どうも、FXトレーダー兼システムエンジニアのナオトです。
投資と心理の話の18回目です。前回は、思い出しやすいものほどよく起きると感じる、利用可能性ヒューリスティックでした。
今回は、今のままを選びやすいくせ、現状維持バイアスです。
1988年に、経済学者のウィリアム・サミュエルソンとリチャード・ゼックハウザーが、この名前で論文を出しました。
実験の1つは、こういう設定です。
大おじさんから、まとまったお金を相続した。投資先は4つ。中くらいのリスクの会社の株、リスクの高い会社の株、アメリカの短期国債、地方債。
ある組には、何も決まっていない状態から選んでもらいました。
別の組には、相続したお金の一部が、すでにどれかに投じられている、と伝えてから選んでもらいました。
すると、すでに投じられているものとして示された選択肢が、ずっと選ばれやすくなりました。
中身は同じでも、今そうなっている、というだけで選ばれたわけです。
実験の中だけの話ではありません。
同じ論文では、大学の教職員が健康保険や年金をどう選んでいるかのデータでも、このくせが強く出ていました。
カリフォルニアの電力の調べでは、停電の少ない契約の人の約6割が今の契約のままを選び、停電の多い安い契約へ移ると答えた人は6%ほど。
逆に、停電の多い契約の人も、約6割が今のままを選んだと伝えられています。
どちらの組も、自分が今いるほうを選んでいました。
理由としては、変えて損をするのが怖い、変えて失敗したら後悔する、切り替えるのが面倒、などが挙げられています。
FXで、このくせが出やすいのは2つの場面だと思います。
1つは、持っている建玉です。
持っている状態が今の状態なので、何もしないこと、つまり持ち続けることが、いちばん選びやすくなります。
投資と心理の15回目の保有効果で書いた、今持っていなかったら今から入るか、という問いが、ここでも効きます。
もう1つは、インジケーターやEAの設定です。
パラメーターの画面を開いても、既定のまま閉じる方は多いと思います。
ということは、作る側が決めた既定値が、そのまま多くの方の設定になる、ということです。
だから、FXハムラットのインジケーターには、既定値は、何も知らない方がそのまま入れても安全に動く値にする、という決まりを置いています。
既定値を後から変えても、すでに使っている方のチャートには、保存された値がそのまま残ります。最初に決めた既定値は、それだけ長く効きます。
一方で、理由があって変えないことと、変えるのが面倒で変えないことは、別のものです。
投資と心理の12回目では、確かめる前に、落ちても設定は変えないと書いておき、そのとおりにした話を書きました。あれは、先に決めた決まりに従っただけです。
今のままにしているものがあれば、それは自分で選んだ今のままなのか。一度だけ確かめてみてください。
FXハムラットのインジケーターとEAは、出品者ページにまとめています。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。