どうも、FXトレーダー兼システムエンジニアのナオトです。
投資と心理の話の19回目です。前回は、今のままを選びやすい、現状維持バイアスでした。
今回は、うまくいったことは自分の力、うまくいかなかったことは運のせい、と考えてしまうくせです。
心理学では、自己奉仕バイアスと呼ばれます。
物事の原因をどこに置くか、という研究の中で出てきた言葉です。
1975年に、デール・ミラーとマイケル・ロスが、それまでの研究をまとめた論文を出しました。
意外なことに、その結論は控えめでした。
成功を自分の力のおかげと考える側には、裏付けがある。ところが、失敗を周りのせいにする側の証拠は、わずかしか無い、というものです。
もう1つ、成功を自分の力と結びつけるのは、自分をよく見せたい気持ちからとは限らない、とも書いています。
うまくいくと思ってやっているので、やったことと結果のつながりを、強く感じてしまう。そういう考え方の癖でも説明できる、という見方です。
その後の研究では、成功と失敗の両方で、このくせが出た実験が多く報告されています。
投資の世界では、2001年に、サイモン・ジェルベとテランス・オディーンが、このくせを使った理論を出しました。
投資と心理の7回目で、売買が多い人ほど成績が悪かった研究を紹介しました。その研究に関わったオディーンです。
理論の考え方は、こうです。
取引する人は、勝ち負けの結果から、自分の腕を少しずつ学んでいく。
そのとき、勝ちを実際より重く数えてしまうと、取引を始めて間もないころに、自分の腕を高く見すぎるようになる。
経験を積むにつれて、自分の腕を正しく見られるようになっていく。
論文の要旨には、過信でお金持ちになるわけではない、お金持ちになっていく過程が過信を生む、という趣旨の一文があります。
これは実験の結果でなく、理論のモデルです。それでも、勝ちが続いたあとの自分を思い浮かべると、うなずける話です。
FXで困るのは、勝った1回が、腕のおかげなのか、運のおかげなのかを、1回だけでは見分けられないことです。
私が検証で、でたらめな入り口と比べるのは、このためです。
損切りと利確の形はそのままにして、入る時刻だけを、合図と関係のない時刻に変える。それでも同じくらい勝てるなら、勝ちの理由は入り口ではありません。
検証ノートの10回目に、この比べ方を書きました。
もう1つは、勝率を見すぎないことです。
勝率は、利確の置き方でいくらでも動きます。勝った回数が多いことと、腕があることは、別のものです。
勝った理由を自分の判断に置きたくなるのは、自然なことです。
だからこそ、その判断が本当に効いているのかを、数字で一度確かめてみてください。
ご自分の手法を、でたらめな入り口と比べて測る、過去検証のご依頼も受けています。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。