親の介護、何から話せばいい?
― 親も子も安心する、介護準備の小さな一歩 ―
スマートフォンの連絡先を開いたものの、兄弟姉妹の名前を見て、そのまま画面を閉じてしまう。
「親のことを、一度話しておいた方がよいのかな」
「でも、何年も話していないのに、今さら何と言えばいいのだろう」
そんな迷いを抱えていませんか。
連絡を取らなくなった事情は、人それぞれです。忙しさから疎遠になった方もいれば、つらいやり取りが重なり、距離を置いてきた方もいるでしょう。
今回は、その事情も大切にしながら、兄弟姉妹と長く話していない状況での介護準備を考えます。
「兄弟なのだから」だけでは、動けないことも
「親のことなんだから、兄弟で話し合えばいい」
周囲からそう言われても、簡単には連絡できないことがあります。
子どものころから比べられてきた。
困ったときに話を聞いてもらえなかった。
会うたびに責められ、自分の気持ちを言えなくなった。
そのような経験があれば、「また同じ思いをするのでは」とためらうこともあるでしょう。
距離を置いてきた理由も、これからの関わり方を考えるうえで大切な事情です。
親が高齢になったからといって、これまでの出来事が消えるわけではありません。関係を修復することを、介護準備を始める条件にしなくてもよいのです。
連絡するか決める前に、今の状況を書いてみる
まずは、手元のメモに次の三つを書いてみてください。
1.親について分かっていること
通院や暮らしの様子、最近気になったこと
2.今、確認したいこと
急な入院に備えた連絡方法など
3.連絡をためらう理由
責められそう、急に役割を求められそう、といった不安
すべて埋める必要はありません。
分からないところは、そのままで構いません。
書いた内容は、兄弟姉妹に確認したいことと、親本人や相談先に確認できそうなことを考える手がかりになります。
まだ連絡するか決められなくても、何が気になっているのかを整理することはできます。
連絡を選ぶなら、最初は一つの確認からでも
ご自身が「文章なら連絡してもよさそう」と思える場合には、メールやメッセージで、一つの用件に絞って伝える方法があります。
例えば、今は急ぎの用件がなく、今後の連絡方法を確認しておきたい場合なら、
「久しぶりです。親の今後に備えて、連絡方法を一つ確認したくてメッセージしました。急な入院などがあったときは、ここに連絡してもよいですか。」
という文章が考えられます。
最初の一通に、これまで連絡しなかった理由や、介護の分担の話まで詰め込まなくても構いません。
文面を下書きにして、一度置いておくこともできます。読み返して負担を感じるなら、送る前に相談してもよいのです。
返事を待つことが、負担になる場合も
メッセージを送ったあと、何度も画面を確認してしまう。
返事がないと、「言い方が悪かったのだろうか」と、自分を責めたくなる。
そんな負担が気になる場合には、送る前に、「返事をいつ確認するか」「つらい内容が返ってきたら誰に相談するか」を考えておく方法もあります。
返信がない理由は、こちらには分かりません。
連絡がつくか、協力を頼めるかは、実際に確認できた範囲で考えていきましょう。
やり取りがつらくなったときには、その場で返事を決めず、どこまで応じるかを相談することもできます。
直接連絡する前に、相談しても構いません
「兄弟と話せていないから、介護の相談もまだできない」
そう思っていませんか。
親の生活で気になることや、必要な支援については、親が暮らす地域の地域包括支援センターに相談する方法があります。高齢者やその家族から、介護・福祉に関する相談を受け付けている窓口です。
「兄弟とは長く連絡を取っていません。分かっている親の状況から、今、何を確認すればよいか相談したいです」
と伝えるところから始められます。
連絡先が分からない、直接のやり取りは避けたいという事情も、話せる範囲で伝えてみてください。
家族との話し合いが始まる前にも、相談先と一緒に考えられることがあります。
連絡するか迷っている、その段階からご相談ください
「何年も話していない兄弟に、どう連絡すればよいか分かりません」
「親のことは気になりますが、また傷つくようなやり取りになるのが不安です」
そのような思いから、介護準備の相談を始められます。
60分の相談では、今の家族関係やご自身の暮らしを伺いながら、「確認したい情報」「関われそうな範囲」「連絡を選ぶ場合の方法や言葉」「先に相談しておきたいこと」を一緒に整理します。
連絡するかどうかが、まだ決まっていなくても構いません。これまでの事情も、お話しできる範囲でお聞かせください。
ご相談は60分・3,000円(税込み)です。
次回は、「『長女だから』『長男だから』。家族の期待の陰で言えなくなった本音」をテーマに、昔からの役割と、今のご自身の暮らしを考えます。