練習問題を作成いたしました。学習の参考にしてください
A 損傷の分類
問題1:創傷の定義について正しいのはどれか。
1. 損傷に伴う組織の離断あるいは欠損をいう。
2. 機械的外力以外の原因によるものを狭義の創傷という。
3. 非機械的損傷には気圧による減圧症が含まれる。
4. 手術創は一般的な機械的損傷に分類される。
答え:1
解説: 損傷に伴う組織の離断あるいは欠損を創傷(wound)と呼びます。
機械的外力によるものを狭義の創傷とし、減圧症は機械的損傷の一部に分類されます。
本書では手術創は一般的な機械的損傷には含めないとしています。
問題2:皮膚・粘膜の損傷の有無による分類はどれか。
1. 鋭器損傷と鈍器損傷
2. 開放性損傷と非開放性損傷
3. 受傷機転による分類
4. 形態による分類
答え:2
解説: 皮膚、粘膜の損傷の有無で、開放性損傷と非開放性損傷に分けることができます。
問題3:鋭利な器具による切開創を何と呼ぶか。
1. 挫創
2. 裂創
3. 切創
4. 割創
答え:3
解説:鋭利な器具による切開創を切創(incised wound)と呼びます。
問題4:鈍器による損傷で、創面が挫滅されているものを何というか。
1. 挫創
2. 刺創
3. 剥脱創
4. 銃創
答え:1
解説:鈍器による損傷で創面が挫滅されているものは挫創(contused wound)です。
問題5:機械的損傷の診断と治療の原則について、優先されるのはどれか。
1. 創部のデブリドマン
2. 創部の洗浄
3. 全身状態(バイタルサイン)の把握
4. 創部の縫合
答え:3
解説:創傷そのものの処置の前に、呼吸・循環状態(バイタルサイン)などの全身状態の把握が必要であり、ときにこれらの病態治療が優先されます。
B 外傷の部位診断と重傷度の判定
問題1:病歴の聴取において、部位診断のために最も大切な情報はどれか。
1. 受傷時の天候
2. 受傷機転
3. 家族の既往歴
4. 血液型
答え:2
解説: 受傷機転、事故発生からの時間的経過の情報は、部位を診断するうえで大切です。
問題2:成人のバイタルサインにおける脈拍数の正常範囲(回/分)はどれか。
1. 40~50
2. 60~100
3. 110~130
4. 140以上
答え:2
解説:成人では脈拍数60~100回/分が正常範囲とされ、100/分以上を頻脈、60/分以下を徐脈といいます。
問題3:ショックの診断の第一歩となる、収縮期血圧の指標(mmHg)はどれか。
1. 140~150
2. 120~130
3. 100~110
4. 80~90
答え:4
解説: 収縮期血圧が80~90mmHg以下になると組織の血液灌流は著しく低下し、ショックの状態に陥ります。
問題4:成人の安静時の正常呼吸数(回/分)はどれか。
1. 5~8
2. 10~24
3. 25~30
4. 35~40
答え:2
解説:成人の安静時の正常呼吸数は10~24回/分です。
問題5:大量出血による出血性ショックを推測させる所見はどれか。
1. 顔面紅潮
2. 手足の温感
3. 意識混濁・冷汗
4. 脈拍の徐脈化
答え:3
解説: 大量出血では、血圧低下、脈拍の狭小化、頻脈、顔面蒼白、意識混濁、冷汗などが観察されます。循環血液量の20~25%以上が失われていることが考えられます。
C 交通外傷
問題1:歩行者が車に直接衝撃を受けることを何と呼ぶか。
1. 一次衝撃
2. 二次衝撃
3. 三次衝撃
4. 複合衝撃
答え:1
解説: 車による直接衝撃を一次衝撃、その後に路面にたたきつけられる際の衝撃を二次衝撃といいます。
問題2:小児や幼児において一次衝撃による受傷が多い部位はどれか。
1. 下腿部・足部
2. 頭部・胸部
3. 脊椎・骨盤
4. 手関節・肘関節
答え:2
解説: 小児や幼児は成人に比べ重心が高いため、一次衝撃で押し倒される際の頭部・胸部の外傷が多くなります。
問題3:ドライバー外傷において、フロントガラス外傷で最も多い受傷部位はどれか。
1. 胸部
2. 下腹部
3. 頭部・顔面
4. 下肢
答え:3
解説:フロントガラス外傷では頭部、顔面を打ちつけることが多く、受傷部位の40~45%を占めます。
問題4:ハンドル外傷によって受傷頻度が高い腹部臓器はどれか。
1. 肝臓・脾臓
2. 膵臓・十二指腸
3. 大腸・小腸
4. 膀胱・尿道
答え:2
解説: ハンドル外傷では、腹部において膵臓損傷や十二指腸損傷が多く見られます。
問題5:ダッシュボード外傷で典型的な受傷部位はどれか。
1. 頸椎
2. 肋骨
3. 前腕骨
4. 股関節・膝関節
答え:4
解説: ダッシュボードに膝を強打することで、膝関節、股関節、骨盤の損傷が発生します。
D 頭部外傷
問題1:頭部外傷の病型分類において、意識障害を一過性に認め、脳の器質的障害を欠くものはどれか。
1. 第Ⅰ型(単純型)
2. 第Ⅱ型(脳振盪型)
3. 第Ⅲ型(脳挫傷型)
4. 第Ⅳ型(頭蓋内血腫型)
答え:2
解説:第Ⅱ型(脳振盪型)は意識障害が一過性で、器質的障害を思わせる症状がなく、数日で全症状が消失するものを指します。
問題2:受傷直後の意識障害が6時間以上持続する病型はどれか。
1. 第Ⅰ型
2. 第Ⅱ型
3. 第Ⅲ型
4. 第Ⅳ型
答え:3
解説: 第Ⅲ型(脳挫傷型)は、受傷直後の意識障害が6時間以上持続するか、脳の器質的障害を思わせる症状があるものを指します。
問題3:第Ⅳ型(頭蓋内血腫型)において特徴的に見られる、一時的に意識が回復する期間を何というか。
1. 無症状期
2. 意識清明期(lucid interval)
3. 潜伏期
4. 緩解期
答え:2
解説: 第Ⅳ型では、受傷直後の軽度の意識障害の後、一時的に意識がはっきりする「意識清明期(lucid interval)」を経て、時間の経過で急速に症状が悪化するのが特徴です。
問題4:衝撃部位の反対側に生じる脳損傷を何と呼ぶか。
1. 直撃損傷
2. 反衝損傷(contre coup injury)
3. 脳幹部損傷
4. びまん性損傷
答え:2
解説:脳損傷が衝撃点側に生じる場合を直撃損傷、その反対側に生じる場合を反衝損傷(contre coup injury)と呼びます。
問題5:第Ⅰ型(単純型)の説明として正しいのはどれか。
1. 脳ヘルニアを伴う。
2. 意識障害および脳の器質的変化による神経症状を欠く。
3. 手術が必須である。
4. 意識障害が数日間持続する。
答え:2
解説:第Ⅰ型(単純型)は、意識障害および脳の器質的変化によると考えられる神経症状を欠くものを指します。
E 頸部外傷(ムチ打ち症)
問題1:ムチ打ち症の発生機序に関与する物理的法則はどれか。
1. アルキメデスの原理
2. ニュートンの慣性の法則
3. パスカルの原理
4. ボイル・シャルルの法則
答え:2
解説:追突衝撃のため、頭部はニュートンの慣性の法則によって後方に振られた後、頸部の反射性収縮で前方に屈曲します。これをムチ打ち現象と呼びます。
問題2:ムチ打ち症の三主徴に含まれないのはどれか。
1. 頭痛
2. 項部痛
3. 頸部の運動制限
4. 下肢の麻痺
答え:4
解説: 症状としては、頭痛、項部痛、頸部の運動制限が三主徴です。
問題3:ムチ打ち症の初期治療において、カラー型装具による固定期間の目安はどれか。
1. 1~2日間
2. 1~2週間
3. 1~2ヶ月
4. 半年間
答え:2
解説: 初期の治療は頸部の固定と安静であり、カラー型装具で頸部を1~2週間固定します。
問題4:ムチ打ち症の治療として適切でないのはどれか。
1. カラー型装具による固定
2. 消炎鎮痛薬の投与
3. 局所安静時の牽引療法
4. 筋弛緩薬の投与
答え:3
解説: 牽引療法は局所の安静にはならないため、初期には行いません。
問題5:ムチ打ち症が発生しやすいとされる衝突時の最低スピードはどれか。
1. 5km/h以上
2. 10km/h以上
3. 16km/h以上
4. 30km/h以上
答え:3
解説: 衝突時のスピードで見ると、16km/h以上では頭頚部の重量の6倍以上の力が加わるとされ、ムチ打ち症が発生します。
F 胸部外傷
問題1:胸部外傷の受傷機転として最も多いのはどれか。
1. ダッシュボード外傷
2. フロントガラス外傷
3. ハンドル外傷
4. 歩行者の二次衝撃
答え:3
解説:多くはハンドル外傷の型で、一次衝撃によってハンドルで胸部を打撲し、胸骨・肋骨骨折で発症することが多いです。
問題2:胸壁動揺(flail chest)の定義はどれか。
1. 肋骨1本の単純骨折
2. 連続した数本の肋骨が1カ所ずつ骨折
3. 連続した数本の肋骨がそれぞれ2カ所以上で骨折
4. 胸骨の単独骨折
答え:3
解説:隣接する数本の肋骨が連続性に2ヵ所以上骨折した状態を胸壁動揺(flail chest)といいます。
問題3:胸壁動揺において認められる、吸気時に胸壁の一部が陥凹する呼吸を何というか。
1. クスマウル呼吸
2. 奇異呼吸(矛盾呼吸)
3. チェイン・ストークス呼吸
4. 起坐呼吸
答え:2
解説: 胸壁動揺では、吸気時に胸腔内陰圧が維持できないため、骨折部が陥凹するなどの奇異呼吸(矛盾呼吸)が生じます。
問題4:胸部外傷の診断に最も有効な検査はどれか。
1. 胸部X線撮影
2. 腹部超音波検査
3. 心電図
4. 血液生化学検査
答え:1
解説: 胸部外傷の診断には胸部X線撮影が有効で、心陰影、縦隔気腫、肋骨骨折の数や部位、血気胸の程度などが読影されます。
問題5:胸壁動揺の緊急処置としての「内固定法」はどれか。
1. 絆創膏固定
2. 厚手ガーゼによる圧迫
3. 気管内挿管による陽圧換気
4. サンドバッグによる固定
答え:3
解説:緊急処置として、外固定法のほかに、気管内挿管による内固定法(陽圧呼吸により内側から固定する)があります。
G 腹部外傷
問題1:腹部外傷において、歩行者の受傷機転で多いのはどれか。
1. 一次衝撃による腹部打撲
2. 二次衝撃による路面衝突
3. フロントガラスへの衝突
4. シートベルトによる圧迫
答え:1
解説:歩行者では一次衝撃による腹部打撲、運転者はハンドル外傷で腹部に損傷を受けることが多いです。
問題2:右第8、9肋骨骨折がある場合に最も疑うべき腹部臓器損傷はどれか。
1. 脾損傷
2. 肝損傷
3. 腎損傷
4. 膵損傷
答え:2
解説:肝損傷では右第8、9肋骨骨折との関連が見られます。
問題3:左第7、8、9肋骨骨折を伴う場合に疑うべき損傷はどれか。
1. 肝損傷
2. 脾損傷
3. 胃穿孔
4. 胆嚢破裂
答え:2
解説: 脾損傷では左第7、8、9肋骨骨折がみられることが多いです。
問題4:左右の第11、12肋骨骨折や腰椎横突起骨折で疑うべき臓器はどれか。
1. 膵臓
2. 腎臓
3. 十二指腸
4. 膀胱
答え:2
解説:腎損傷では左右第11、12肋骨や腰椎の横突起骨折がみられることが多いです。
問題5:近年の腹部外傷診断において、欠かすことができない検査法はどれか。
1. 単純X線撮影
2. 腹腔鏡検査
3. CTおよび腹部超音波検査
4. 消化管造影検査
答え:3
解説: 最近ではCTや腹部超音波検査が診断に重要で、腹部外傷の診断に欠かすことができない検査法となっています。