【投資と心理60】自分が通ってきた相場が、リスクの取り方を決めていた。生まれた年で違う、株の経験と40年分の家計の記録

【投資と心理60】自分が通ってきた相場が、リスクの取り方を決めていた。生まれた年で違う、株の経験と40年分の家計の記録

記事
マネー・副業
どうも、FXトレーダー兼システムエンジニアのナオトです。

投資と心理の話の60回目です。前回は、負けてきたデイトレーダーも、勝ってきた人とほぼ同じ割合で続けていた、という話でした。
今回は、その人が生きてきた間に経験した相場が、何十年たってもリスクの取り方に残っていた、という研究です。



アメリカでは、1930年代の大恐慌を経験した世代は、一生株を買いたがらなかった、とよく言われます。
これを、言い伝えにとどめず数字で確かめたのが、経済学者のマルメンディアとネーゲルです。

使ったのは、アメリカの家計の資産を調べた調査の、1964年から2004年までの記録です。
1人ずつ、生まれてからその年までに経験した株のリターンの平均を出しました。最近の年ほど重く数えています。そのうえで、年齢、調べた年、収入や資産などをそろえて比べました。



経験した株の実質のリターンは、人によって違いました。
低いほうから1割の人で年5.9%、高いほうから1割の人で年11.0%。差は約5.1ポイントです。

この差だけで、次のような違いが出ました。

リスクを最も取りたくない、と答える確率が、約6.2ポイント下がる。この答えを選んだ人は、全体で28.77%でした。
株を持っている人の中では、手元の資金のうち株に回す割合が、約5.7ポイント上がる。

良い相場を通ってきた人ほどリスクを取り、悪い相場を通ってきた人ほど避けていました。



もう1つの結果があります。

重みは最近の経験ほど大きいのですが、若いころの経験も、何十年たっても消えずに残っていました。

実際、1960年代の終わりには株を持つ家計が3割を超えていたのに、70年代から80年代の初めにかけて減っています。
80年代の初めの若い世代は株をあまり持たず、上げ相場の続いた90年代の終わりの若い世代は多く持っていました。

統計として長い歴史を知っていても、人は自分が通ってきた相場で判断している、ということです。



取引に置き換えると、始めたころの相場が、その後の量の決め方に残っていないかを、一度疑ってみてください。

始めてすぐ上げ相場で勝ち続けた人は、量を大きくしがちになるかもしれません。私のように、始めたころに2度退場した人は、逆に小さくしすぎるかもしれません。
どちらも、自分が通ってきた数年だけで、相場はこう動くと決めてしまっている点では同じです。

検証ノートで、直近の数年だけでなく23年でも測っているのも、同じ考え方につながります。自分の経験した期間の外にも、相場はあります。

なお、私が読んだのは2009年の論文の草稿で、2011年に雑誌に載った版とは使った年が違います。アメリカの家計の株と債券の研究で、FXの研究ではありません。

自分の経験した期間だけでなく、長い期間で設定を確かめる過去検証のご依頼も受けています。


最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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