「お客様のこと、分かっているつもり」を紙1枚で点検する。小さなお店の共感マップワーク

「お客様のこと、分かっているつもり」を紙1枚で点検する。小さなお店の共感マップワーク

記事
ビジネス・マーケティング
お客様のことを、理解しているつもりでも
「新しいメニューをつくったのに、あまり選ばれない」
「Instagramを毎日更新しているのに、予約につながらない」
「通ってくれていたお客様が、いつの間にか来なくなった」

毎日お客様と顔を合わせて、会話もしている。
だから、お客様のことはそれなりに分かっているつもり。
それなのに、こんなふうに「なぜだろう」と思うことはありませんか。

1〜5人ほどで運営する小さなお店では、お客様との距離が近いぶん、「あの人はきっとこう思っている」という感覚が自然に育っていきます。
その感覚は、毎日ていねいに接客している証拠でもあります。

ただ、その「きっと」の中には、実際にお客様から聞いたことと、自分がそう思っているだけのことが、混ざっていることがあります。

メニューが選ばれない理由も、予約につながらない理由も、お店の中で考えているだけでは見えにくいものです。
だからこそ、一度お客様の言葉と行動を紙に書き出して、そこから「本当は何に迷っているのか」を整理してみる。そのための道具が、共感マップです。

この記事では、以前ご紹介した共感マップを、実際のお客様を1人思い浮かべて書いてみるための実践編としてまとめました。

共感マップとは

共感マップは、特定のお客様1人について、次の4つを書き出して整理するシートです。

言っていること:実際に聞いた言葉

していること:実際に見た行動

考えていること:本当はどう思っているか

感じていること:どんな気持ちでいるか

ここで大切なのは、4つの項目が事実と推測に分かれていることです。

「言っていること」「していること」は、聞いたまま・見たままの事実

「考えていること」「感じていること」は、事実をヒントに想像した推測(仮説)

推測の欄には、文の終わりに「?」をつけておきます。「?」がついていれば、あとから「これは、まだ確かめていないことだ」とひと目で分かるからです。

「言っていること」と「考えていること」は、別物です。
共感マップは、お客様の言葉をそのまま受け取るだけでなく、その言葉の裏側を考えるための道具だと思っていただけたらと思います。

共感マップの書き方の手順、小さなお店こそ向いている理由、架空の美容室を例にした使い方、つまずきやすいポイントは、こちらの動画で詳しく解説しています。
ご覧いただくと、ぐっと分かりやすくなります。

【初心者向け】共感マップとは?お客様の本音を理解する6つの視点と作り方を解説

ワークシートのご紹介

記事を読んで「なるほど」と思っても、いざ自分のお客様で書こうとすると、「誰について書けばいいんだろう」「この欄には何を書けばいいんだろう」と、手が止まってしまうことがあります。

そこで、お客様を1人選ぶところから、共感マップの記入、言葉と行動のズレ探し、明日から変えることの決定、仮説の確かめ方まで、順番に書き込めるPDFワークシートをつくりました。

【小さなお店の顧客理解ワーク|共感マップ実践シート】

共感マップの4つの欄の説明、使い方、記入欄ごとの問いと記入例、業種別の記入例、書き終えたあとの確認まで1冊にまとめています。元記事を読み返さなくても、PDFだけで最後まで取り組める構成です。目安の時間は、マップを書くのに15分、そのあとの計画に10分。用意するものは、ペンだけです。

【ワークシートの構成(A4縦・全8ページ)】
1ページ:このワークの学習目標、共感マップの4つの欄、このワークでつくるもの
2ページ:ワークの使い方(5つのステップ)とつまずきやすい3つのポイント/WORK 1 こんな場面はありませんか
3ページ:WORK 2 お客様を1人決めて、材料を集める
4ページ:WORK 3 共感マップを書く
5ページ:WORK 4 言葉と行動のズレを探し、仮説にする
6ページ:業種別の記入例(個人サロン(美容室)/パーソナルジム)
7ページ:WORK 5 打つ手を比べて、明日から変えることを1つ選ぶ
8ページ:WORK 6 変えて、聞いて、確かめる

【お客様を1人に絞って考える】
3ページでは、「誰について書くか」を決めます。
年代の括りではなく、実際に顔が思い浮かぶ方を1人。
呼び名(自分だけが分かる名前やイニシャルで大丈夫です)、通い始めた時期やよく選ぶメニュー、その方を選んだ理由を書き込みます。

あわせて、「施術中や会計中の会話」「予約時のメッセージやLINE」「口コミやアンケート」「お客様の様子」の4つの材料について、手元にあるものに印をつけ、思い出せることをメモする欄があります。
新しく調査をしなくても、毎日の接客の中にある材料から書き始められます。

【言葉・行動・考え・感情を整理する】
4ページは、共感マップ本体です。真ん中にお客様の呼び名を書き、「言っていること」「していること」「考えていること」「感じていること」の4つの欄を埋めていきます。各欄には、書き方のポイントと記入例がついています。

【事実と仮説を区別する】
4ページは、上の2つの欄が事実(聞いたまま・見たまま)、下の2つの欄が推測(言葉と行動から想像する)と分かれた作りになっています。「上の事実から先に書き、推測には『?』をつける」という順番で進めるので、書きながら自然に事実と仮説を分けられます。

5ページの最後には、「言っていることに推測を入れていないか」「推測にすべて『?』をつけたか」「推測の根拠になる材料が3ページにあるか」を確かめるチェック欄もあります。

【言葉と行動のズレを見つける】
5ページでは、「言っていること」と「していること」を見比べて、食い違いを最大3つまで書き出す表があります。そこから、いちばん気になるズレを選んで、

「(お客様の行動)のは、(よくある思い込み)からではなく、(本当の悩み)からかもしれない」

という型で、仮説を1つにまとめます。

【仮説を確かめるための質問を考える】
8ページでは、選んだ改善策について「何を、いつから変えるか」「確かめる相手と日にち」を決めます。
会計のときの一言、予約後の一言アンケート、LINEでの2択など、小さな質問の例を見ながら、お客様が一言で答えられる聞き方を書き込みます。

確かめた結果が「仮説は合っていそう」なら続ける、「違っていた」なら4・5ページの推測を見直す。そこまでの流れが1枚に入っています。

【接客やメニュー改善に活かす】
7ページでは、仮説をもとに打つ手の候補を3つまで出し、「仮説の悩みを減らせるか」「明日から始められるか」「反応を確かめやすいか」の3つの観点で比べる評価表に○をつけて、明日から変えることを1つだけ選びます。

変える場所の例として、メニューの説明文、最初の声かけ、予約ページの一言、お試し・体験メニューを挙げています。「もっと宣伝しよう」ではなく、「仮説の悩みを減らす工夫をしよう」という方向で考えられるように構成しています。

【記入例について】
6ページには、個人サロン(美容室)とパーソナルジムの2業種で、言っていること・していることから、ズレ、仮説、打つ手の候補、明日から変えること、確かめる質問までを並べた記入例を載せています。どちらも架空のイメージ例で、実在の店舗やお客様の事例ではありません。

【こんな方におすすめです】
・開業準備中〜開業3年目くらいの、個人サロン・パーソナルジムなど小さなお店のオーナーさん

・お客様のニーズや本音を、もう少し理解したいと感じている方

・メニューやSNSの見直しに取り組んでいる方

・リピートや予約につながらない理由を、整理してみたい方

・動画を見て、自分のお客様でも書いてみたいと思った方

専門的なマーケティングの知識がなくても取り組めるように、問いと記入例はできるだけやさしい言葉で書いています。

なお、このワークシートはお客様の言葉や行動を整理して考えるための道具で、リピートや予約などの成果を保証するものではありません。書いた仮説が合っているかどうかは、お客様に聞いてみて初めて分かります。だからこそ、「整理して、小さく変えて、聞いて確かめる」ための流れを大切にしています。

印刷して、ペンで書き込むのがおすすめです。

「分かっているつもり」を、次の一手に。頭に浮かんだお客様1人から始めるための教材として、手元に置いていただけたらうれしいです。
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