【世界五分前仮説】上智大学文学部哲学科小論文対策問題

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哲学に興味を持っている人であるなら、「世界五分前仮説」というのを知らない人はいないだろう。

世界五分前仮説とは、「世界は実は5分前に始まったのかもしれない」という仮説で、 イギリスの哲学者 バートランド・ラッセルによって提唱された思考実験のひとつだ。

仮説の内容は簡単で、この世界が5分前に創造されたとすることを誰も反証することはできない、というものだ。

いや、そんなはずはない。

自分は30分前に最寄りの駅について、そこから自転車を家までこいて、10分前に自宅に着いた。

暑かったので、ワイシャツが汗でびしょ濡れになり、いまも汗のシミがシャツについいる。

もし、世界が五分前に造られたのなら、このシャツの汗シミはどうしてついたのだ。

そういえば、駅から自転車をこいでいるとき、ファーストフード店の前を通り、フライドチキンのいい香りがしてきた。あの揚げたてのチキンのにおいは今も鼻孔にこびりついている。

だから、世界が五分前に造られたなんて、あり得ない。

そう反論する人もいるだろう。

しかし、そのフライドチキンのいい香りも、30分前に駅についてそこから自転車をこぎ、10分前に自宅に着いたという記憶も、それから汗シミのついたシャツも一切合切、5分前に創られたのだと言われたら、再び反論できるだろうか。

何のために、という目的を問うてはいけない。

それを言ったら、あなたが今から年齢分前に生まれたのは何のためにと聞かれて、たちまち答えられなくなるだろうから。

それでも、学校で歴史を習った。今から200年前は江戸時代で、当時の古文書や城郭などの建物も残っている。150年前の明治時代の写真もあるぞ。今から約2億年前のジュラ紀の恐竜の化石もある。

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と早口で証拠を並べてても無駄だ。

それらのものも全部5分前に創造されたものだからだ。

我々が住む日本や地球にあたかも5分以上前の過去があるかのように設定されて。

まるで映画「マトリクス」の世界だ。


5分以上前のすべては、虚構のもので、AIか神かはわからないが、何者かによって精巧に偽造されたと知ったら、私たちは過去の美しい思い出も嘘になり、愕然とした立ち尽くすだろう。

この【世界五分前仮説】はなかなかしぶといもので、直感的にこれは間違いだとわかっても、いざ、その間違いを論破しろと言われても、なかなか突き崩すことができない。

前置きは長くなったが、哲学科の対策問題を発表します。

【問題】「世界五分前仮説」の誤りを証明しなさい。(字数制限なし)

ちなみに「世界五分前仮説」のラッセルの文章も下に引用します。

解答例は後日、この下に書き足します。

みなさんも考えてみてください。
世界が五分前にそっくりそのままの形で、すべての非実在の過去を住民が「覚えていた」状態で突然出現した、という仮説に論理的不可能性はまったくない。異なる時間に生じた出来事間には、いかなる論理的必然的な結びつきもない。それゆえ、いま起こりつつあることや未来に起こるであろうことが、世界は五分前に始まったという仮説を反駁することはまったくできない。したがって、過去の知識と呼ばれている出来事は過去とは論理的に独立である。そうした知識は、たとえ過去が存在しなかったとしても、理論的にはいまこうであるのと同じであるような現在の内容へと完全に分析可能なのである 。

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