外科学概論「2 創傷」

外科学概論「2 創傷」

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学び
A 創傷の処置と感染予防
**問題1:湿潤環境での創傷治癒について正しいのはどれか。**
1. 擦過傷は「速く乾燥させる」のが理想である。
2. 湿潤環境のほうが、乾燥させるよりも治癒が速い。
3. 感染を伴う創傷にはハイドロコロイド材を用いる。
4. 閉塞ドレッシング材は、創の乾燥を目的とする。

**答え:2**
**解説:** 擦過傷は従来「速く乾燥させる」といわれてきましたが、実際には湿潤環境(ウェット環境)のほうが治癒が速いとされています。感染を伴わない擦過傷に対して、オブサイトやデュオアクティブなどの閉塞ドレッシング材が用いられます。

**問題2:創の洗浄について誤っているのはどれか。**
1. 汚染や異物は創傷治癒を遅延させる因子である。
2. 滅菌生理食塩水を用いて洗浄除去する。
3. 創内の壊死物質はガーゼやブラシを用いて除去する。
4. 消毒薬による頻回の洗浄が最も推奨される。

**答え:4**
**解説:** 開放創では、汚染、異物、壊死物質などが治癒を遅延させるため、滅菌生理食塩水を用いてガーゼやブラシでこれらを洗浄除去します。ソース内では、洗浄において消毒薬を優先する記載はありません。
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**問題3:デブリドマン(debridement)の目的として正しいのはどれか。**
1. 創部を乾燥させて細菌繁殖を防ぐ。
2. 壊死物質や挫滅組織を切除し、新鮮な清潔創にする。
3. 二次縫合の前に創を一時的に閉鎖する。
4. 創傷治癒を遅延させる因子をあえて残す。

**答え:2**
**解説:** デブリドマンは、一次縫合を確実にするために、創の縫合閉鎖の前に壊死物質や挫滅組織を切除し、新鮮な清潔創にすることを指します。

**問題4:創の縫合について正しいのはどれか。**
1. 受傷後、時間が経過した汚染創には一次縫合を行う。
2. 機能的・外見的に、二次縫合による治癒が理想である。
3. 組織の欠損が著しい創部では二次縫合を行う。
4. 皮膚の欠損部には、必ずデブリドマンのみを行う。

**答え:3**
**解説:** 機能的にも外見的(美容的)にも一次縫合による一次治癒が理想です。しかし、受傷後時間の経過した創や汚染創、組織欠損が著しい創では二次縫合が選択されます。

**問題5:創傷治癒を遅延させる「局所的因子」に含まれるのはどれか。**
1. 低栄養
2. ステロイド投与
3. 壊死組織の存在
4. 糖尿病

**答え:3**
**解説:** 創傷治癒を遅延させる局所的因子には、細菌汚染・感染、異物・壊死組織の存在、死腔、血流障害などがあります。低栄養やステロイド、糖尿病は「全身的因子」に分類されます。

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### B 創傷の治癒過程
**問題1:創傷治癒過程の第一相(炎症性反応期)で起こる現象はどれか。**
1. コラーゲンの合成
2. 局所の止血と血漿蛋白の滲出
3. 創部の収縮
4. 上皮化の完成

**答え:2**
**解説:** 第一相(炎症性反応期)は受傷直後の反応で、小血管の収縮による局所の止血や、細静脈の拡張による血漿蛋白・血球成分の滲出が起こります。

**問題2:線維芽細胞増殖期(第二相)について正しいのはどれか。**
1. 受傷後2〜3日から始まり、肉芽組織が形成される。
2. 炎症性反応の直後に血漿成分が消失する時期である。
3. 受傷後24時間以内にコラーゲン合成が最大となる。
4. 創部の抗張力は低下し続ける。

**答え:1**
**解説:** 線維芽細胞増殖期は受傷後2〜3日から始まり、線維芽細胞が出現して肉芽組織が形成されます。受傷後5〜7日経つとコラーゲンが合成され、創部の抗張力が増してきます。
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**問題3:成熟期(第三相)において、創傷治癒が完成する目安はいつか。**
1. 受傷後3日以内
2. 受傷後5〜7日前後から
3. 炎症反応が消失するまで
4. 抗張力が受傷前と同じになるまで

**答え:2**
**解説:** 治癒を遅延させる要因がなければ、受傷後7日前後から成熟期に入り、創部が収縮・上皮化されて治癒が完成します。

**問題4:創部の抗張力(傷の強さ)の変化について正しいのはどれか。**
1. 受傷後3週間までは急激に強くなる。
2. 受傷後6ヶ月で完全に停止する。
3. 線維芽細胞が消失すると強さは半分になる。
4. 成熟期に入ると抗張力は減少する。

**答え:1**
**解説:** 抗張力は受傷後3週間までは急激に強くなり、その後も6ヶ月ぐらいまで徐々に上昇を続けます。

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**問題5:創傷治癒過程の順序として正しいのはどれか。**
1. 成熟期 → 炎症性反応期 → 線維芽細胞増殖期
2. 炎症性反応期 → 線維芽細胞増殖期 → 成熟期
3. 線維芽細胞増殖期 → 炎症性反応期 → 成熟期
4. 炎症性反応期 → 成熟期 → 線維芽細胞増殖期

**答え:2**
**解説:** 創傷治癒過程は、①炎症性反応期、②線維芽細胞増殖期、③成熟期の三相に分類されます。

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### C 多発外傷の対応
**問題1:多発外傷の対応において、最優先されるのはどれか。**
1. 骨折部位の固定
2. 気道の確保
3. 創部のデブリドマン
4. 詳細な病歴聴取

**答え:2**
**解説:** 多発外傷の治療では優先順位が重要であり、生命維持に直結する「気道の確保、呼吸機能回復・保持」が最優先されます。

**問題2:多発外傷の治療優先順位で、二番目に優先されるのはどれか。**
1. 大出血およびショックに対する治療
2. 軟部組織の縫合
3. 消化管の精密検査
4. 脱臼の整復

**答え:1**
**解説:** 短時間で生命維持に影響を及ぼす病態として、①気道の確保、②大出血およびショックに対する治療、③骨折部位の固定などの処置を優先します。
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**問題3:多発外傷を診断する際の心構えとして適切なのはどれか。**
1. 目に見える損傷のみを確実に処置する。
2. 意識がある場合は、バイタルサインの評価を省略する。
3. 他の部位の損傷の可能性を常に念頭に置く。
4. 骨折の固定が終わるまで呼吸管理は行わない。

**答え:3**
**解説:** 災害外傷では、目の前の損傷にとらわれず、他の部位の損傷(多発外傷)の可能性を常に念頭に置いて診察する必要があります。
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**問題4:多発外傷の定義に近い記載はどれか。**
1. 同一の部位に複数の創傷がある状態。
2. 二つ以上の部位、あるいは臓器に損傷がある状態。
3. 単一の骨折が複数箇所ある状態。
4. 擦過傷が全身に広がっている状態。

**答え:2**
**解説:** ソース内では、多発外傷について「他の部位の損傷(二つ以上の損傷)」の可能性を考慮すべきであるとの文脈で記載されています。

**問題5:多発外傷における「ショックに対する治療」に含まれないのはどれか。**
1. 輸液・輸血による循環血流量の確保
2. 止血操作
3. 創部の抜糸
4. バイタルサインの監視

**答え:3**
**解説:** ショックに対する治療は生命維持のために優先されますが、創部の抜糸などは急性期の救命処置には含まれません。

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### D ドレッシング
**問題1:創部閉鎖から上皮化がなされるまでの時間は一般的にどのくらいか。**
1. 12時間
2. 24時間
3. 48時間
4. 1週間

**答え:3**
**解説:** 創部縫合閉鎖から48時間で上皮化がなされると考えられています。
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**問題2:従来の「毎日消毒を行い、ガーゼを貼付する」処置について、現在の見解はどれか。**
1. 創傷治癒に最も有効な手段である。
2. 科学的根拠に乏しい。
3. 48時間以降も毎日行うべきである。
4. 湿潤環境を維持するために不可欠である。

**答え:2**
**解説:** 従来のいわゆるガーゼ交換(包帯交換)は科学的根拠に乏しいとされています。
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**問題3:ガーゼによるドレッシングの欠点はどれか。**
1. 浸出液を吸着することで創部を乾燥させてしまう。
2. 創部を湿潤環境に保ちすぎる。
3. 上皮化を48時間以上に遅延させる。
4. 外部からの細菌侵入を完全に防げない。

**答え:1**
**解説:** ガーゼにより浸出液を吸着することで創部は乾燥した環境になります。創傷治癒の観点からは、湿潤環境におくほうが有効と考えられています。


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**問題4:上皮化がなされた後の創部の扱いについて正しいのはどれか。**
1. 1ヶ月間は閉塞ドレッシングを継続する。
2. 48時間経過後にドレッシングをはずし、開放としても問題ない。
3. 毎日強力な消毒薬で洗浄し続ける。
4. 浸出液がなくなるまでガーゼを厚く当てる。

**答え:2**
**解説:** 48時間で上皮化がなされれば、外部からの細菌などは創内に侵入できないため、48時間経過後にドレッシング材をはずし、以後創部は開放としても問題ありません。
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**問題5:ドレッシング材の使用目的として正しいのはどれか。**
1. 創部を乾燥させ、かさぶたを早く作る。
2. 創部を湿潤環境に保ち、治癒を促進する。
3. 毎日消毒薬を塗布するための土台とする。
4. 48時間以降の細菌侵入を物理的に阻止し続ける。

**答え:2**
**解説:** 各種ドレッシング材を使用し、上皮化がなされるまでの間は創部を湿潤環境におくほうが創傷治癒には有効と考えられています。
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