【慶應義塾大学法学部小論文】勉強法

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(1)慶應法は要約力と基礎知識が必要



タイトルに書いた通り。



慶應義塾義塾大学では、小論文が出題される。



参考文型の問題で、必ず要約問題がある。



要約問題については、以下の講座をご受講ください。

慶應・法小論文の参考文は政治学、特に民主主義の定義や歴史に現代の政治課題とを関連付けたものや国際関係を国際法や人権思想などを踏まえて論じるものが多い。



攻略法としては、思いっきり民主主義の基礎を学ぶ必要がある。



政治経済の教科書だけでは足りないので、民主制について論じた文章を読みながら、内容理解を深めることが大切だ。

慶應義塾大学法学部小論文.png


(2)慶應・法の勉強法




それでは、何の文章を読めばいいか。



この質問に対しては、単純明快。



他大学の過去問を読むこと。



法学部や政治学部の過去問がいい。



慶應・法レベルの問題となると、他の私大よりも国公立の二次試験小論文のほうが同じレベルの文章を扱うことが多い。



文章を読むだけでもいいけれど、さらに問題を解くことで、要約力や考える力、文章にまとめる力が付く。



今回は香川大学法学部後期の問題を以下に掲載する。



選挙制度の歴史を学ぶうえで、うまくまとめられている。



なぜ制限選挙が要請されたのか。そして普通選挙が導入された背景と、その結果、政治はどう変わったのか。



政治における理性と感情・欲望の関係。



こうした通奏低音を下に、現代のAIの発展と政治への応用、さらにデータ活用やエビデンスベースドの政治という今日的な問題を考える場合、さまざまな論点を提示した良文となっている。



問題の解答例は明日以降、本ブログに掲載する予定だ。



慶應義塾大学小論文のオンライン個別指導(添削付き)の講座を開設しています。



定員がありますので、ご希望される方はお早めにお申込みください。

(3)問題


「AI 時代の大衆社会の変質と民主主義」香川大学(法)後期2019年



問題1 次の文章は、 将来, AI(人工知能)ネットワークと政治参加·政治決定の在り方について述べたものである。将来,有権者が選挙で候補者または政党を選び投票する際、投票所において, AIが自然人の判断を代行する「自己決定支援アプリ」が活用され、そのアプリが有権者に代わって政治的判断を行う(=どの候補者または政党へ投票するかを決定する)ようになる可能性とその問題点について考察している。この文章を読んで、設問1および設問2に答えなさい。



①  AI やロボットとの共生を考えていくうえで、 統治の領域は、 AIとの「相性」があまり良好であるとは言えない。その理由は3点ある。



②  ひとつは、統治の領域においては、長い歴史を経て民主主義が発達したが、それによって自然人だけが平等に政治に参加すべきであり、それ以外のものが政治には参加すべきではないという考えが確立されているという点である。



③  自然人の思考回路と同様に、あるいはそれをこえて思考をすることができる AIが誕生し、ロボットが広く普及して社会のなかで大きな役割を果たすようになったとしても, AI によって思考するロボットに選挙権を与えるべきかという問いには、多くの自然人が反対するに違いない。



④  もうひとつは、自然人よりも AI のほうが合理的·客観的な判断とそれに基づく意思決定が望まれるものはない。しかし、実際には統治の領域ほど非合理的な判断や意思決定がまかり通る世界もないかもしれない。それは、市民社会から大衆社会への変容と選挙権の拡大によって、理性を備えた自然人だけが統治に参加することよりも、原則としてすべての自然人が平等に統治に参加することのほうが重要であると考えられるようになったことと関係している。



⑤  それでは, AIによって、自然人の統治に関する判断や意思決定を支援するということについては、どうであろうか。AI自体が統治に関する判断や意思決定をすることへの反対は多いと思われるが,自然人の判断や意思決定に AI が関与することについても、 やはり同様に抵抗があるかもしれないし、 技術的な危険性も指摘されるだろう。



⑥  最後の点は、統治の領域は、外国を徹底して排除しようとしていることである。経済や社会がグローバル化しとすることには、反対の声が強く上がる。外国の技術によって開発された AI やロボットが, 日本の統治に「参入」することへの障壁は高いだろう。



⑦  もっとも、さまざまなデータがネットワークを通じて共有されることによって、客観的なデータをもとにした「データ·ドリブン(data driven)」な政策決定がおこなわれるようになるという期待もある。



⑧  このような状況において, AI ネットワークと統治とが共生していくことはそもそも可能なのだろうか。



(中略)



⑨  今日,先進民主主義の社会においては、統治が民主主義の原理によっておこなわれなければならないということは所与の前提である。そこでは有権者の民意が重視されなければならない。ただし、多くの国々が代表民主制を統治の基本原理に据えており、議会に送り出される国民の代表を選出する選挙が、国民の民意を政治に反映するきわめて重要な場面となっている。そして、 選挙という 有権者の民意を公的に表出する場面においては、多数派の民意は、最も尊重される(ただし、政党ごとの得票率を議会の議席に変換する割合は、さまざまな選挙制度によって異なる)。



⑩  ところが、ここでいう有権者について、有権者は自然人でなければならないということは、近現代の民主主義においては当然のことであるとされてきた。自然人以外のもの(たとえば法人)が政治に影響を与えるべきではないということは、 なかば常識化している。そのことは、営利法人が政治献金をおこなうことを認めた八幡製鉄事件における最高裁判所の判断に対して根強い批判があることからも、明らかであろう。この判決の後、会社による政治献金の是非をめぐる論争が起きたが、参政権は自然人に限定されるべきであり営利企業が政治献金をおこなうことは憲法違反であるとする説すらあったのである。



(中略)



⑪  議会制が本格的に機能するようになるのは、西欧において、イギリスの名誉革命やフランス革命を経て、「市民」を主人公とした政治社会が実現した後のことである。



⑫  「市民」とは一定の財産·教養,同質性,合理性を有し、政治社会に能動的に参加する人々のことであり、西欧では名誉革命やフランス革命以後、この人々が政治的主体となったとされている。もっとも、現実にはすべての「市民」が理性を備えて合理的に判断できるわけではなかったであろうが、具体的には制限選挙制のもとで一定の自然人だけが政治に参加していたのである。



⑬  市民社会における議会制では、議員はある身分の選挙人または選挙区の代理人であるという観念は否定され, 議員は全国民の代表者であるという思想が成熟した。イギリスの保守思想家バークが1774年にブリストルでおこなった「諸君は確かに代表を選出する。しかし一旦諸君が彼を選出した瞬間から、彼はブリストルの成員ではなく王国の議会の成員となるのである」という有名な演説(ブリストル演説)は、それを表明していると言われる。フランス革命によって生まれた1791年憲法は、議員に対する強制委任の観念を否定し、議員は全国民の代表であって選挙区民の委任を受けないとする自由委任の原理を採用した。さらに、有権者である国民は直接に統治に参加すべきであり, 国民と国家との中間にさまざまな団体(中間団体)が存在することは非民主的であるとされた。



⑭  これに対して、大衆社会は「大衆」が主人公となる社会のことである。大衆は、一般的に社会を占める大多数の人々、またはそれに属する個人を指す言葉であり,「市民」と比較した場合には無産者であること、異質性·匿名性を持つこと、非合理的(判断するための十分な知識や能力を持たず、自律的に適切な決定をすることができない)であることに特色がある。政治から排除されていた無産者による政治参加への要求に応える形で、選挙権が徐々に拡大され、20世紀に入り普通選挙制が多くの先進国で導入されたことによって、市民社会から大衆社会への転換が起こった。



⑮  理性的な判断ができない自然人が政治に参加することの危険性は、大衆が政治に参加するようになった大衆社会の到来以降、特に叫ばれるようになった。その代表は、スペインの哲学者であるオルテガの『大衆の反逆』である。



⑯  オルテガは、大衆とは欲望と権利意識のみを持った凡庸な人間の集合体であり、大衆が本来はエリートの領分であるべき政治に進出するため、大衆による圧政の危機が招来されるとした。オルテガは大衆を批判したが、オルテガの批判の対象としたのは、大衆一般ではなく、社会に責任を持とうとしない「大衆人」という人間のタイブである。オルテガは、生まれながらの身分としては貴族であるがその心性が大衆であるという者が多いと批判している。オルテガが指摘したのは、少数エリートと大衆の従順性との結合の危険性であり、「貴族」(自ら進んで社会に責任をとろうとする少数派)による政治を求めたのである。



⑰  一方で、第一次世界大戦の終結によって、ドイツやロシアで帝政が崩壊するという混乱のなかで、西欧ではファシズムが勃興するようになる。このような政治情勢のなかで、ドイツの理論経済学者·社会学者レーデラーは、『大衆の国家』を著し、ファシズムの基盤を組織化された大衆の積極的な支持に求めた。レーデラーは、ファシズムが階級·階層を含めたあらゆる社会集団を破壊して「大衆」に作り変え、大衆がカリスマ的なリーダーに扇動される「大衆の国家」が出現したと主張したのである。



(中略)



⑱  議会制民主主義の発展の歴史をふまえると,自己決定支援アプリのように AI が自然人の判断を代行することによって議会制民主主義に関与することについては、二つの側面から理解することができる。



⑲  国民と国家との中間にさまざまな団体が存在することは非民主的であるとするフランス革命以降の民主主義観に立つと,AI が有権者である国民と国家とのあいだに介在することは、決して好ましいことであるとは言えない。政治に参加するのは、あくまでも自然人であるべきであるので, AI というものが自然人である有権者と国家とのあいだに介在することは、民主主義をゆがめるおそれがある。また, AI による判断に有権者が依存することは、市民が政治社会に能動的に参加するという市民社会の原理を否定するものになりかねない。



⑳  一方、大衆社会論の立場から考えると、 AI は衆愚政治や大衆迎合政治の危険を防止することができるかもしれないし、逆にそれを加速するかもしれない。理性的な判断ができない大衆が政治に参加することによって、大衆による圧政の危機が招来され、世界は実際にファシズムという「大衆の国家」を経験した。日本の天皇制ファシズムについては、必ずしも大衆の支持を前提とはしていなかったという「上からのファシズム」論もあるが, 少なくともドイツやイタリアでは大衆がカリスマ的なリーダーに扇動されたことは歴史的な事実であろう。



21  大衆政治の危険性が,大衆が理性を有しないことによるとすれば、大衆に理性を付加すれば、その危険性は減少するはずである。大衆が政治的判断をおこなう際に、AI という「理性」の助けを借りるようになれば,非合理的な判断や意思決定をおこなわないようになる可能性がある。その結果, AIによって大衆は理性を備えることができ、あたかも理性をもって自律的に政治的な判断をおこなっていた市民のように政治に参加することができるようになるだろう。



22  自然人以外のものが,自然人の政治的判断を手助けする例は、 すでに存在する。その一例は、 ボートマッチである。ボートマッチとは、選挙に関するインターネット·サービスの一種であり,有権者と立候補者または政党の考え方の一致度を測定するものである。候補者に対して事前に実施したものと同じアンケートに答えることで、 立候補者または政党の考え方との一致度を数値化することができ、有権者はそれを参考にして投票方向(候補者や政党)を決めることができる。「自己決定支援アプリ」に接続する AIは、それをさらに進化させたものであると言ってよいかもしれない。



23  他方で、オルテガによれば大衆とは欲望と権利意識のみを持った凡庸な人間の集合体であるから、せっかくAI が合理的·理性的な判断をしたとしても、大衆はそれには従わない可能性がある。それどころか、このような大衆の気質を AI が先取りして判断した結果, AIは, 大衆の欲望と権利意識をくすぐる判断結果ばかりを提示するようになるかもしれない。その結果、かつてのファシズムがカリスマ的なリーダーと大衆との結合によって勃興したように, AIと大衆との結合は、きわめて危険な結果をもたらすおそれがある。



24  また、現実の統治過程においては、政策自体、必ずしも経済合理的に望ましい方向に決まるというわけではなく、あらゆる政策決定が客観的なデータに基づいてなされているというわけではない。民主主義,特に多数決民主主義の持つ病理として、多数派有権者の世論に反する政策決定をすることはきわめて難しいからである。



25  政権与党にとっては、多数派有権者の世論に反する意思決定は、 次の選挙における敗北という結果を招きかねない。他方で野党にとっても、多数派有権者の世論に反するような政策を掲げてみても、選挙の際に多数の票を得ることはできないから、政権を獲得することには大きな意義を認めていない特性の思想信条·主義に基づく政党や宗教政党のような場合を除いて、やはり必ずしも客観的データに基づき、経済合理的に望ましい政策を掲げることはできないのである。



26  前述したように, AIは自然人である有権者に対して理性を付加することも可能であろうし、逆に大衆迎合的な判断を提示するようになるおそれもある。客観的データに基づき、経済合理的に望ましい政策を選択するように AI が促したとしても,自然人である有権者はそれに従うべきなのであろうか。それとも,欲望と権利意識に基づいた判断をすること自体も政治的自由のひとつなのだとすれば、それは否定されるべきではなく、肯定せざるを得ないのであろうか。



27  民法や刑法などにおいては、理性的な判断をおこなうことができない自然人や十分に理性的ではない自然人がおこなう意思決定について、その効果に制限を加えたり場合によっては無効としたりする制度が用意されている。たとえば民法の領域には、行為能力という考え方がある。行為能力とは、単独で完全に有効な取引行為(法律行為) をすることができる能力ないし資格のことを言うが、この場合、ある自然人が単独で判断をおこなうことができるということが前提となっており、通常は成年に達すると自動的に行為能力を有することになる。しかし、 精神障害などによって十分な判断能力を持たず、単独で判断をおこなうことが難しい成年者も存在する。そこで、このような成年者に対しては、成年後見という制度が設けられている。(略)これに対して、統治の領域では、原則として有権者年齢に達したすべての国民が平等に参加することが重視される。このことから、理性的ではない自然人にも、政治への参加を許容しなければならない。大衆社会論との関係では理性的ではない自然人の参加は問題となるが,他方で、病気や障害などの理由があったとしても、日本国民であれば政治に参加する権利は保障されなければならないという点からの要請があることにも留意する必要がある。



(中略)



28  先に述べたように、現実の統治過程においては、政策決定は客観的なデータに基づき経済合理的に望ましい方向に決まるというわけではなく、理念や主義主張の裏付け(エビデンス)がないまま、移ろいやすい(略)時々の世論における多数決によって政策が決定されているという例は少なくない。近年、そのような政策決定のあり方について、データに基づき対象を経済学的な手法で分析し、その成果に基づいて客観的な決定をおこなおうとする動きがある。



29  少子高齢化の進行や地域間格差の拡大、地方からの人口流出と地方経済の衰退など、日本は多くの課題を抱えており、これらの課題の解決には、客観的なデータに基づく冷静な政策判断が不可欠である。このような政策判断や決定は、近年「データ·ドリブン(data driven)」と呼ばれることもあり、新ビジネスの創出や社会的課題の解決への期待が高まっている。このうち新ビジネスの創出については、経済産業省の主要施策のひとつとしても位置づけられている。



30  このようなデータに基づき政策決定をおこなうには, まず大量かつ多様なデータの収集が必要である。そのためには、各種のセンサーやさまざまな機器類がインターネットに接続されることによって幅広くデータが収集される AI ネットワークの果たす役割は大きい。



(中略)



31  今日の民主主義の根幹をなす国民主権の契機のなかには、対外的独立性というものが含まれている。このことから,ある主権国家の統治からの外国勢力の排除は当然のことであり、今日の国際社会においても主権侵害や内政干渉は許されないということが常識となっている。



32  さらに,有権者は法律で規定された選挙権年齢に達した自然人であれば誰でもよいというわけではなく、外国人には選挙権を与えるべきではないという意見も根強い。



33  ここでは外国人の参政権の問題に関する考察は措くとするが,ある国の政治に関する決定からは外国は排除されるべきだという考えが根強いことには、 注目する必要がある。



出典:湯淺墾道 「AIネットワークと政治参加·政策決定」福田雅樹=林秀弥=成原慧編『AI がつなげる社会–AIネットワーク時代の法·政策』298頁~317頁(弘文堂,2017年)のうち,300頁から313頁を抜粋し問題文として出題した。ただし、出題の都合上,文章の一部を省略または加筆·修正している。



設問1 問題文の内容を300字以内で要約しなさい。



設問2 有権者が選挙で候補者または政党を選び投票する際、投票所において、有権者の判断を代行する「自己決定支援アプリ」を活用して、投票することについて、あなたはどのように考えますか。自分の意見を500字以内で述べなさい。


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