どうも、FXトレーダー兼システムエンジニアのナオトです。
投資と心理の話の54回目です。前回は、70%で出るほうを毎回は選ばない、確率の一致の話でした。
今回は、この先どれくらい動くか、の幅の見積もりの話です。
来年の相場を予想してください、と言われたら、多くの人は、プラス何%くらい、と1つの数字を答えます。
では、80%の確かさで、この範囲に入る、という幅を答えてください、と言われたらどうでしょう。
80%の確かさの幅なら、10回に8回は、実際の結果がその中に入るはずです。
ところが、人が答える幅は、たいてい狭すぎます。心理学の実験では、昔からくり返し確かめられてきました。
これを、会社のお金を預かるプロで確かめた研究があります。
経済学者のベン=デイヴィッド、グラハム、ハーヴェイは、アメリカのデューク大学が2001年6月から2011年3月まで、3か月ごとにアメリカの企業の財務責任者に送ったアンケートを調べました。
聞いたのは、この先1年のアメリカの株価指数(S&P500)の上がり下がりの予想と、80%の確かさで入る幅の下限と上限です。
集まった予想は、1万3千件を超えます。
結果はこうでした。
実際の1年の上がり下がりが、答えた80%の幅に入ったのは、36.3%。
相場がいちばん穏やかだった時期でも、59%でした。
答えた幅の平均は14.5%の広さ。
一方、1950年からの実際の1年の上がり下がりで、下から10%と上から10%を除いた幅は、42.2%ありました。
この42.2%より広い幅を答えた人は、3.4%だけでした。
相場が荒れて先が見えにくい時期ほど、外れ方は大きくなっていました。
会社のお金を動かしている人たちでも、値動きの幅は、実際の3分の1くらいに見積もっていた、ということです。
取引に置き換えると、ここまでは動かないだろう、という見積もりが、思っているより狭い可能性があります。
損切りの位置、ナンピンの段の幅、口座の守り。どれも、どこまで動くかの見積もりの上に置いています。
自分の感覚で幅を決めずに、過去のデータで、実際にどこまで動いたかを数えてから決める。
開発の裏側の58回目では、金が5日で8.8%以上下げる場面が、2003年からの全体の1%あった、と書きました。感覚で置いた幅と、数えた幅を、一度並べてみてください。
これは株の1年の予想の研究で、FXの短い取引の研究ではありません。ただ、幅を狭く見る、という向きは、取引でも気をつけたいところです。
ご自分の損切りや守りの幅を、過去のデータで確かめる過去検証のご依頼も受けています。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。