【投資と心理63】物価が4%上がった年の5%の昇給を、64%の人がうれしいほうに選んだ。お金の額に引っぱられる貨幣錯覚の話

【投資と心理63】物価が4%上がった年の5%の昇給を、64%の人がうれしいほうに選んだ。お金の額に引っぱられる貨幣錯覚の話

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マネー・副業
どうも、FXトレーダー兼システムエンジニアのナオトです。

投資と心理の話の63回目です。前回は、みんなの平均の3分の2を当てるゲームで、多くの人が2段先までしか読まなかった、という実験でした。
今回は、お金の額そのものに、判断が引っぱられる話です。



経済学には、貨幣錯覚という言葉があります。
物価の動きを差し引いて実際に何が買えるかより、表に出ている金額で、損か得かを感じてしまうことです。

これを質問紙で確かめたのが、心理学者のシャフィールとトヴェルスキー、経済学者のダイアモンドです。1997年の論文です。
私が読んだのは、この論文の質問の1つを、文面ごと紹介している2004年の研究報告です。



質問はこうです。

同じ大学を1年違いで出たアンとバーバラが、よく似た出版社の仕事に就きました。どちらも初めの年収は3万ドルです。
アンの1年目は物価が上がらず、2年目に2%(600ドル)の昇給がありました。
バーバラの1年目は物価が4%上がり、2年目に5%(1,500ドル)の昇給がありました。

物価を差し引くと、アンは2%の上がり、バーバラは約1%の上がりです。実際に得をしているのはアンです。



答える人を3つの組に分けて、別々の質問をしました。

経済的に、どちらがうまくいっているか。この問いには、71%がアンと答えました。
多くの人は、物価を差し引く計算そのものはできていました。

ところが、2年目に入ったとき、どちらがうれしいと思うか、と聞くと、64%がバーバラと答えました。
ほかの会社から誘いが来たら、どちらが今の仕事を辞めやすいか、と聞くと、65%がアンと答えています。実際に得をしているのに、うれしくないほうだから辞めやすい、という答えです。

計算では物価を差し引いて分かっていても、気持ちや行動を考えるときには、表に出ている金額の大きさに引っぱられていた、ということです。
答えた人たちは、ほかの人がそう感じ、そう動くだろうと考えていた、ということでもあります。



取引で、これと同じ形が出やすいのは、長い期間の数字を比べるときだと思います。

私が金のEAを23年分で測ったとき、取引の費用を1回0.5ドルの決まった額で引いていました。
ところが、金の価格は2003年の約350ドルから、2026年には約5,000ドルになっています。
同じ0.5ドルでも、昔の取引ほど重く数えていたことになります。費用を価格に対する割合で引き直すと、23年のPFは1.87から1.95に変わりました。

額で並べると、昔の相場ほど不利に見えたり、最近の相場ほど大きく動いて見えたりします。
長い期間を比べるときは、額のままにせず、割合に直してから見る必要があります。

なお、これは仮の話への答えを集めた質問紙の研究で、実際の取引で確かめた研究ではありません。

長い期間を割合でそろえて比べる過去検証も、ご依頼をお受けしています。


最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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