紙1枚で、お店の事業を整理する。ビジネスモデル・キャンバス9つの要素ワーク

紙1枚で、お店の事業を整理する。ビジネスモデル・キャンバス9つの要素ワーク

記事
ビジネス・マーケティング

次に何をすべきか、決められない個人店へ

「Instagramを、もっと頑張ったほうがいいのかな」
 「そろそろ値上げしたほうがいいのかもしれない」
 「新しいメニューを作れば、お客様が増えるかな」

お店を続けていると、やったほうがよさそうなことが次々に浮かんできます。

でも、どれから手をつければいいのか決められない。

とりあえず一つずつ試してみたものの、なんだかバラバラなことをしている気がする。そんなふうに感じたことはありませんか。

1〜5人ほどで運営する小さなお店では、施術や接客をしながら、集客も、価格も、メニューも、ぜんぶ自分で決めることがほとんどです。迷うのは、とても自然なことだと思います。

決められない理由の一つは、施策を一つずつ別々に考えていることかもしれません。

Instagramも、値上げも、新メニューも、本当は「誰に来てほしいのか」「その人に何を届けているのか」とつながっています。
そのつながりが見えていないと、どの施策が自分のお店に合うのか判断できません。

だからこそ、個別の施策を考える前に、一度お店の事業全体を紙1枚に整理してみる。そのための道具が「ビジネスモデル・キャンバス」です。

この記事では、以前ご紹介したビジネスモデル・キャンバスを、自分のお店に当てはめて書いてみるための実践編としてまとめました。

ビジネスモデル・キャンバスとは

ビジネスモデル・キャンバスは、スイスの研究者アレックス・オスターワルダー氏とイヴ・ピニュール氏が考えた、事業の全体像を1枚で表すためのフレームワークです。お店の仕組みを9つの枠に分けて、紙1枚に書き出します。

中央に「価値提案」、右側に「お客様のこと」、左側に「自分のお店の中のこと」を置き、次の順番で書くことをおすすめしています。

顧客セグメント:誰に売るか
価値提案:その人にどんな良いことを提供するか
チャネル:どうやって出会い、届けるか
顧客との関係:どんな付き合い方をするか
収益の流れ:どこからお金が入るか
リソース:何を持っているか
主要活動:そのために何をしているか
パートナー:誰の力を借りているか
コスト構造:何にお金がかかっているか

ポイントは、「顧客」と「価値提案」を先に書くこと、そして書けなかった枠に印をつけることです。書けなかった枠が、次に考えるべき場所を教えてくれます。

それぞれの枠の意味や問い、スタッフ2人の美容室を例にした書き方、書き終えたあとの3つの確認、よくある失敗は、こちらの動画で詳しく解説しています。ご覧いただくと、ぐっとわかりやすくなります。

ワークシートのご紹介

動画を見て「なるほど」と思っても、いざ自分のお店で書こうとすると、白い紙を前に手が止まってしまうことがあります。

そこで、9つの枠を、問いに答えながら順番に書き込めるPDFワークシートをつくりました。

【小さなお店の事業整理ワーク|ビジネスモデル・キャンバス】


ビジネスモデル・キャンバスの説明、枠ごとの問いと記入例、書き終えたあとの確認、次の一手の選び方と実行計画まで1冊にまとめています。元記事を読み返さなくても、PDFだけで最後まで取り組めるように構成しました。目安の時間は30分です。

【ワークシートの構成(A4縦・全8ページ)】
1ページ:学習目標と、ビジネスモデル・キャンバスの9つの枠(配置と書く順番)
2ページ:ワークの使い方(3ステップ)と書くときのコツ/WORK 1 いま決められずにいること
3ページ:WORK 2 ①顧客セグメント・②価値提案
4ページ:WORK 2 ③チャネル・④顧客との関係・⑤収益の流れ
5ページ:WORK 2 ⑥リソース・⑦主要活動・⑧パートナー・⑨コスト構造
6ページ:業種別の記入例(個人サロン/パーソナルジム)
7ページ:WORK 3 全体を眺めて、次の一手を選ぶ
8ページ:WORK 4 次の一手の実行計画

【どんな項目を記入できるか】
・いま迷っていること
 やるべきか迷っている施策と、いちばん気になっているもの、
 決められない理由

・9つの枠
 枠ごとに用意した問いに答えながら、自分のお店の今の状態を書き込み
 ます。チャネルの枠には「①の人に②の価値を届ける入口になっているか」
 を確かめる欄、主要活動とコスト構造の枠には「価値につながっていない作
 業・出費」を書き分ける欄もあります。

・全体の見直し
 書けなかった枠の印、3つの確認、次の一手の候補を比べる評価表、
 優先順位

・実行計画
 次の一手、始める日と確かめる日、最初にやること、振り返り、
 次に見直す日

【どんな順番で使うか】
WORK 1:迷っている施策を書き出します(2ページ)。

WORK 2:①顧客セグメント → ②価値提案 → ③〜⑤のお客様のこと → ⑥〜⑨のお店の中のこと、の順に9つの枠を書きます(3〜5ページ)。迷ったら6ページの記入例を見ます。

WORK 3:全体を眺めて、書けなかった枠と3つの確認から、次の一手を選びます(7ページ)。

WORK 4:1位にした一手の実行計画を書きます(8ページ)。

時間がない日は、「①顧客セグメントと②価値提案の2つだけ書く」ところまででも大丈夫です。

【自分のお店の何を整理できるか】
・誰に来てほしくて、その人にどんな良いことを届けているか
・お客様とどこで出会い、どう付き合い、どこからお金が入っているか
・その価値を、お店の中のどんな持ち物・仕事・協力者・出費で支えているか
・強みになっていること、価値につながっていない作業や出費

【記入後、どう改善の方向性を考えるか】
9つの枠を書き終えたら、書けなかった枠や、つながりがあやしいところに印をつけます。
そのうえで、WORK 1で書いた「迷っている施策」を、「それはうちのお店の価値につながるか」という目で見直します。

候補を評価表で比べて1つに絞り、始める日と確かめる日を決めるところまで進めるので、「整理して終わり」ではなく、次に何を試すかまで決められます。

【こんな方におすすめです】
開業準備中〜開業3年目くらいの、個人サロン・パーソナルジムなど
小さなお店のオーナーさん

集客・価格・メニュー・サービスの方向性に迷っている方

自分のお店の強みや課題を、一度きちんと整理したい方

元記事を読んで、自分のお店でも書いてみたいと思った方

専門的な経営の知識がなくても取り組めるように、問いと記入例はできるだけやさしい言葉で書いています。

なお、このワークシートはお店の事業を整理して考えるための道具で、成果を保証するものではありません。書いたことは、試してみて初めて確かめられます。だからこそ、「整理して、小さく確かめて、また書き直す」ための流れを大切にしています。

次の一手に迷ったときに、立ち戻れる「お店の地図」を1枚。そのための教材として、手元に置いていただけたらうれしいです。
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