Q.初めての銀行融資をお願いする時に準備するものとは?

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ビジネス・マーケティング

1. 今回の前提

今回想定しているのは、こんな会社です。
売上高10億円未満
財務内容は可もなく不可もない
保証協会付き借入の実績はある
プロパー融資は今回が初めて
資金使途は成長投資ではなく、既存事業を安定して回すための追加運転資金
特別に財務内容が強いわけでもなく、弱いわけでもない。
だからこそ「会社の格」で押し切るのではなく、どこまで準備の質でカバーできるかが問われる局面だと感じました。

2. 最初に並べた「銀行に出す資料」

まずは、思いつく限りの資料を並べました。
決算書(直近3期)
最新の試算表
各金融機関の借入残高と返済状況
借入後の資金繰り表
今回の資金使途と返済原資の説明
想定外が起きた場合の対応方針
一度は、
「これで一通り説明はできそうだな」
という感覚に落ち着きました。
ただ同時に、
「銀行側は、ここから何を一番知りたいんだろう」
という点が、まだ曖昧なままでした。

3. 銀行員の立場を想像してみると

そこで一度、
この資料を受け取る銀行員の仕事そのものを想像してみました。
担当者がやるのは、
こちらの資料をじっくり読み込んで評価することよりも、
「この会社に、なぜ、いくら、どういう前提で貸すのか。
返済に問題はなさそうか。」
を、上司や審査部に短く説明することです。
つまり、
こちらが出す資料は「稟議を書くための素材」になる。
この視点に立つと、
どこを厚く準備すべきかが少しずつ見えてきました。

4. 稟議を書く側が整理に困りやすい3つの点

私なりに整理すると、
プロパー初回の局面で、稟議を書く側が一番つまずきやすいのは、この3点だと感じました。
この会社は、何をしていて、今どんな状態なのか
なぜ今、このタイミングで資金が必要になったのか
借入後、資金繰りはどう見えているのか
銀行の中では、決算書の数字を入れると、
ある程度自動で財務指標や分析が出てくる仕組みが整っています。
なので、数字そのものよりも、前提となるストーリーが整理されているかの方が、実務上は効いてくる場面が多いように見えました。

5. だから最初に用意したかった「会社概要」

まず最初に厚く準備したいと思ったのが、
銀行担当者が稟議にそのまま転記できる会社概要でした。
ここで求められているのは、理念やビジョンではなく、
何の事業をしているか
主な顧客層・市場
従業員規模
事業の特徴
A4半頁〜1頁程度で十分で、
初見の人が3分で全体像を掴めるかを基準にしています。
これは銀行のためというより、
決裁者に説明する銀行員を助ける資料、という位置づけです。

6. 「なぜ今、資金が必要なのか」をどう伝えるか

次に必ず聞かれるのが、
なぜ今、このタイミングで資金が必要なのか、という点です。
ここでつい、
運転資金です
手元資金を厚くしたいです
で終わらせてしまいがちですが、
それだけだと、状況がうまく伝わりません。
私が意識したのは、
事業の流れの中で
どこで先にお金が出て
どこで回収されるのか
という資金の動きの構造を説明することでした。
細かい数字よりも、「お金の流れがイメージできるか」の方が大事だと感じています。

7. 資金繰り表で見られているのは「姿勢」

資金繰り表についても、
厳密な予測精度より、
既存借入の返済がきちんと反映されているか
借入後の姿を想像しているか
が見られているように感じました。
複雑なシナリオや数式よりも、
この借入を入れたあとでも、無理なく返済が回る前提を置いているか
ここが一番のポイントだと思っています。

8. 「フルセット分析」を一度は考えたが

このあたりまで整理したとき、
ネットでよく見る「財務分析フルセット付きの事業計画書」を思い出しました。
財務比率一覧
キャッシュフロー分析
債務償還年数
グラフを並べた分析ページ
正直、「これも出した方が安心されるのでは」と一瞬思いました。

9. 今回はフルセットを出さなかった理由

ただ、今回の前提(初めてのプロパー・運転資金目的)に照らすと、
銀行側は決算書を受け取った時点で、
内部でこれらの指標を一通り計算できてしまいます。
そう考えると、フルセット分析は、
銀行の判断を助けるというより
こちらが「ちゃんと準備しています」と自分を安心させるための資料
になりやすいとも感じました。
むしろ、
余計な論点を増やして稟議を複雑にしてしまう可能性もある。
今回はそう判断して、あえて出さない選択をしました。

10. それでも必ず聞かれる「業績がブレたら?」

ここまで説明すると、
ほぼ必ず聞かれるのがこの質問です。
借入期間中に、業績が想定からブレたらどうなりますか?
5年返済を想定している以上、
「一度もブレない前提」では銀行も判断できません。

11. ストレスは「数値」より「考え方」を見せるためのもの

よく見るのは、
5年間ずっと売上が10%下がったシミュレーション
ですが、
売上が永続的に下がり続ける会社であれば、
そもそもプロパーを検討する前提から外れます。
銀行が見たいのは、
一時的なブレをどう吸収するか
どの順番で手を打つつもりか
深刻化する前に相談する姿勢があるか
この3点だと思っています。
だから、数値を並べるより、対応の順番とスタンスを言語化しておく方が意味があると感じました。

12. 今のところの整理

売上10億未満・財務は可も不可もない会社が、
プロパー初回を目指す前提では、
分析資料を厚くすることよりも、
銀行員が決裁者に説明しやすい材料を揃えることの方が重要だと、今は考えています。
具体的には、
転記しやすい会社概要
なぜ資金が必要になったかの構造説明
借入後を見据えた資金繰り
業績がブレた時の考え方
この4点を、過不足なく準備しておくこと。
これが、現時点での私なりの結論です。

13. 免責

本稿は一般化した実務整理であり、個別案件は金融機関・専門家への確認を前提とします。
会社のステージや金融機関との関係性により対応は大きく変わります。

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