日本を脱出して海外で働こう-でも注意が必要ですよ

記事
占い
なんでも、フランスのクオリティペーパー*「ル・モンド」紙の東京特派員が「日本では、物価は上がり続けるが給料は上がらず、仕事に追われる毎日。そんな日常に嫌気がさし、海外に活路を見いだそうとする人が増えている」といった主旨の記事を書いたそうです。

*エリート階層を読者とする質の高い新聞

同記事では、豪州シドニーのレストランで週4日勤務し月40万円近く稼いでいるケース、看護助手として働き日本での2倍にあたる月収80万円を得ているケースなどを紹介し、「高収入とより良い業務のワークバランスを求め、日本の前時代的な習慣に縛られない別の場所での未来を見いだした」などと伝えています。

確かに、海外転職支援を行う「GJJ海外就職デスク」も、昨年は前年比1.5倍もの海外求人情報に関する問い合わせがあり、若者だけでなく中年層以上の問い合わせも増えたとしています。

また、ある大学教授によれば「賃金や労働環境、社会の多様性、寛容さなどの面で、日本より欧米に魅力を感じる人が徐々に増えている」のだそうです。

同教授によれば、日本人が海外に出ていく第1の理由は収入。

日本での収入をドル換算すると、韓国、イタリア、フランスよりも低く、OECD(経済協力開発機構)統計基準で、2021年の日本の平均給与は3万9711ドル(約540万円)、38加盟国24位にとどまります。

また「よりよいワークライフバランスを可能にする労働条件への渇望」も日本人が海外移住を望む一因とされています。

日本の会社員は多くが残業を強いられ、有給休暇、育児休暇も容易に取ることができず、女性にとって妊娠はキャリアの終わりを意味するからです。

ル・モンド紙の記事に戻ると、「人口減少が深刻な状況で、人材の海外離脱が加速化していることへの懸念は拡大している」とも書いています。

朝日新聞の今年1月の報道によれば、22年10月1日現在、海外永住権者は過去最多の55万7000人に達してます(外務省統計)。

コロナの影響で留学、海外勤務などの長期滞在者が減少した一方、生活や職を求めた移住者を中心に永住権者は前年より約2万人増加したとのことです。

そして評論家 古賀重明氏も、「今年が日本の青年層の海外脱出本格化元年になるだろう」と警告し、「低賃金、職場でのパワハラ・セクハラの横行、非正規職や女性に対する差別、賃金体系の崩壊懸念などから若者は「日本経済に明日はない」と考えている。それでも日本に残る高齢者を扶養するために一生懸命働くことが果たして賢明なのか。こうした状況では日本を脱出するリスクより残留するリスクのほうがずっと大きくなることは間違いない」と主張しています。

なるほどねえ。

いろいろな考え方がありますし、これらの意見も一面をついてはいるとは思います。

ただし、大昔に日本を脱出し、フランスで長期間働いた経験のある私としては、いわせていただきたいことがいくつかあります。

まず、豪州シドニーのレストラン月40万円稼ぐとか、看護助手で月収80万円なんて話を鵜呑みにしないほうがいいでしょう。

本当だとしても特殊な例であって、誰でも同じだけ稼げるとは思えません。

きちんとした技術や資格を持っているのなら外国でも高い給与の就職先に困らないでしょうが、そうでなければ最底辺、下手をすると違法就労(無許可)することになります。

これは当局に発見されると問答無用で本国送還ですからね(費用は本人持ち)。

多くの国、たとえば私が住んでいたフランスで外国人の労働許可証の取得は、フランス人が代替できないような仕事であることが条件です(移民は少し事情が違います)。

つまり日本人は誰でもできるような仕事には就けないということです。

ですから、フランスに限らず、外国で働きたかったら、何か特別の技術を覚えなければならない。

ただし、特殊で給料が良い仕事なんてそうそうありませんから、ぶっつけで当地にいってなんとかなるなんてことはありません。

日本であらかじめ見つけておかないといけないんですね。

そして、同記事では意図的にある深刻な問題に触れていません。

それは人種差別の問題です。

これも国によるでしょうが、日本人はおうおうにして差別されますし、特に子供の教育の問題があります。

子供がいじめられたり、差別される恐れがあるだけではなく、成人してからも出世は難しいのです。

明らかに東洋人は排除されていますから。

たとえばフランスでは日本人は大会社の取締役や高級官僚にはまずなれません。

社会の多様性、寛容さなんていっても、いわゆる白人国では社会は日本なんかよりも遥かに閉塞しているところが多いのです。

外国で働きたい方は、くれぐれも調査・準備を十分にしてください。

行ってから考えていたのと違うなんて泣き言をいわないように。

では

サービス数40万件のスキルマーケット、あなたにぴったりのサービスを探す