思考の統合力とは何か
──「まとめられる」と「考えが統合されている」は別の話
日常や仕事の中で
「情報を整理するのが得意」「話をまとめるのが上手」
と言われる人は多い。
ただし、
それと 思考が統合されているかどうか は、必ずしも一致しない。
この違いを分ける概念として
ここでは 「思考の統合力」 という言葉を使ってみたい。
表向きの統合と、思考の統合
表向きの統合(外部統合)
これは、多くの場面で求められる能力。
情報を整理する
意見を要約する
手順を整える
ルールに沿って調整する
あらかじめ
・目的
・評価基準
・枠組み
が用意されている状態で、
その中に情報を配置していく作業と言える。
仕事や組織では、これで十分に機能することも多い。
思考の統合(内部統合)
一方で、思考の統合は少し性質が違う。
自分の中の矛盾をそのまま扱う
複数の価値観を同時に保持する
情報同士の関係性を見出す
自分なりの基準を更新する
こちらは
外部の枠組みがない状態で行われる統合。
「正解が用意されていない問い」に対して、
自分の中で構造を立ち上げる作業になる。
なぜ両者は混同されやすいのか
表向きの統合ができる人は、
一見すると「考えが深そう」に見える。
しかし実際には、
情報は点のまま
点同士の関係は外部基準に依存
枠組み自体は自分で作っていない
というケースも少なくない。
これは能力の問題というより、
扱っているレイヤーの違い に近い。
思考の統合力が関わる場面
思考の統合力が必要になるのは、例えばこんな場面。
正解が一つに定まらない問題
価値観が衝突するテーマ
自分自身の方向性を考えるとき
世界観や前提を問い直すとき
ここでは
「上手くまとめる」だけでは前に進めない。
情報をどう配置するか以前に、
どういう構造として捉えるか が問われる。
どちらが良い・悪いという話ではない
重要なのは、
表向きの統合と、思考の統合は 別の能力 だということ。
表向きの統合が向いている場面
思考の統合が必要になる場面
それぞれ役割が違う。
混同すると、
「話は通じているのに、なぜか噛み合わない」
「説明しても伝わらない」
といったズレが生まれやすくなる。
最後に
思考の統合力とは、
情報をまとめる力ではなく
情報同士の関係から構造を立ち上げる力
と言えるかもしれない。
自分がどちらの統合を主に使っているかを意識するだけでも、
他人との違いや、思考の行き違いが
少し見えやすくなるはずだ。