どうも、FXトレーダー兼システムエンジニアのナオトです。
投資と心理の話の32回目です。前回は、もともとの割合を忘れてしまう、基準率の無視でした。
今回は、関係の無い2つのことに、関係があるように見えてしまうくせ、錯誤相関です。
この名前を付けたのは、アメリカの心理学者のチャップマンです。
よく知られているのが、人物画のテストを使った研究です。
人に絵を描いてもらい、その絵から心の状態を読むテストがあります。
当時の臨床家の多くは、目を大きく描く人は疑い深い、といった組み合わせを信じていました。実際の患者のデータでは、そういう関係は見つかっていませんでした。
チャップマン夫妻は、学生に、絵と、描いた人の症状を書いた札を組にして見せました。
札は、絵の特徴とは関係なく付けてあります。大きな目の絵にも、そうでない絵にも、同じように疑い深いという札が付いています。
それでも学生たちは、目の大きい絵には疑い深い人が多かった、と答えました。臨床家が信じていたのと同じ組み合わせです。
もともと持っている、ありそうだという思い込みが、見たものの数え方を変えていたわけです。
取引で、これがいちばん出やすいのが、ラインです。
水平線の近くで価格が止まった場面は、よく目に入りますし、よく覚えています。
抜けていった場面や、線の無いところで止まった場面は、あまり記憶に残りません。
関係があるかどうかは、本当は4つの組を全部数えないと分かりません。
線で止まった、線を抜けた、線の無い所で止まった、線の無い所を抜けた、の4つです。
止まった場面だけを覚えていると、このうち1つの組しか数えていないことになります。
検証ノートの11回目で、ドル円の23年分で、この4つを数えました。
線に近づいてから止まった割合は、本物の線で42.7%。全部の線を17 pipsずらした、意味の無い価格の線では44.1%でした。
意味の無い線でも、ほとんど同じだけ止まっていたんです。
止まる場面は、線のある無しに関係なく、同じくらい起きていました。線で止まるように見えたのは、止まった組だけを覚えていたからかもしれません。
ただ、同じ検証で、初めて触れる線は、抜けたあとに伸びやすいという差も出ました。関係がまったく無いわけでもありません。思っていたのと違う形の関係だった、ということです。
この形が効く、と感じたら、その形の無いところでも同じことが起きていないか、を数えてみてください。
数える場所を1つ増やすだけで、思い込みと、本当の関係を分けられます。
ご自分の手法の形を、形の無い場面と並べて数える、過去検証のご依頼も受けています。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。