話す気力すら出ない。——グリーフが心と体に何をするのか。
「こんなに悲しくて、どうすることも出来なくて・・・誰かに話したいのに、話せない」
それは、心が失った悲しみで弱っているからだけじゃなく、喪失ってそれだけ精神に衝撃的であって、そもそも「話す」というエネルギーをその衝撃に持っていかれているから。
なぜ、グリーフはこんなにも消耗するのか
前回、グリーフはエネルギーを根こそぎ奪う、と書きました。
今日はその「なぜ」を、もう少し深く。
まず、喪失の悲しみ・・・グリーフというのは、休んでくれません。
悲しみって波のように来ては去っていくものだと思われがちですが、実際は、ふとした瞬間に何度も何度も押し寄せてくる。
朝、目が覚めた瞬間。
何気なく開いたスマホの写真フォルダ。何度も共有した景色。
何故か、夕焼けを見て心が遠くへ行った時。
そのたびに、心はゼロから衝撃を受け止め直してしまいます。。
一度悲しんで終わり、じゃないんです。同じ悲しみを、何十回も、何百回も、最初から処理し直している。そりゃ、擦り減りますよね。
しかも、グリーフの中にいる脳は、ずっとフル稼働しています。
「なぜ」「どうして」「あのときこうしていたら」・・・答えの出ない問いを、頭の中でぐるぐる繰り返す。
これ、実はものすごく体力を使う作業です。
何も生み出さないのに、エンジンだけは全開で回り続けている状態。ガソリンだけ無駄に消費してる車、みたいな。
そして心身は、そんな状態が続くと、これ以上壊れないように、機能を勝手に絞りにかかります。
スマホがバッテリー残量わずかで、余計な機能を自動的にオフにするのと似ています。
眠れない、食べられない、何も考えられない、涙すら出ない・・・
それは壊れているんじゃなくて、これ以上壊れないための、体の防御反応。
気力がないのは、甘えでも、意志が弱いからでもないんです。
むしろ、悲しみを人一倍ちゃんと処理しようとしているからこそ、そのぶんのエネルギーを持っていかれている、ということなんだと思います。
エネルギー切れが、孤立を深めていく
厄介なのはここから。
悲しみは人に話すことに躊躇してしまうジャンル。聞かせたら申し訳ない気持ちがあったりします。その上、前章のようにエネルギー欠乏で、
誰かに話す気力がないまま時間が経つと、「どうせ分かってもらえない」の壁が、どんどん厚くなっていく。
そもそも相談するって、実はかなり高度な作業なんです。
誰かに伝える前に、たくさんの見えない心の葛藤のハードルが立ちはだかっているんです。
グリーフの中にいないときは何でもないこの一連の流れが、グリーフの中にいると、とてつもなく重いタスクになる。
ただ、話して聞いてもらうということが、悲しみとなると突然険しくなる。
だから、余計に「もういいや」ってなる。悪循環。
それでも、少しだけ外に出す方法
でも、話すことを推進しません。
むしろ話さなくていい。話せなくていい。
でも、心の中に溜まったものを、ほんの少しだけ外に出す方法はあります。
前にも記事にしましたが、誰かに話す、じゃなくてもいい。書く。
声に出さず、ただ文字にする。あるいは、涙が出そうな映像や音楽に、あえて触れてみる。
それから、カチコチになった心をゆるめる呼吸法を発信しています。
話す前に、まずは自分の内側を少しゆるめることから始めてもいいのかもしれません。
それでも、書き続ける理由
何故、こんなに悲しいの?辛いの?
と理由を探しているなら、少しはこの記事で答えが見つかるかも知れないという希望があるんです。
多分、私もグリーフの悲しみを知ってるからと思います。