制作会社に100万円払う前に、フリーランスに頼むべき3つのケース

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「制作会社から100万円の見積もりをもらったんですが、うちの規模でそこまで出す価値があるのか、正直迷っています」

先週、従業員数名の製造業を営む経営者の方から、こんなご相談をいただきました。見積書を拝見して見ると、内容はしっかりしています。ただ、100万円という金額は、中小企業にとって軽い負担ではありません。

そしてその見積書を見た上で、現役のフロントエンドエンジニアとしてはっきり言わせていただくと、この会社さんの場合、フリーランスに頼んだほうが適しているケースでした。もちろん、逆に「今回はちゃんとした制作会社に頼むべきだ」というケースもあります。

この記事では、どちらが良い・悪いという話ではなく、あなたの会社の状況に合わせて「どちらに頼むべきか」を判断するための具体的な基準をお伝えします。現役の制作者だからこそ見える、両者の得意不得意を正直にお伝えします。

まず前提:制作会社もフリーランスも、「良い・悪い」ではない


本論に入る前に、重要な前提をひとつお伝えします。

制作会社もフリーランスも、どちらが優れている、という話ではありません。それぞれに得意領域と不得意領域があります。

制作会社が適しているケース
- ブランディングからEC構築まで、複数部門が関わる大規模プロジェクト
- デザイナー・エンジニア・ディレクター・コピーライターがチームで関わる必要がある案件
- 上場企業・大手中堅クラスのコンプライアンスが厳しい案件
- 1000ページ超えの大規模サイト、複雑な会員システム・予約システムを伴うサイト
- 企画・デザイン・実装を並行して進め、短期間で仕上げる必要がある案件

フリーランスが適しているケース
- 5〜20ページ規模の中小規模案件
- 経営者と制作者が直接やり取りしながら進めたい案件
- 公開後の運用・改善を一人の担当者と長期的にやりたい案件
- スピードと柔軟性が重要な案件

この区別をしないでいろいろ考えると、「高いか安いか」という価格の話に議論が偏りますが、本質はそこではありません。得意領域が違うプロフェッショナルが2人いるだけ、ということです。

それを踏まえた上で、ここからは「フリーランスに頼むべき3つのケース」を具体的に見ていきましょう。

ケース1:中規模以下のサイトで、経営者と直接やり取りしたい場合


こんな会社に当てはまります
- 会社規模が10人以下、または個人事業主
- サイトに掲載したいページ数が5〜20ページ程度
- 経営者が制作会議に「自分自身」で出る
- ブランドの言葉やトーンが、経営者の頭の中にある

なぜフリーランスが適するのか

この規模の案件で100万円の見積もりが出ている場合、その内訳は以下のようになっていることが多いです。

- ディレクター(会社との窓口):全体の約×割
- プロジェクトマネージャー:×割
- デザイナー:×割
- コーダー:×割
- コピーライター:×割

つまり、100万円のうち、実作業者(デザイナー・コーダー・コピーライター)に渡る金額は× 万円程度。残りの× 万円は、会社の運営費と、ディレクター・プロジェクトマネージャーの人件費です。

ここで重要なのは、ディレクターやプロジェクトマネージャーの使命は「会社の動きをとりまとめて、実作業者に伝えること」だという点です。つまり、

- あなたの話を聞く
- それを、デザイナーやコーダーに伝える
- 他のスタッフが作ったものを、あなたに見せる
- あなたのフィードバックを、他のスタッフに伝える

この「伝言作業」に、見積もりの3〜4割が使われているわけです。

しかし、中小規模のサイトで、下記のような状況なら、この「伝言作業」は不要です。

- サイトの規模が5〜20ページ
- 経営者が見積もり・要件定義・フィードバックに直接関われる
- デザイン・コーディングが1人でできる規模である

フリーランスに依頼すれば、「ディレクター・プロジェクトマネージャー人件費」がそっくり消えます。実作業をする人と、あなたが直接やり取りするからです。

このケースの目安価格

同じクオリティーのサイトを、フリーランスに依頼した場合の目安は以下の通りです。

- 5〜10ページサイト:40〜70万円
- 10〜20ページサイト:60〜100万円

ちなみに、「100万円のフリーランス」と「100万円の制作会社」を比べると、同じ価格でも「実作業に使われる金額」はフリーランスのほうが2倍近くになります。同じ予算で、デザインやコーディングにより多くの手間をかけてもらえる、ということです。

ケース2:公開後の運用・改善を、同じ人と長期的にやりたい場合

こんな状況に当てはまります
- 公開したら「終わり」ではなく、長期的にサイトを育てたい
- 月に数回、軽微な修正やコンテンツ追加が発生しそう
- 「あの担当さんなら肌感覚で分かってくれる」という関係を作りたい
- スポット依頼で、背景説明に毎回時間を使いたくない

制作会社とフリーランス、運用フェーズの違い
制作会社の運用サポートには、よくあるパターンがあります。

- 制作したディレクターとデザイナーは、公開後は別のプロジェクトに動く
- 運用担当は「サポートチーム」の別の人に切り替わる
- 修正依頼は「チケットを送る」形式になる
- 背景や経緯を、毎回チケットに書かないと伝わらない

これは制作会社が悪いわけではなく、複数のクライアントに同時にサービスを提供するための都合です。スポットで人をアサインしていかないと、ビジネスとして回らないんです。

一方、フリーランスに公開後も依頼する場合、

- 制作した本人が、そのまま運用を担当する
- チケットのやり取りではなく、チャットやオンラインミーティングで進められる
- 背景や経緯を説明しなくても、担当者が複数サイトの背景を加味した上で動いてくれる

という違いが出ます。小規模な修正・運用を、ビジネスの文脈ごと分かっている人に長期的に任せたいなら、フリーランスのほうが向いているケースは多いです。

運用費用の目安
- 制作会社の保守プラン:月額10,000〜30,000円(軽微な修正月数件まで)
- フリーランスの運用契約:月額10,000〜25,000円程度(同水準のサポート)

金額は大きく変わらないことも多いです。コストよりも、「毎回同じ人に進めてもらえる」「スピードが速い」という非金銭的な要素でフリーランスを選ぶ人が多いです。

ケース3:業種・技術の「ニッチな専門性」が必要な場合


こんなケースが当てはまります
- 特殊な業種(医療・法務・独立系製造業・アート業界等)で、業種理解が重要
- 特定の技術スタック(Next.js、Headless CMS、デザインシステム等)に特化したサイトが欲しい
- アクセシビリティ、多言語対応、パフォーマンス最適化のような「一部の領域」を深く作りたい
- デザインの「トンマナ」や「ジャンル」に明確なこだわりがある

制作会社のジェネラリスト設計の限界
大手・中堅の制作会社は、「どんな業種でも・どんな規模でも」対応できるように、広く浅くの領域をカバーしています。これはビジネスモデルとしては正しい選択です。

ただし、その「広さ」の裏返しで、個々の領域では「一般的なレベル」に落ち着いてしまうことがあります

たとえば、「Next.jsを使った高速サイトを、Headless CMSと組み合わせて作りたい」という依頼で、ジェネラリストの制作会社に頼んだ場合のリスクを考えてみます。

- その会社の主力コーダーは、WordPress中心にしか経験がないことが多い
- Next.js案件は「一部のスタッフ」だけが担当し、実装期間が計画より長引く
- Headless CMSとの連携部分で、だいたい何らかの「計算違い」が起きる
- サイト公開後のチューニングやデバッグで、依頼者側が振り回される可能性が高い

一方、Next.js + Headless CMSの案件を月に何件もこなしているフリーランスに依頼した場合、

- 初期設計でわざと取るバグパターンを事前に避けられる
- 表示速度やSEOの個別調整が、訓練された手で進む
- 依頼者側も、仕様の説明やデバッグ作業で振り回されない

というメリットが出ます。

業種特化も同様です
医療・法務・財務といった規制業種は、「この表現は使えない」「この表記は必須」といった業界ルールがあります。こうしたルールを知らない制作会社に依頼すると、「公開したら業界団体から指摘を受けた」という事態になりかねません。

「あなたの業種のサイトを、何件も作ったことがあるフリーランス」は、業種理解、ターゲット像、よくある記載コンテンツの全てを把握しています。これは大手制作会社のジェネラリストには出せない価値です。

では逆に、制作会社に頼むべきケースも、もう一度明確にしておきます

フェアのために、「この状況なら制作会社を選ぶべき」ケースも、明確にしておきます。

- 各部門からの要望をとりまとめて進める必要がある、大規模コーポレートサイト
- ブランドコンセプトからの一貫設計が必要な、上場クラスのサイト
- 主要メディアとの連携、広告出稿との連動が必要なブランディング案件
- 実装と並行して「動画制作」「コピーライティング」「フォト撮影」をチームで進める案件
- 1000ページ以上、複雑なDB連携のあるWebシステム
- セキュリティ上、大手制作会社以外には依頼できない業界

これらのケースは、フリーランスに頼むとビジネススケール不足やリソース不足でうまく進まないことが多いです。こういう状況に当てはまるなら、見積もりが100万円を超えたとしても、ちゃんとした制作会社に依頼する価値は十分にあります。

フリーランスを選ぶときのチェックポイント

「じゃあ、フリーランスに適しているケースだと分かった。でも、どんなフリーランスを選べばいいの?」

もっともな質問です。フリーランスにもいろいろなタイプがいます。以下のポイントをチェックしてください。

1. 実績の「業種・規模・年代」が、あなたの会社と似ているか
- 同じ業種の実績があるか
- 同じ規模の会社(人数・売上)の実績があるか
- 5年以上の実務経験があるか

単に「作品集が綺麗」だけで選ぶと、規模感の似ていない案件でミスマッチが起きることがあります。

2. 契約書を交わせるか
フリーランスだからといって、口頭合意やメールだけで済ませるのは危険です。

- 依頼者~受託者の責任範囲を明記した契約書を用意してくれるか
- 修正回数・検収期間・公開後サポートの期間が契約書に記載されているか

契約書を用意しない、または受託側の責任を軽く記載しているフリーランスは、案件以前に推薦しにくいです。

3. コミュニケーションツールと連絡頻度
- 連絡手段(チャット・オンラインミーティング・エージェントでの連携等)が明確か
- 連絡の返信スピードとレスポンス品質が保てるか
- 長期休の予定と連絡不可時の対応体制が明らかか

フリーランスのデメリットは、制作会社のような差し替え要員がいないことです。だからこそ、「連絡がとりやすい人」を選ぶ必要があります。

4. 見積もりの内訳が見えるか
「サイト制作一式:80万円」という見積もりを出してくるフリーランスより、以下のように工程ごとに内訳を出してくれるフリーランスのほうが安心です。

- ヒアリング・要件定義:× 万円
- デザイン:× 万円
- コーディング:× 万円
- コンテンツ作成:× 万円
- 公開作業・動作検証:× 万円

これによって、「どこに何時間かけるのか」が見えるようになります。

「制作会社に100万円」を決める前に、一度考えてほしいこと

100万円という金額は、中小企業・個人事業主にとって軽い負担ではありません。その金額を見積もりとして提示されたとき、「今、その金額をどこに使うのが会社にとっての最適解か」を、もう一度考えてほしいと思います。

同じ100万円で、制作会社に頼むと、

- ディレクター・プロジェクトマネージャー人件費:× 万円
- 会社の運営費・利益:× 万円
- 実作業:× 万円

同じ100万円で、フリーランスに頼むと、

- 実作業:× 万円(デザイン・コーディングにより多くの手間がかかる)
- 中間コスト:ほぼゼロ

同じ金額で、「サイトに何が込められるか」が大きく変わるということです。

もちろん、この記事の冒頭でお伝えした通り、あなたの会社の規模や業種によっては、制作会社に頼むべきケースもたくさんあります。重要なのは、「デフォルトで制作会社」という考えを一度手放し、自社の状況に合わせて選ぶことです。

どちらに頼むべきか、見積もりのチェック・方針すり合わせのご相談

「制作会社とフリーランス、うちのケースではどちらに頼むべきか、一人では判断しかねる」「すでに見積もりを取ったけれど、その金額が妥当か第三者の視点で見てほしい」——そんなときには、現役のフリーランスとして、中立な視点でお力になれることがあります。

「フリーランスを推し、自分の案件を取る」という立ち位置ではなく、あくまであなたの会社の状況を聴いた上で、「今回は制作会社のほうがいいと思います」とも正直にお伝えします。そうした中立性を保てるのは、見積もりを出さない診断・方針すり合わせのサービスだからです。


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