【人に差をつける】志望理由書の書き方

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(1)推薦入試やAO入試では志望理由書が重要


 推薦入試やAO入試では、出願の際、志望理由書を大学に提出します。
 これは面接試験での大学側の参考資料となりますので、念入りに書かなければなりません。
 以下に志望理由書を書くに当たっての注意点などをお話していきたいと思います。

(2)志望理由書の構成


 志望理由書は以下の4部構成で書くことをお勧めします。
① 過去、②現在と志望理由、③将来の展望、④決意表明とまとめ
 自分の過去と現在については志望動機に関係する部分だけを書き、関係しない事項は自己PR書のほうに書くといいでしょう。

志望理由書.png

(3)過去(自分の履歴と進路決定の契機や動機)


 まず、過去については大きく2点を重視して書きます。
 第一に自分の履歴です。
 小学校、中学校、高校とどんな学校生活を送ってきたか、について書きます。
 学習内容と成績や生徒会活動、部活動、校外活動(ボランティアやスポーツクラブ活動など)とその成果(インターハイ出場といった成果、地区や全国大会の順位、大会記録など)や取得した資格・段位(英検準1級、ニュース時事能力検定、IT パスポート、剣道三段など)や入賞歴(県の絵画コンクールで金賞、スピーチコンテストで優勝)、褒賞(知事褒賞受賞)、表彰(皆勤賞)、留学経験などを具体的に書く。
 第二に、契機や志望動機です。その職業につきたい、資格を取りたい、その大学を受験することを決意した契機、きっかけに関するエピソードは詳しく書くこと。字数に余裕があれば、教師や友人などから言われて印象に残った言葉を引用するのもいいでしょう。

(4)現在の自分の状況


① 校内活動、部活動、校外活動の内容とそこでの役務・役職(生徒会長、部長、運動部のキャプテンなど)を書く。
 将来の大学入学に備えて、自分はどんな点に注意を払い、どのような工夫や努力をしているかを具体的に書く。
たとえば、陸上長距離の選手で、大学入学後もスポーツ系の大学で陸上競技を続ける場合、練習内容をどのように工夫して、その成果がどのような形で現われたか(現れつつあるか)を書く。
(未来のところで、志望大学の部活の練習法がいかに自分にマッチしているかを書くとよい)
②志望理由を課題解決型の文章構成にする
1)自分は〇〇の課題を抱えている。
注意:この課題は自分の個人的な理由や悩みだけでなく、社会的な課題と共通する広がりを持ったものであることが重要です。
  2)その課題を解決するために、貴学で××を学ぶ必要があります。
③志望理由を現在、過去の自分に関連付けて書く。
 数ある大学のなかで、自分はなぜその大学を志望するのか、ここにポイントを絞って明確に書いてください。
 書く際には、大学の入学案内のパンフレットにあるアドミッション・ポリシー(建学の精神・理念)を必ず参考にすること。自分の将来の展望とアドミッション・ポリシーのどの部分がどのように重なるかという内容で書くとよいと思います。
 また、オープンキャンパスにも必ず行ってください。
 自分がオープンキャンパスを通して実地で体験し、大学担当者や学生に話を聞いた話の内容とその印象や意見、感想も添えて書くこと。

(5)将来の展望(大学入学後に何をしたいか)


 まずは直近の未来から。
 大学入学後、自分が力を入れてやりたいことを書きます。
 大学での勉学は当然ですが、とくにどういった学問分野、学問領域、講座やゼミを受講したいのか、講座名、ゼミ名、教官名まで具体的な名前を挙げて書くとよいです。
 語学の勉強も重要になりますが、これも具体的に書くこと。留学の希望や専門学校や通信教育でさらに語学を磨く、あるいは語学以外の資格を取る、といった内容もいいでしょう。ただし、医学部などの難関国家試験の資格をめざす大学では、専門学校や通信教育に充てる時間はないでしょうから、できないことを書くと空手形になり、かえって悪い印象を与える危険があります。
 大学院に進学する希望がある場合もあらかじめその旨を書きましょう。

(6)将来の展望(大学卒業後に何をしたいか)


これは大学や大学院卒業後の未来です。社会人になって、どのようなところに就職し、どういった活動を志すのかを具体的にイメージしながら書きます。
書き方は5W1Hが基本です。

① When(いつ):あなたが大学(大学院)卒業後の日本はどのようになっているかを想像して書いてください。
具体的に、いまから10年後と指定して書くほうがよいでしょう。
今年が2020年の場合は、2030年の日本を想定します。
今よりも少子高齢化が進展しています。こうした状況を盛り込んで書きます。
2025年問題を取り上げて書くのも1つの方法になります。
2025年問題:戦後の第一次ベビーブーム(1947年~1949年)に生まれた、「団塊の世代」が後期高齢者(75歳)になり、医療・介護などの社会保障費の急増が懸念される問題。

② Where(どこで):たとえば医歯薬看護系学部志望の受験生で地域医療を志す人は、将来自分が働きたい具体的な都道府県名を書いて考えること。その都道府県の高齢化率や人口構成、出生率などの人口動態を必ず入れること。人口1000人当たりの該当都道府県の医師・看護師数も入れるとよい。ほかに気候や風土、主な死因、外国人の数と比率などを調べて、数字やデータをもとに地域のなかでの自分の将来像を書くとより説得力を増す
ことになります。県によっては、人口1人当たりの該当都道府県の医師・看護師数が他県に比べて少ないところ(千葉県など)があります。こうした状況を踏まえて、この課題と自分がどのように向き合って業務を遂行するかを書く方法もあります。

③ Whom(誰と):Who(誰が)=「私が」は当然なので、できれば「誰と」を入れましょう。
医歯薬看護系や福祉系の大学・学部を志望する人は、将来関係する職種の方々関係との協働で業務を遂行します。たとえば、市役所で福祉担当の職員を希望する人は、地域の医師、看護師、保健師、ケアマネージャー、ソーシャルワーカー、NPO団体、特別支援学校の教員、警察署などとの協働をイメージして書いてください。

④ Why(なぜ):なぜそこの都道府県で働きたいかという理由を書きます。

⑤ What(何を)、⑥How(どのように):これは具体的に情景をイメージして書いてください。たとえば、次のような書き方です。

1) 保健師になって新型コロナウイルスの予防と対策に力を注ぎたい。

2) 看護師になって僻地の地域医療に貢献したい。

3) 文科省の職員になって、教育の現場にIT導入を進めたい。

1)のような、時事に関連する志望は高評価となる場合が多い。ですが、本心ではなく、初めから高評価を狙ってウケのいいことを書いたり、面接で言ったりすると、かえって逆効果です。面接官もこれを見抜くので、安易に時流に乗るのは控えたほうがいいでしょう。人員が不足している中、現場でコロナ対策をされている保健師のみなさんは疲弊されていて、しかも感染リスクが高く、自身の命がかかっています。実際に保健師の現場の仕事はそう甘くはなく、キレイごとでは済まされない世界であることを理解してください。


 2)地域医療はこれからさらに高齢化が進む日本の社会にとって重要性が増してきます。医歯薬看護をめざす受験生は地域医療を念頭に考えて志望理由書を書くといいでしょう。ただ、ひと口に地域と言っても、地方によって人口動態や風土、気候、地域の産業などによって住民の健康状態や罹患率、かかりやすい病気などが異なります。できれば、自分が将来勤務したい都道府県、あるいは離島や地方都市の具体的な名前を挙げて、事前にその地域の実状を調べたものを反映させて書くと大学側にうまく伝わります。
 3)国家公務員や地方公務員を志望する受験生は、具体的な部署や地方自治体名を挙げて書くといいでしょう。それがまだわからない場合は、たとえば防災行政を担当したい、生活保護などの生活困窮者担当の仕事をしたい、といったように具体的な事例を挙げて書くことを勧めます。企業に就職したい場合も具体的な職種や職務内容などを書くこと。ルーティンワークではなく、何か新しいことをやりたい、こういう商品を開発したいといった、具体的な希望や展望があるとなおよい。企業名までは書かなくてもいいです。

(7)まとめの書き方


 ここで、いったんまとめを書きます。(6)で述べた「未来(大学卒業後に何をしたいか)」のために、(5)で述べた「未来(大学入学後に何をしたいか)の関連性を論理的にまとめます。つまり、以下のような流れになります。
「(6)の目標を実現するために(5)の大学での学びが自分にはぜひ必要である」
 もし、まだ大学卒業後の目標がまだ明確に定まっていない人は次のような発想で書きましょう。自分が志望する大学・学部での学びが将来、どのような分野の仕事に役立てることができるのか。自分がどのような知識や技術が習得され、そのスキルを社会のなかでどんなふうに活用できるのか。このような観点から考えて自分の将来像を明確にすること。
 その際、漠然としたイメージではなく、具体的な映像や音声を伴ったヴィジョンがあるほうが、相手にうまく伝わります。たとえば、高齢者と接する仕事を将来したいのであれば、自分が職に就いて高齢者にどのような言葉をかけたいのか、高齢者からどのような言葉をかけられたいのか。自分や高齢者の表情や仕草までを具体的に描いて書くと、あなたの人となりまでが大学側に伝わって評価につながりやすいでしょう。

(8)決意表明で締めくくる


 さあ、いよいよ最後の締めくくりです。
 自分の履歴を振り返り、現在の状況を踏まえて卒業後の目標が達成されるには貴学に入学することが自分にとって必要不可欠であるということを強調して志望理由のまとめとすること。
 最後は決意表明で終わらせてください。
 自分は貴学で学んだあかつきには、将来、必ず「〇〇」になる(する)ことを決意する(決意します)。
 このように最後は強い言葉で締めくくること。「〇〇」には、自分の理想とする将来像を入れてください。
 例:地域医療に貢献して、人々の生活に安心を届けることを決意します。

【注意】

 志望理由書に上記のものをすべて書くわけではありません・。
 細かい履歴や特技などは自己PR書ほかの書類に書き、志望理由書には志望動機に関係するところを適宜ピックアップして書いてください。
 指定字数によっても当然、書く内容が異なります。

(9)志望理由書が郵送の場合の注意点


 最近、志望理由書はインターネットで登録する大学が増えていますが、郵送で大学に送る場合、必ず1部コピーして手元に置いてください。
 面接で書いた内容を聞かれますので、面接試験までに志望理由書に沿った想定質問集を作っておく必要があります。

(10)自己PR書に書く内容


①「何を」「どのように」といった内容を具体的に書く
  とくに高校生活で力を入れたことを詳しく書く。単に勉強をがんばった、などという漠然とした書き方ではなく、どの教科をどのような勉強方法で取組んだ結果、どのような成績向上につながったのか(模試の順位や学校の定期テストの得点、学校の評定など)を具体的に書くこと。

② クラスや部活、校外活動などの人間関係やグループ、組織内での自分の役職や役務、役割や貢献度、周囲の人間からの自分に対する評価などを書く
 たとえば、次のような内容を具体的に書く。
生徒会長として高校内でのボランティア活動を自分が率先して企画、実行し、公園の清掃活動が評されて地元の町内会から感謝状が学校に届いた。
バレーボール部の部長として強いリーダーシップをもって部員をまとめ、団体戦で初めてインターハイ出場を果たし、部員やコーチの厚い信頼を得た。

③ 志望大学・学部と関係のある趣味、特技や長所などがあれば書く。

 趣味・特技の例1:福祉関係の学部に志望する受験生の例
 自分は高齢者に好かれることが多い。先日ボランティアで訪れた介護施設でお年寄りと仲良くなり、いまも文通が続いている。

 趣味・特技の例2:ケン玉、記憶力(〇〇線の駅の名前を全部言える)、落語

 ケン玉や落語は直接大学の勉強や入試と関係がないと思われるかもしれません。しかし、面接の際の話題作りに利用できるアイテムの1つです。
 面接では数ある受験生の中でいかに自分を面接官に印象付けるかが勝負になります。
 その際、面接でケン玉や落語の話題が出て、その場で披露して盛り上がれば、強い印象を残す可能性があります。まず面接官に自分を覚えてもらうことを第一に考えてください。
 趣味や特技で校内活動、部活動、校外活動での成果を優先的に書くのが常識ですが、もし書くべきことがない場合には、このような人とは違った趣味・特技を武器にするという方法もあります。

④アルバイト経験は書かない。

 高校生のアルバイトは禁止する高校もあり、バイトは高校生の本分から外れます。また実務のキャリアとして評価されることは少ないので、書く必要はありません。

⑤短所や欠点もときには評価の対象になる。

 短所や欠点をそのまま書くと落とされる、と心配する人も多いかと思いますが、そんなことはありません。
 ただ、気になる場合には、表現を工夫して書くのです。
 以下の例を参考にしてください。

1) ×おしゃべりで、つい口がすべって余計なことを言ってしまう⇒〇話好きが過ぎてしまう
2)×おせっかいで人に干渉しすぎて嫌われる⇒〇人の面倒見が良すぎるところがある
3)×引っ込み思案で何事も消極的⇒〇内向的な面がある
 短所・欠点を場合、自分はそれをどのように克服しようとしているのか、まで書くべきです。
 たとえば、上の例の場合は次の文章を添えること。
1) 話好きが過ぎてしまう。そこで、自分が話す前に人の話をじっくりと聞くようにしています。
2) 人の面倒見が良すぎるところがある。自分が出過ぎるのを抑えて、友達同士お互いに自立した人間関係を築けるように努力しているところです。
3) 内向的な面がある。そんな自分を変えようと、最近は私のほうから積極的に人に話しかけるように心掛けています。
 志望理由書や自己PR書などで大学側が短所・欠点を書かせる意義は、受験生がどれだけ自身を客観視できるか、という部分を見たいからなのであって、あまり神経質にならなくてもいいかと思います。
 むしろ、面接のときに志望理由書で書いた短所・欠点を出さない努力と工夫が必要になります。

(11)補足


 自分の特技や長所などを恥ずかしくて遠慮気味に書く人がいますが、入試で謙虚さは美徳ではありません。
 嘘を書くのは論外ですが、多少は誇張気味に書くほうがいいでしょう。
大会の順位や記録などは正確に書いてください。虚偽や間違いはモラルに反する行為であるばかりか、あとで発覚した場合、大変なことになります。記録類や表彰状、過去の作品などは写真を撮って志望理由書、自己PR書と一緒に送るという方法もあります。


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