: 小学生時代の学級委員経験を思い出し、そこから「人をまとめることが好き」という価値観に気づいた。
「その出来事を通じて、どんな学びを得たのか?」
意図: 過去の経験が今の自分にどのように影響を及ぼしているのかを言語化する。
回答例: 前述の委員経験から「相手の気持ちを想像して動く大切さ」を学んだ。
「最近の仕事や生活で活きている過去の経験はあるか?」
意図: 現在とのつながりを感じ、過去を具体的に役立てていることを再認識する。
回答例: 大学時代のサークル運営スキルが、現在のチームマネジメントで活きている。
「過去に成功したと感じたプロジェクトや取り組みは何か?」
意図: 成功事例を振り返り、その成功要因やプロセスを明確にする。
回答例: 新規サービスの立ち上げに参加したとき、徹底的なリサーチと過去事例の分析を行ったのが成功の決め手だった。
「その成功事例を、今の課題や目標にどう応用できるか?」
意図: 成功体験を“今”と結びつけ、再現性を高める。
回答例: 今のプロジェクトでも、事前の情報収集とヒアリングの徹底を取り入れよう。
「逆に、過去にうまくいかなかった事例は何か?」
意図: 失敗談を振り返り、リスクや注意点を把握する。
回答例: 強引にスケジュールを詰め込みすぎて、他部署の反発を招いてしまった。
「その失敗から、どんな学びを得たのか?」
意図: 失敗の原因を分析し、同じ過ちを繰り返さないように意識を高める。
回答例: コミュニケーション不足で起こった問題だったので、事前の共有と相談が大切だと学んだ。
「同じような失敗を今後回避するためには、具体的に何ができるか?」
意図: 失敗体験を未来に活かすためのアクションプランを考える。
回答例: プロジェクト開始時点で関係部署を巻き込み、週次ミーティングを定例化する。
「過去から学んだことをチームや周囲にどう共有できるか?」
意図: 原点思考を自分だけでなく、周囲に還元する視点を持つ。
回答例: 新人向けに「過去の失敗と対策」をまとめた資料を作って、研修に活用してもらう。
「これから挑戦したい目標に対して、過去のどの経験や知識がいちばん役立ちそうか?」
意図: これまでのプロセスを通じて未来にリンクさせ、行動指針を明確にする。
回答例: 新サービス立ち上げの経験を活かし、今度のプロジェクトでも初期リサーチを綿密に行う。
原点思考を活かす行動アイデア
原点思考をさらに活かすためには、過去の出来事やデータを単に「思い出す」だけで終わらせない工夫が必要です。以下に明日からでも試せる行動アイデアをいくつか紹介します。
定期的な振り返りの時間をつくる週に一度でもいいので、過去の成果や失敗事例を振り返る時間を設定しましょう。仕事だけでなくプライベートも含めて振り返ると、自分の価値観や強みが浮き彫りになります。
経験ノート(振り返りジャーナル)をつける過去の学びや気づきを一元管理するためのノートやデジタルツールを活用すると、必要なときにパッと見返すことができ便利です。特にプロジェクトの振り返りや、トラブルシューティングのヒントとして役立ちます。
チーム内で“ヒストリーシェア”を行うチームや部署の中で、これまでの成功事例・失敗事例などを共有し合う「ヒストリーシェアミーティング」を定期的に実施するのもおすすめです。成功要因や失敗原因を共通認識とすることで、同じ間違いを繰り返すリスクを減らせます。
学んだことをアクションにつなげる仕組みをつくるたとえば「失敗事例を3つ共有したら、そこから1つを選んで全員で再発防止策を考える」など、ただの情報共有で終わらずに具体的行動を設計する仕組みをあらかじめ決めておくと、実践に結びつきやすくなります。
過去の文献・業界史のリサーチ過去のプロジェクトや自分自身の体験だけでなく、業界史や他社の事例を調べるのも有効です。特に大きな変革を伴うプロジェクトでは、歴史的な転換期や成功パターンを調べることで、より深い学びとヒントを得られます。
ストレングスコーチングを受けることのおすすめ
セルフコーチングだけでも、原点思考の強みを認識し、過去の経験を未来に活かす行動プランを立てることは十分に可能です。しかし、プロの視点で客観的に自分の資質を捉えてもらうと、さらなる気づきや新しいアプローチが生まれることも多々あります。
たとえば、「過去の失敗体験が恐れや固定観念を生んでいるのかもしれない」「実は自分の強みだと思っていた部分が、別の資質との組み合わせでさらに活かせるかもしれない」というように、当の本人だけでは気づきにくいポイントを明確化できるのがコーチングのメリットです。
私が提供しているストレングスコーチングであれば、原点思考の資質をどう活用するかだけでなく、他の資質や個性との組み合わせを踏まえながら、より具体的かつ実践的なアクションプランを一緒に考えていきます。過去を深く掘り下げながら未来に向けた行動へとつなげる伴走型のサポートを行っていますので、もし「もっと自分の強みを伸ばしたい」「過去の失敗や成功を活かして飛躍したい」という方がいれば、ぜひ検討してみてください。