親の介護、何から話せばいい?
― 親も子も安心する、介護準備の小さな一歩 ―
「次の通院も、お願いできる?」
家族からそう言われて、手帳を開く。
仕事の予定を確認し、また休暇の申請を考える。
「私にも、簡単には休めない日がある」
「どうして、いつも私が調整することになるのだろう」
そう思っても、言い争いになるのが嫌で、「分かった」と答えてしまうことはありませんか。
今回は、仕事を休む負担が自分に偏っていると感じるときに、家族へ協力を頼む前に整理しておきたいことをお伝えします。
仕事を休むための調整も、負担の一部です
通院に付き添う日は、病院にいる時間だけが負担になるわけではありません。
上司への説明、同僚への引き継ぎ、予定の変更。
職場に戻ってから、たまった仕事に追われることもあるでしょう。
家族には「半日付き添った」と見えていても、その前後にいくつもの調整があります。
「パートだから休みやすいでしょう」
「在宅勤務なら、何とかなるのでは?」
そんな言葉に、自分の仕事を軽く扱われたようで、つらくなる方もいると思います。
働き方だけでは、休むためにどれだけの調整が必要かは分かりません。
ご自身の仕事も、家族に伝えてよい大切な事情です。
以前から親や兄弟姉妹との関係が難しかった場合には、「また自分の都合だけが後回しにされる」と感じることもあるかもしれません。
今の負担と、これまで積み重なってきた気持ち。その両方を大切にしながら考えていきましょう。
頼む前に、「次に任せたいこと」を一つ選ぶ
「もう少し協力してほしい」と思っていても、何から伝えればよいか迷うことがあります。
まずは、次の三つを短く書いてみてください。
1.自分が対応していること
通院の付き添い、日程の確認、親や家族への連絡など。
2.仕事や暮らしへの影響
休暇や早退が続いている。仕事の予定を何度も変えている。
休息の時間が取れていない。
3.次に頼みたいこと
次回の通院の付き添い、必要な書類の確認など、具体的な用件を一つ。
きれいな一覧表を作る必要はありません。
直近の一回分からでも構いません。
まだ介護が始まっていない方も、「平日の通院が増えたら、今の働き方では毎回対応できない」と、今後心配なことを書けます。
「何が大変なのか」と「何を頼みたいのか」を言葉にすると、相談の場でも考えを整理しやすくなります。
話せそうなら、事情とお願いを具体的に伝える
ご自身に話す余裕があり、家族ともやり取りできそうな場合には、今の事情と頼みたい用件を一緒に伝える方法があります。
たとえば、通院の日程が決まっているなら、
「次の通院は来週火曜日の午前です。私は今月すでに2回仕事を休んでいて、その日は休むのが難しいです。今回は付き添いをお願いできますか」
という伝え方です。
相手の返事が「できるだけ手伝う」だった場合には、
「ありがとう。今回は、火曜日の付き添いをお願いできるということでよい?」
と、何を引き受けてもらえるのか確かめることもできます。
引き受けてもらえたら、待ち合わせ場所や当日の連絡方法など、必要なことを確認します。
ただ、言葉を選んで頼んでも、協力が得られるとは限りません。以前から話を聞いてもらえなかった方や、頼むと責められる不安がある方もいるでしょう。
協力が得られないことを、ご自身の頼み方だけのせいにする必要はありません。
直接話すことがつらい場合には、今の負担と頼みにくい事情を、先に第三者へ相談するところから始められます。
家族の協力が難しいときは、外の相談先にもつなぐ
「結局、自分が休むしかない」と感じたときには、家族以外の支援も含めて考えることができます。
親が住む地域を担当する「地域包括支援センター」は、介護について相談できる窓口です。
たとえば、
「親の通院などで仕事を休むことが続いています。家族の協力を得にくく、今の対応を続けるのが難しいです。どのような支援を相談できますか」
と、親の状況と仕事への影響を一緒に伝える方法があります。
また、勤務先の上司や人事・労務の担当者に、対応が必要な頻度を伝え、利用できる制度や仕事の調整方法を確認することも考えられます。
「休む回数が増えていて、今のままでは仕事を続けることに不安があります」
その言葉も、相談の出発点になります。
家族への協力のお願いと、外部の支援や職場での調整を、並行して考えてよいのです。
家族に頼む前の迷いから、ご相談ください
「休むのはいつも私で、仕事への影響が心配です」
「協力を頼みたいけれど、また否定されそうで言い出せません」
「家族に何を任せられるのか、自分でも整理できていません」
そのような状態からでも、介護準備の相談を始められます。
60分の個別相談では、親の状況や家族との関係、ご自身の働き方を伺いながら、現在の負担、続けることが難しい対応、家族に頼みたいこと、伝え方、確認しておきたい相談先を一緒に整理します。
家族との話し合いが済んでいなくても、何を頼むか決まっていなくても構いません。
まずは、「仕事を休むのが、だんだんつらくなっています」という今の気持ちからお話しください。
ご相談は60分・3,000円(税込み)です。
次回は、「親の介護費用、兄弟に負担の話をしづらいあなたへ」をテーマに、お金の話を始める前に確認しておきたいことをお伝えします。