どうも、FXトレーダー兼システムエンジニアのナオトです。
投資と心理の話の38回目です。前回は、確率が分からないものを避けたくなる、曖昧さ回避でした。
今回は、よく引かれるダニング=クルーガー効果と、それに付いた大きな疑問の話です。
もとになったのは、1999年に発表された研究です。
大学生に、論理や文法などの問題を解いてもらい、そのあとで、自分の出来がほかの人と比べてどのくらいかを答えてもらいました。
成績が下から4分の1の組は、実際の順位が平均で12パーセンタイルほど。
ところが自分では、62パーセンタイルほど、つまり平均より上だと見積もっていたと伝えられています。
成績が上の組は、逆に自分をやや低く見積もっていました。
できない人ほど、自分のできなさに気づかない。この話は広く知られるようになりました。
ただ、この結果には、早くから疑問が出ています。
自分の出来の見積もりと、実際の成績は、ぴったりとは結びついていません。
そういう2つの数字を、成績の順に4つの組に分けて並べると、心の働きが何もなくても、同じ形のグラフができてしまう、という指摘です。
成績の低い組は、たまたま悪かった人を多く含みます。でも自己評価は、その回の運とは関係なく、ほどほどの高さに出る。
すると、下の組ほど見積もりが実際より高く、上の組ほど低く見える。投資と心理の30回目で書いた、平均への回帰と同じ仕組みです。
2016年と2017年には、でたらめに作ったデータで、同じ形のグラフが描けることを示した論文も出ました。
一方で、課題によっては効果が残るという研究もあります。どこまでが本当の心の働きなのかは、まだ決着していません。
この話で私が大事だと思うのは、効果があるかないかの結論より、確かめ方のほうです。
有名なグラフでも、でたらめなデータで同じ形が出るなら、そのグラフだけでは何も言えない。
検証ノートで、サインの成績を何度もでたらめと並べてきたのと、同じ考え方です。
相場でも、同じことが起きます。
最近の成績が悪かった時期のあとは、ふつうに近い成績に戻りやすい。良かった時期のあとも、同じです。
その戻りを見て、設定を変えたから良くなった、自分の腕が落ちた、と読んでしまう。
でたらめでも同じことが起きるかを先に確かめると、読み違いが減ります。
ご自分の手法の成績を見て何かを感じたら、同じ数のでたらめな取引で、同じ形が出ないかを一度試してみてください。
出るなら、その形は手法の力とは言えません。
お使いの手法を、でたらめな取引と並べて測る、過去検証のご依頼も受けています。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。