第8回 施設の話をすると、親を見捨てるようで言い出せない

第8回 施設の話をすると、親を見捨てるようで言い出せない

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親の介護、何から話せばいい?  
― 親も子も安心する、介護準備の小さな一歩 ―

介護施設の情報を見ていたのに、親から電話が来ると、その画面を閉じてしまう。

「施設のことも、少し考えておいたほうがいいのでは」

そう思っていても、言葉にするところで止まってしまう。

親を傷つけるのではないか?
兄弟姉妹に責められるのではないか?
自分が楽をしたいだけだと思われるのではないか?

施設の話には、暮らしや費用の問題とともに、家族への思いや、これまでの関係も重なります。

今回は、「親を見捨てるようで言い出せない」という気持ちを抱えたままでも、どのような準備ができるかを考えます。

「自分がもっと頑張れば」と思ってしまうとき

「できるだけ家で暮らしてほしい」  
「自分の手で支えられたらと思っていた」

そんな気持ちがあるほど、施設を考えることにためらいが生まれる場合があります。

一方で、昔から親との関係がつらく、同居や日々の世話を引き受けることが難しい方もいらっしゃるでしょう。

距離を保って暮らしたいと思いながら、「子どもなのに」と自分を責めてしまう。そのような迷いもあると思います。

施設を考える背景には、ご家族それぞれの事情があります。

「もっと頑張れるはず」と結論を出す前に、今の仕事や体調、暮らし、これまでの親子関係にも目を向けてみてください。

まずは、暮らしに必要な支えを整理するところから

施設について考えるとき、すぐに「入居するかどうか?」の答えを出そうとすると、話が大きくなってしまいます。

まずは、親の暮らしを続けるために、どのような支えが必要なのかを整理するところから始められます。

施設も、日々の暮らしに必要な支援を受けるための選択肢の一つです。
施設を考えたことだけで、ご自身を「親を見捨てる人」と決めつけなくてもよいのです。

例えば、次の三つです。

1.親が大切にしていること:住み慣れた場所、毎日の習慣、会いたい人など。

2.今、困っていること:買い物や食事の準備、通院、夜間の見守りなど、助けが必要な場面。

3.家族が担えること:仕事や家庭、体調、距離を踏まえて、継続できそうな関わり方。

まだ介護が始まっていない場合は、「これから気になっていること」を書いてみてもよいでしょう。

親の希望が分からない項目は、「未確認」のままで構いません。

「親が望む暮らしと、それを支えるために必要なこと」を少しずつ確かめていく。

その過程で、自宅で利用できる支援や、施設での暮らしについて情報を集めることもできます。

ご自身の暮らしも、考える材料に含めてください

「親が家にいたいと言うなら、私が何とかしなければ」

そう思って、仕事の予定や休息を、いつも後回しにしていませんか?

親の希望を聞くときには、ご自身の生活についても一緒に考えてよいのです。

例えば、

「日程を調整して通院に付き添うことはできても、毎日の見守りは難しい」

「夜間の対応が続くと、翌日の仕事や自分の体調に影響が出る」

と、具体的に言葉にしてみる。

親と直接やり取りすること自体が負担になる方は、その事情も含めてかまいません。

「どこまでなら続けられそうか?」を整理することは、これからの支援を考えるための大切な情報です。

施設を検討するときには、費用や支援内容とともに、連絡や手続きにどのような対応が必要かも、利用先に確認しておくと考えやすくなります。
ご自身が担える範囲を踏まえて、相談していきましょう。

兄弟姉妹との温度差が、言いづらさを増やすこともあります

「まだ家で暮らせるでしょう」  
「施設なんて、かわいそうじゃない?」

そう言われると、考えていたことを引っ込めてしまうかもしれません。

ただ、兄弟姉妹でも、親の暮らしを見ている時間や、普段担っていることには違いがあります。

やり取りできる関係であれば、今起きていることや、負担になっていることを具体的に伝える方法があります。

例えば、「仕事を休んで付き添う日が増えているんだ。この先、誰がどこまで関われるかも含めて考えたい」という伝え方です。

自宅で暮らし続ける場合に、どのような支援が必要なのか?
その役割を誰が担えそうなのか?

そこから整理することもできます。

兄弟姉妹との話し合いが難しい場合には、先に家族以外の相談先で、ご自身の状況を整理してかまいません。

親と話せそうなら、これからの選択肢を知る話から

ご自身に話す余裕があり、親もその話題を聞けそうなときには、調べたい理由を短く伝える方法があります。

例えば、「これからの暮らし方を選べるように、家で受けられる支援や施設のことを、少し調べておきたいんだ。今、その話をしてもいい?」と、話題にしてよいかを確かめてみる。

話ができそうであれば、親が大切にしたいことや、不安に思っていることを、一つずつ聞いていく形でもよいでしょう。

その場で入居の結論や約束まで求める必要はありません。

ただ、施設という言葉を出すだけで強く責められるなど、話すこと自体が難しい関係もあります。その場合には、ご自身だけで切り出し方を考え続けず、これまでの関係も含めて相談してください。

「施設を考えることへの迷い」も、ご相談いただけます

「施設の話をしたいけれど、親を見捨てるように感じてしまいます」  
「自分がどこまでできるのかも、まだ分かりません」

そのような状態から、ご相談いただけます。

60分の介護準備相談では、今のご家族との関係や暮らしを伺いながら、

①親の意向
②ご自身が担える範囲
③施設について調べる前に整理したいこと
④家族への伝え方

を一緒に考えます。

親や兄弟姉妹と、まだ話せていなくても構いません。
必要に応じて、地域の窓口や専門家など、次に相談する先も整理します。

ご相談は60分・3,000円(税込み)です。

次回は、「疎遠になっていた親の老いを知ったとき」をテーマに、これまで距離を置いてきた事情も大切にしながら、今できる準備を考えます。


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