ゴシック・ホラーの金字塔! ブラム・ストーカー『ドラキュラ』(唐戸信嘉訳、光文社古典新訳文庫)

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シルクハットに、黒いマントを羽織ったイメージで広く知られる、吸血鬼ドラキュラ。
しかし、その原作をご存じのかたは少ないのではないでしょうか?

本作は19世紀末、ブラム・ストーカーによって書かれた物語。
コナン・ドイルなどが活躍した、ビクトリア時代のイギリスの作家です。
原作のドラキュラはルーマニアの高貴な家系の出。
このドラキュラ伯爵が、実在のヴラド・ツェペシュ(串刺し王)こと、ヴラド三世であることは、吸血鬼ファンの間では有名です。

ルーマニアとイギリスをまたにかけた壮大な物語ですが、本書は関連地図が詳しくわかり易い。
また注釈も充実。
当時の風俗や、東欧の複雑な歴史、民俗関係なども興味深いです。
もちろん翻訳も読みやすい。
そして、その訳者による解説では、本作にある東欧――カトリック圏と、イギリスーープロテスタント圏という構造や、当時のフェミニズム(しかしながら、現代から見るとやぱり前時代的、いや変わらない?)的要素なども分析されていて、読み応えたっぷり!
なるほど、思春期の頃から私を魅了してやまない、妖艶かつ深遠な魅力がこういったところにあったのだな、とうならされます。

トップのイラストは、ヘンリー・フュースリーの絵画『夢魔』から構図を借用。
吸血鬼と女性のイメージは、コッポラの映画『ドラキュラ』より。
蝶は、『羊たちの沈黙』でも象徴的に使われたアケロンティア・アトロポス(ドクロ蛾)。
『ドラキュラ』の作中、精神病棟に現れた描写が印象的でした。

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