1.ピラミッド型?階層型?
「組織」を表現する際によく用いられる図として、ピラミッド型の階層構造があります。
この図は、ある意味では正しく、一方で誤解も招きやすいものだと私は考えています。
組織の基本構造を「役割」と位置づけるのであれば、本来は階層型ではなく、フラットな魔法陣型の図で表現するほうが自然です。
それでも、昔からの慣習の影響なのか、組織を表現しようとすると、どうしてもピラミッド型が用いられます。
これは、それを扱う人間の意識が、どこかで階層構造を前提としているからかもしれません。
私はこれまで、研修やセミナーにおけるピラミッド型の図の使われ方に、強い違和感を覚えてきました。
なぜなら、その図が職級や立場、権限といった要素において「優越」を表現してしまうことがあるからです。
なお、優越とは、権限や能力、地位などが他よりも優れている状態を指します。
2.優越を持ち込んだピラミッド型には意味がない
本来、ピラミッドという形は、面積の大きさ、すなわち量的な差や、高さによる高低差を示すものです。
この観点から見れば、組織における上下関係や職位(ポジション)の“絶対数”を表現する図として理解することができます。
だからこそ、ここに「優越」という意味を持ち込んでしまうと、誤ったメッセージを伝えてしまう可能性があるのです。
さらに厄介なのは、その誤解を含んだまま、この図の使い方が一般化してしまっている現状です。
だからこそ私は、ピラミッド型に加えて魔法陣型の図も併用することで、一人ひとりの役割の重要性をより適切に伝えることができると考えています。
そもそも、組織が階層型を意識する背景には、「役割を明確にしたい」という意図があるはずです。
しかし、「役割」という言葉を用いる以上、その定義を曖昧なままにしておくべきではありません。
3.大学院に入学して発見した「役割の本質」
私がこの「役割」という概念と、その重要性について意識的に考えるようになったのは、2023年に入学した日本社会事業大学専門職大学院 福祉マネジメント研究科での実践研究がきっかけでした。
テーマは「人材育成と人材教育」であり、社内研修にカードゲームを取り入れることで、効率的かつ高い成果を生み出すことができないかを検討していました。
研究と論文作成を進める中で、組織が機能不全に陥る要因は、各人が与えられた役割を全うせず、対人関係を優先してしまう点にあることに気づきました。
そして医療・介護・福祉業界においては、「人の手」が不可欠である以上、人材の技術や資質の水準を高める必要があるのではないかと考えるようになりました。
実践研究の中で、担当教授やゼミの仲間と議論を重ねることで、私は「役割」の定義について、まだ未完成ながらも一つの結論にたどり着きました。
それが、「役割 ≒ 業務+権限(責任)」という整理です。
つまり、組織が階層型であるならば、各階層における役割(業務と権限)が明確であることが前提となり、それを全うできる人材が適切に配置されるべきだという考え方になります。
また、権限とは裏返せば責任であり、この二つは表裏一体の関係にあります。
そう考えると、最終的な責任を担う職位が誰なのかを明確に示すという点においては、ピラミッド型のほうが適しているとも言えるでしょう。
一方で、魔法陣型ではその点がやや分かりづらくなるのも事実です。
Fukushi Vision Group株式会社
代表取締役 塚本洋介
社会福祉士│福祉マネジメント修士(専門職)