誰に来てほしい店なのか、決められないときに
「Instagramのプロフィール、何を書けばいいんだろう」
「メニューの説明が、どこのお店とも同じに見える」
「近くの似たお店と、いつも値段で比べられている気がする」
集客やメニューの見せ方を考えようとして、手が止まってしまう。
そんなことはありませんか。
1〜5人ほどで運営する小さなお店では、施術や接客をしながら、発信もメニューづくりもぜんぶ自分で考えることがほとんどです。迷うのは、とても自然なことだと思います。
迷いの根っこには、「誰に来てほしい店なのか」がまだ言葉になっていない、ということがあるのかもしれません。来てほしい人が決まっていないと、プロフィールに書くことも、メニュー名も、写真の選び方も、毎回ゼロから考えることになります。
だからこそ、集客の方法を考える前に、一度お客様・競合・自分のお店の3つを紙に書き出して整理してみる。そのうえで、「今回は、特にこの人に来てほしい」と決めてみる。そのための道具が、3C分析とSTP分析です。
とはいえ、「ターゲットを絞ったら、お客様が減ってしまうのでは」と不安になる方も多いと思います。
先にお伝えしておくと、ターゲットを絞ることは、ほかのお客様をお断りすることではありません。 決めるのは「誰に向けて発信し、メニューや説明を整えるか」です。今来てくださっているお客様は、これまでどおり大切にして大丈夫です。
この記事では3C分析とSTP分析を、自分のお店に当てはめて書いてみるための実践編としてまとめました。
3C分析・STP分析とは
3C分析とSTP分析は、セットで使うと力を発揮します。役割は、次のように分かれています。
3C分析=現状の整理(先にやる)
STP分析=方針の決定(3Cのあとにやる)
家づくりにたとえると、3Cは「敷地の調査」、STPは「間取りの決定」です。敷地を見ないまま間取りを決めると、あとで困ってしまいます。順番は、3Cが先、STPが後です。
3C分析:お客様・競合・自店を整理する
3Cは、次の3つの頭文字です。変えられない外の状況から先に書くと、「うちはこうありたい」という思い込みに引っぱられにくくなります。
Customer(お客様・市場)
どんなお客様が、何に困って来ているか
Competitor(競合)
お客様が、うちと比べている相手は誰か
Company(自店)
自分のお店は何ができて、何が難しいか
STP分析:誰に、どんな店として選ばれたいかを決める
STPも、3つの頭文字です。3Cで整理したことをもとに、順番に決めていきます。
Segmentation(分ける)
お客様を、困りごとや来店の目的でグループに分ける
Targeting(選ぶ)
今回、特に来てほしいグループを1つ選ぶ
Positioning(立ち位置を決める)
どんな理由で選ばれる店かを一文にする
最後に目指すのは、次の一文をつくることです。
「(ターゲット)が、(困りごと)のときに、(自店ならではの理由)で選ばれる店」
それぞれの書き方、ターゲットを選ぶときの3つの問い、架空の美容室や飲食店を例にした記入例、つまずきやすいポイントは、こちらの動画で詳しく解説しています。ご覧いただくと、ぐっとわかりやすくなります。
【初心者向け】3C分析・STP分析とは?お客様に選ばれるお店をつくるマーケティングの基本
ワークシートのご紹介
動画を見て「なるほど」と思っても、いざ自分のお店で書こうとすると、どこから書けばいいのか手が止まってしまうことがあります。
そこで、問いに答えながら、3C分析からSTP分析、ポジショニングの一文、発信やメニューの見直しまで順番に書き込めるPDFワークシートをつくりました。
【小さなお店の顧客・強み整理ワーク|3C分析・STP分析】
3CとSTPの関係の説明、使い方、記入欄ごとの問いと書き方のポイント、業種別の記入例、書き終えたあとの確認まで1冊にまとめています。元記事を読み返さなくても、PDFだけで最後まで取り組めるように構成しました。目安の時間は、1人で30分です。用意するものは、ペンだけです。
ワークシートの構成(A4縦・全8ページ)
1ページ:このワークの学習目標、3CとSTPの関係、このワークでつくる「一文」
2ページ:ワークの使い方(30分・3ステップ)とつまずきやすい5つのポイント/WORK 1「誰に来てほしいか」が決まっていないと…
3ページ:WORK 2 3C ①Customer(お客様)・②Competitor(競合)
4ページ:WORK 2 3C ③Company(自店)と、3Cを書き終えたあとの確認
5ページ:WORK 3 S:お客様を「困りごと」で分ける
6ページ:業種別の記入例(個人サロン(美容室)/パーソナルジム)
7ページ:WORK 4 T:来てほしいグループを選び、P:一文にする
8ページ:WORK 5 一文を、発信とメニューに使う
3C分析で整理できること
Customer
今よく来てくれるお客様の年代・暮らし方・来店の目的、何に困って何を求めているか、「来てもらえて良かった」と思うのはどんな人か
Competitor
お客様が比べている相手(2〜3つ)と、お客様が選ぶ理由、自店が勝てている点・負けている点。近所の個人店や「自分でやる・通販」など、お店以外の選択肢の探し方も載せています。
Company
褒められること・リピートの理由、他店より手間や時間をかけていること、人手・時間・予算の面でできないこと
3Cを書き終えたら、「困りごとまで書けたか」「お店以外の選択肢も入れたか」「できないことも書けたか」を確かめるチェック欄で見直します。
STP分析で決められること
Segmentation
来店の目的・困りごと・来店のしかたのヒントを見ながら、お客様をA〜Dの3〜4グループに分け、名前をつけます。
Targeting
「自店の強みが活きるか」「近くに十分いそうか」「競合が応えきれていないか」の3つの問いで各グループを比べる評価表に○をつけ、今回最も来てほしいグループを1つ選んで、選んだ理由を書きます。
Positioning
ターゲット・困りごと・自店ならではの理由を順に書き込み、「(ターゲット)が、(困りごと)のときに、(自店ならではの理由)で選ばれる店」の一文を完成させます。
記入例と補助項目
【業種別の記入例】
個人サロン(美容室)とパーソナルジムの2業種で、3C → S → T → P の流れを並べています。どちらも架空のイメージ例です。
【WORK 1】
「何を書けばいいか毎回迷う」などのチェックと、最近迷ったことを書く欄。最後に、この迷いへの答えを一文から考えます。
【競合と比べた位置を確かめる(任意)】
お客様が店を選ぶ基準を2つ選び、自店と競合を2軸の図に置いてみる欄です。
【分析結果を、お店の運営にどう活かすか】
8ページのWORK 5では、完成した一文に合わせて、次の3つを「今」と「一文に合わせると」で書き比べ、いつまでに直すかを決めます。
紹介文(予約サイト・Instagramなど)
メニュー名
増やしたい口コミの声
あわせて、一文が合っていそうかを確かめる常連さんと聞く日、一文を貼る場所、見直す日(3か月ごとが目安)を書き込みます。「整理して終わり」ではなく、今週から直すことまで決められる構成です。
こんな方におすすめです
・開業準備中〜開業3年目くらいの、個人サロン・パーソナルジムなど小さな
お店のオーナーさん
・集客やメニューの方向性に迷っている方
・自分のお店の強みや、競合との違いを整理したい方
・ターゲットを絞ることに、不安を感じている方
・動画を見て、自分のお店でも書いてみたいと思った方
専門的なマーケティングの知識がなくても取り組めるように、問いと記入例はできるだけやさしい言葉で書いています。
なお、このワークシートはお店の状況を整理して考えるための道具で、集客などの成果を保証するものではありません。
書いた一文が合っているかどうかは、お客様の反応を見て初めて確かめられます。だからこそ、「整理して、小さく試して、また見直す」ための流れを大切にしています。
印刷して、ペンで書き込むのがおすすめです。
「うちは、こういうお客様に、こういう理由で選ばれたい」。その一文を見つけるための教材として、手元に置いていただけたらうれしいです。