親の介護、何から話せばいい?
― 親も子も安心する、介護準備の小さな一歩 ―
「長女なんだから、お母さんのこと、お願いね」
「長男なんだから、あなたが決めてよ」
そう言われると、本当は迷っていても、つい「分かった」と答えてしまう。
けれど、一人になってから、
「私にも、分からないことがある」
「引き受ける前に、私の都合も聞いてほしかった」
という気持ちが浮かんでくる。
そんな経験はありませんか。
今回は、家族の中で期待されてきた役割と、言葉にしづらかった本音に目を向けながら、今のご自身に合う介護準備を考えます。
「しっかりしなければ」の陰にある気持ち
子どものころから、「お姉ちゃんなんだから我慢して」「お兄ちゃんだから頼むよ」と言われてきた。
困ったことが起きると、自然に自分が動く役になっていた。
そうした経験がある方は、親の介護についても、「自分が何とかしなければ」と感じることがあるかもしれません。
「あなたなら大丈夫」と頼られる一方で、「実は困っている」とは言い出せなかった方もいるでしょう。
以前から親や兄弟姉妹との関係が難しかった場合には、また昔と同じように、自分の気持ちを後回しにされるようでつらくなることもあると思います。
期待されることが重い、頼られることが苦しい。
そう感じていることも、相談で話してよいことです。
昔からの役割と、今の事情を分けてみる
これまで家族の用事を引き受けてきたとしても、今は仕事や体調、ご自身の家庭の事情が変わっているかもしれません。
長女・長男という立場だけでは、今どれだけの時間や余力があるかは分かりません。
まずは、次の二つを分けて書いてみてください。
1.家族から期待されていること
通院の付き添い、手続きの確認、兄弟姉妹への連絡、今後の方針を決めることなど。
2.今の自分の事情
平日は仕事を休みにくい。自分も通院している。親とのやり取りで消耗する。家族の意見をまとめる自信がない。
書き出すと、「頼まれているけれど、今の自分には難しいこと」が見えてくるかもしれません。
役割を考えるときには、今のご自身の事情も、きちんと含めてよいのです。
まだ介護が始まっていなくても、「いざというとき、自分にすべて任されそう」という不安から整理を始められます。
本音は、誰かに伝える前に書いてもよい
「私だって、誰かに頼りたい」
「本当は、親と長い時間を過ごすのがつらい」
「相談もなく、私が引き受けることにしないでほしい」
そんな言葉が浮かんでも、「こんなことを思ってはいけない」と打ち消してしまうことがあるかもしれません。
まずは、誰かに見せる予定のないメモに、今の気持ちを一つだけ書いてみてください。
「何がいちばん負担なのだろう」
「本当は、どんなことを分かってほしかったのだろう」
答えをきれいにまとめる必要はありません。
気持ちを書き出したあとで、実際に何を担うか、誰に何を相談するかを考えていけます。
親への優しい気持ちが浮かばない方も、その背景にある事情を置き去りにせず、今後の関わり方を考えてよいのです。
話せそうなら、「今、難しいこと」から伝える
ご自身にやり取りする余裕があり、家族とも話せそうな場合には、今の状況を具体的に伝える方法があります。
判断を一人で任されそうなときなら、
「私も分からないことがあるので、一人で判断するのは難しい。
まず、何を確認すればよいか相談してから考えたい」
継続的な付き添いを求められているなら、
「今の仕事や体調では、毎回の付き添いを引き受けることは難しいです」
という伝え方もできます。
ただし、言葉を選んでも、すぐに理解してもらえるとは限りません。
「今までやってくれたじゃない」と言われて、さらに何かを約束しそうになったときには、その場で返事を決めず、考える時間を取る方法もあります。
家族との話し合いを始めたり、意見をまとめたりすること自体が負担なら、そのことも先に相談して構いません。
家族には言いにくい気持ちを、第三者との相談の場で整理するところから始められます。
家族には言えない本音から、ご相談ください
「長女だからと、いつも自分が引き受けています」
「長男として判断を求められますが、私も不安です」
「昔から親との関係が難しく、期待される役割を担える気がしません」
そのような思いから、介護準備の相談を始められます。
60分の相談では、親の状況や家族との関係、ご自身の仕事・暮らしを伺いながら、「期待されていること」「今の負担、関われそうな範囲」「家族への伝え方」「先に確認しておきたいこと」を一緒に整理します。
家族に伝える言葉が決まっていなくても、どこまで関わりたいか迷っていても構いません。
「しっかりした答え」を用意せず、今、困っていることからお話しください。
ご相談は60分・3,000円(税込み)です。
次回は、「もともと仲のよくない兄弟と、介護をどう考えればいい?」をテーマに、協力を前提にしにくい状況での準備をお伝えします。