親の介護、何から話せばいい?
― 親も子も安心する、介護準備の小さな一歩 ―
「最近、親のことが少し気になるんだけど...。」
そう切り出したら、兄弟姉妹から返ってきたのは、「まだ元気なんだから、考えすぎじゃない?」
という言葉だった。
それ以上は言えなくなり、送ろうとしていたメッセージを消してしまう。
けれども、心配は残ったまま。
「私が気にしすぎなのかな...」
「でも、何かあったら動くのは私になりそう...」
そんなふうに、一人で考え続けていませんか?
今回は、心配が家族に伝わらないとき、ご自身の気持ちと暮らしを大切にしながら、今できる準備を考えます。
一緒に考えてほしかった気持ちが、置き去りになることも
「何が心配なの?」と、一度聞いてほしかった。
「今、どんな様子なの?」と、関心を向けてほしかった。
そのような思いがあると、「考えすぎ」の一言で会話が終わることは、寂しさや孤立感につながるかもしれません。
以前から兄弟姉妹との関係が難しかった方には、さらに別のつらさもあるでしょう。
子どものころから「気にしすぎ」と言われてきた。
自分の話は、いつも後回しにされていた。
困ったことが起きると、結局は自分が対応してきた。
そうした経験が重なれば、「今回も、自分だけで何とかすることになるのでは?」と感じることもあると思います。
その一言がつらかった背景も、相談するときに話してよいことです。
親への心配と、ご自身の生活への不安を書いてみる
兄弟姉妹にそう言われると、自分の心配そのものを疑いたくなるかもしれません。
ただ、親と会う頻度や、普段頼まれていることが違えば、家族でも気づいていることは異なります。
まずは、ご自身が何を気にしているのか、二つの面から書いてみてください。
1.親の暮らしについて気になること
通院への付き添いを頼まれることが増えた。
今、どのような手助けが必要なのだろう?
2.自分の暮らしについて不安なこと
急に仕事の予定を変えることが増えている。
この先も同じように対応し続けられるだろうか?
まだ具体的な手助けが始まっていなくても、「急な入院になったとき、誰に連絡するか分からない」という不安があるかもしれません。
親に必要な支えと、ご自身が感じている負担。どちらも介護準備の相談で扱ってよいテーマです。
分からない点は、相談しながら確かめていけます。
話せそうなら、頼みたいことを一つに絞ってみる
ご自身にやり取りする余裕があり、兄弟姉妹とも話せそうな場合には、気になっている出来事と、頼みたいことを具体的に伝える方法があります。
例えば、親が希望する通院の付き添いを分担したい場合なら、
「今月、親の通院で仕事の予定を2回変えたんだ。次回の付き添いをお願いできるか、予定を確認してもらえる?」という伝え方です。
まだ日々の手助けが必要でない場合には、「親が急に入院したとき、家族の誰にどの順番で連絡するか、一度確認しておきたいんだ」
と、一つの準備について話す方法もあります。
相手が同じ程度に心配しているかは分からなくても、具体的に何を確認したいのかは伝えられます。
ただし、こう伝えれば必ず協力してもらえる、というものではありません。
話しかけること自体が負担になる関係なら、先に別の相談先で整理するところから始めて構いません。
伝わらないとき、説明を重ね続けなくても...
言葉を選んで伝えても、「気になるなら、自分でやれば?」と言われてしまうこともあるでしょう。
その言葉を受けて、「自分が心配したのだから、自分で引き受けるしかない」と、予定や役割を増やしてしまうかもしれません。
そんなときには、約束する前に、ご自身の暮らしを確かめてみてください。
「日程が合えば付き添えるけれど、毎回仕事を休むことは難しい」
「連絡先を調べることはできそう。でも、親と直接やり取りすることには強い負担がある」
親との関係が以前からつらかった方は、その事情も含めて考えてよいのです。
介護準備には、ご自身が担える範囲を確認することも含まれます。
まだ決められないことを、その場で引き受ける必要はありません。
家族と意見がそろう前でも、相談はできます
「兄弟が心配していないのに、私だけ相談してもよいのだろうか?」
そう迷う方もいるかもしれません。
ご自身の不安や、今後の備えを相談するために、家族全員の意見がそろうのを待つ必要はありません。
親の暮らしで困っていることや、利用できる支援については、親が暮らす地域の地域包括支援センターに相談する方法があります。
地域包括支援センターは、高齢者やその家族からの介護・福祉に関する相談を受け付けています。
「最近、通院への付き添いを頼まれることが増えました。家族だけで対応し続けられるか不安です」
と、分かっている状況から伝えてみる形でもよいでしょう。
気になることに、どのような確認や準備が必要なのか。
一人で判断しにくい部分を、相談先と一緒に考えていくことができます。
「一人で心配している」今の状態から、ご相談ください
「兄弟に話しても、考えすぎと言われてしまいます」
「親のことも気になりますが、この先、自分だけに負担が集まりそうで不安です」
そのようなところから、介護準備の相談を始められます。
60分の相談では、今の家族関係や仕事・暮らしの状況を伺いながら、
1.心配のきっかけ
2.今確認したいこと
3.ご自身が関われそうな範囲
4.家族への伝え方や必要な相談先
などを一緒に整理します。
親や兄弟姉妹と、まだ話し合えていなくても構いません。
これまでの事情も、話せる範囲でお聞かせください。
「何を相談すればよいか分からないけれど、一人で考え続けるのがつらい」
その一言から、お話しいただけます。
ご相談は60分・3,000円(税込み)です。
次回は、「近くに住んでいるというだけで、私が全部引き受けるの?」をテーマに、住む場所によって負担が偏りそうなときの気持ちと、関われる範囲の考え方をお伝えします。