(1)問題
「嘘をつく人と、嘘を疑う人」が登場する作文を書いてください。800字
(2)考え方
登場人物は最低でも2人。
「嘘をつく人と、嘘を疑う人」がお題だから、小説を書くこと。
当然、会話文も入れたほうがよい。
オチとして、嘘がばれるか、最後まで嘘をつき通すかのどちらかだろう。
嘘がばれるオチのほうが簡単だ。
嘘をつく側の弁明に矛盾が生じるパターンか、嘘だと判明する証拠が出されるパターンか。どちらかだろう。
解答例では、後者で書いた。
(3)解答例
「私のシュークリーム、食べたでしょう?」
僕の部屋にノックなしに入ってきた姉は血相を変えている。僕は一瞬ドキリとしたが、すぐに平静を装った。「知らないよ」。
「でも、後で食べようと思ってリビングに置いておいた私のシュークリームが無くなってる」姉は僕ににじり寄る。
「ママが食べたんだろう。」
「ママは朝から出かけているから、ママじゃないよ。」姉は顔を近づけて、吐息が僕の顔にかかる。
「じゃあ、パパでしょ。」
「パパは甘いものが嫌いだから、食べるわけないよ。」
「それじゃあ、ユキだろ。」
「ユキに聞いたら、違うって。さっき、ノボルがシュークリームの箱を開けていたのを見たって。だから、食べたのは。アンタだよ。」
スッと伸びた姉の指が僕の鼻づらをかすめる。
「中に何が入っているのか、ちょっと覗いただけだよ。でも、僕は食べたりしない。」
僕は首を振って懸命に訴えるが、姉はさらに僕を追い詰める。
「じゃあ、誰が食べたのよ。家の中にはアンタと私とパパとユキしかいない、パパとユキじゃなければ犯人はアンタしかいない。」
ここで認めたら、姉のことだから倍返しでは済まない。僕はしらを切ることに決めた。
「しつこいな。僕じゃないって言ってんだろ。決めつけるような言い方されて不愉快だ。そんなに言うんだったら、僕が食べたって言う証拠があんのか?」
姉は持っていたトートバックを振り上げた。バックで殴り掛かられる。そう思って僕は体をかわした。
殴られるというのは僕の思い過ごしで、姉はバックの中からある物を僕に渡した。
渡されたものを手に取って中を覗き込むと。
そこには、口の周りにべっとりとクリームがついたマヌケ顔が映っていた。
(4)解説
前回の日藝の文芸専攻の問題は、ちょっとエキセントリックな内容になってしまい、多くの読者にドン引きされたので、今回は普通に書いた。
高校生でも書ける内容にレベルを落として書いた。
内容としてはアルアルで、特別オリジナリティを発揮したというわけではない。
平凡な内容であっても、会話や情景を丁寧に描写して、しっかりと書けば合格をもらえる。
書き方のコツとしては、オチをすべて説明しすぎないことに尽きる。
今回は姉から渡されたものが鏡であることは書かない。
最後の一文で読者に想像させることが肝要になる。
つまり、これが「行間を読む」ということだ。
小論文では、すべてを説明し切れていないと減点になる。
しかし、作文では逆に説明しすぎると野暮になる(減点される)。
あえて、書かないという省略の技法が最大の特徴と言ってもよい。
受験生の参考になれば幸いだ。
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