どうも、FXトレーダー兼システムエンジニアのナオトです。
投資と心理の話の17回目です。前回は、損益を見る回数が多いほど怖くなる、近視眼的損失回避でした。
今回は、思い出しやすいものほど、よく起きることだと感じてしまうくせです。
1973年に、エイモス・トヴェルスキーとダニエル・カーネマンが、この働きを利用可能性ヒューリスティックと名づけました。
ヒューリスティックは、手早く判断するための近道のことです。
よく紹介される問いがあります。
英語の文章から言葉を1つ選んだとき、Kで始まる言葉と、3文字目がKの言葉では、どちらが多いか。
多くの人は、Kで始まる言葉のほうが多いと答えました。
Kで始まる言葉は、すぐにいくつも思い浮かびます。3文字目がKの言葉は、なかなか浮かびません。
ところが、実際の英語では、3文字目がKの言葉のほうが多いんです。
思い出しやすさを、そのまま起きやすさと取り違えている、という説明です。
この働きは、いつも間違うわけではありません。
よく起きることは、思い出しやすいことが多いので、たいていは役に立つ近道です。
困るのは、印象の強さと、起きる回数がずれているときです。
トレードでは、印象の強い場面が、思い出しやすい場面になります。
大きく勝った1回。大きく負けた1回。チャートで形がきれいに決まった場面。
こうした場面は、何度も思い出すので、よくあることのように感じます。
一方で、何も起きずに終わった多くの場面は、ほとんど記憶に残りません。
検証ノートの25回目で、押し安値を少し割って戻ったら買い、という形を測りました。
だましから上へ伸びた場面は印象に残りますが、数えてみると、戻ったあとにまた割れた場面も少なくありませんでした。
EAの入り口を、私が印を付けたチャートの画像で決めないのも、同じ理由です。
印を付けたくなる場面は、思い出しやすい場面です。そこから決まりを作ると、思い出しやすさに引っぱられます。
だから、覚えている場面に頼らず、過去の全部の場面を数えます。
思い出しやすい場面と、実際に何回起きたかを分けて考える。それが、このくせへの手当てです。
ご自分の手法が、全部の場面で数えるとどうなるかを測る、過去検証のご依頼も受けています。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。