第48話 入院・退院の時に家族が慌てないための準備

第48話 入院・退院の時に家族が慌てないための準備

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親の介護は、ゆっくり始まるとは限りません。

ある日突然、

転倒した。

体調を崩した。

救急搬送された。

そのまま入院になった。

そんなところから始まることがあります。

家族は突然、

「病院はどこ?」

「何を持って行けばいい?」

「薬は何を飲んでいた?」

「保険証はどこ?」

「退院したら家に戻れるの?」

と、次々に判断を求められます。

さらに難しいのは、「入院できたから安心、ではない」ということです。

むしろ、そこから、

退院後どこで暮らすのか?

介護が必要なのか?

家に戻れるのか?

施設を探すのか?

誰が支えるのか?

という次の問題が始まることがあります。

だからこそ、親が元気なうちに、「突然入院したらどうするか?」と「退院後どうするか?」をセットで考えておくことが大切です。

入院時に最初に困るのは「情報が分からない」こと

突然の入院で家族が最初に困りやすいのは、親の医療情報が分からないことです。

かかりつけ医。

持病。

服用している薬。

アレルギー。

過去の手術歴。

入院歴。

これらを本人が説明できれば問題ありません。

しかし、意識がはっきりしない。

認知症がある。

急な体調悪化で会話が難しい。

ということもあります。

その時、家族が何も知らないと慌てます。

だから最低限、「かかりつけ医・持病・薬」だけでも共有しておくことが大切です。

お薬手帳は「どこにあるか?」まで確認する

意外に重要なのがお薬手帳です。

本人が薬の名前を正確に覚えていなくても、お薬手帳があれば情報を確認できます。

しかし、「お薬手帳は持っているはず」では不十分です。

どこにあるのか?

普段持ち歩いているのか?

家のどこに置いているのか?

まで分かっている方が安心です。

可能であれば、薬の一覧をスマートフォンで撮影しておく方法もあります。

急な入院では、「情報そのものより、必要な時にすぐ出せること」が重要です。

緊急連絡先は一人だけにしない

親の緊急連絡先が、

長男だけ。

長女だけ。

ということもあります。

しかし、その人が、

仕事中。

出張中。

旅行中。

体調不良。

という可能性もあります。

そこで、

第一連絡先。

第二連絡先。

できれば第三連絡先。

まで考えておくと安心です。

兄弟姉妹。

配偶者。

親戚。

信頼できる人。

など、役割を決めておきます。

大切なのは、「一人と連絡が取れなければ何も進まない」状態をつくらないことです。

入院時に必要な物は一か所にまとめておく

突然入院すると、

保険証。

診察券。

お薬手帳。

下着。

衣類。

洗面用品。

眼鏡。

補聴器。

充電器。

などが必要になります。

そのたびに家の中を探すと、家族は疲れます。

そこで、「入院セット」のようにまとめておく方法があります。

完璧でなくても構いません。

最低限、

重要書類。

医療情報。

連絡先。

がまとまっているだけでも違います。

親の終活というと大げさに感じても、「急な入院セットを作っておこう」なら話しやすい家庭もあります。

入院したら「退院のこと」を早めに考える

ここは、とても大切なポイントです。

家族は入院すると、「まず治療に専念して、退院のことは後で考えよう」と思いがちです。

もちろん治療が最優先です。

しかし、親が高齢の場合、入院前と同じ生活に戻れるとは限りません。

歩けていた人が、入院中に筋力が落ちる。

トイレが一人で難しくなる。

認知機能が低下する。

薬の管理が必要になる。

このような変化が起こることがあります。

だから、「入院した時点から退院後の生活を考え始める」ことが重要です。

「退院できる」と「家で暮らせる」は違う

家族が特に誤解しやすいのが、「退院できるなら、自宅に戻れる」という考えです。

医療的には退院可能でも、

生活面では、

階段を上がれない。

トイレまで歩けない。

食事を作れない。

薬を管理できない。

夜間に一人で過ごせない。

ということがあります。

つまり、病院での治療が終わったことと、元の暮らしに戻れることは別です。

だから退院前に、

今の身体状態。

認知機能。

必要な介助。

住宅環境。

家族ができる支援。

を確認する必要があります。

退院支援の担当者に早めに相談する

病院には、退院後の生活や介護サービスについて相談できる職種や窓口がある場合があります。

家族だけで、

「家に戻れるか?」

「施設に入るべきか?」

を考え込む必要はありません。

退院後の生活が心配であれば、

「家に戻った後が不安です」

「一人暮らしなので心配です」

「家族は遠方に住んでいます」

「仕事があるので毎日は対応できません」

と、早めに伝えます。

家族の事情を隠して、「何とかします」と言ってしまうと、後で苦しくなることがあります。

できないことを正直に伝えることも、退院準備の一つです。

退院前に家の中を確認する

自宅に戻る場合は、家の中も確認します。

玄関の段差。

階段。

廊下。

トイレ。

浴室。

寝室。

病院では歩けても、自宅の段差では危ないことがあります。

ベッドが二階。

トイレまで遠い。

浴室が滑りやすい。

という場合もあります。

必要に応じて、

寝室を一階へ移す。

手すりを検討する。

福祉用具を使う。

生活動線を短くする。

といった工夫を考えます。

退院後の生活では、「家そのものが介護のしやすさを左右する」ことがあります。

介護保険サービスを使う可能性も考える

退院後、

訪問介護。

デイサービス。

訪問看護。

福祉用具。

ショートステイ。

などの支援が必要になることがあります。

それまで介護サービスを使っていなかった家庭では、「何から始めればいいか分からない」となりがちです。

だからこそ、

親の状態によっては、

地域包括支援センター。

ケアマネジャー。

病院の相談窓口。

などにつなげてもらうことを考えます。

家族だけで、「全部自分たちでやる」と決めないことが大切です。

家族が毎日通える前提にしない

退院直後は、「しばらく私が毎日行く」と考える人もいます。

短期間なら可能かもしれません。

でも、

仕事。

家庭。

自分の健康。

があります。

それが何か月も続けば疲弊します。

だから退院前に、

家族ができること。

できないこと。

サービスに任せること。

を分けます。

たとえば、

通院は家族。

入浴はサービス。

食事は配食。

見守りは訪問サービス。

という形です。

介護は、「家族が全部担う形より、支援を組み合わせる形」の方が続けやすくなります。

退院後すぐに「元通り」を期待しない

退院すると家族は、「家に戻れば元気になるだろう」と思いたくなります。

しかし、入院による体力低下が残ることがあります。

特に高齢者の場合、

歩行。

食事。

睡眠。

認知機能。

生活リズム。

が戻るまで時間がかかることがあります。

そのため、

退院初日から、「以前と同じように何でもできる。」とは考えない方が安心です。

最初は少し支援を多めにし、様子を見ながら減らす。

という考え方もあります。

「退院=自宅」だけで考えない

退院後の選択肢は、自宅だけではありません。

状態によっては、

リハビリを継続する。

施設への入所を検討する。

一時的に別の支援先を利用する。

ということもあります。

親は、「絶対家に帰りたい」と言うかもしれません。

その希望は大切です。

一方で、

夜間も介護が必要。

家族が対応できない。

医療的な支援が多い。

という場合には、現実的な選択肢も考えなければなりません。

大切なのは、「親の希望と、安全に生活できる条件の両方を見ること」です。

退院直後は「家族の負担」が一気に増えやすい

退院すると、

食事。

服薬。

通院。

排泄。

入浴。

家事。

見守り。

と、生活全体の支援が始まります。

入院中は病院が担っていたことが、退院と同時に家族側へ戻ってきます。

そのため、「退院できてよかった」という安堵と同時に、

家族側の負担が急激に増えることがあります。

だからこそ、退院前に「誰が、何を、どこまでやるか?」を具体的に決めておくことが大切です。

兄弟姉妹には「退院してから」ではなく先に共有する

兄弟姉妹がいる場合、

近くに住んでいる人だけで対応を進めると、後から負担が集中することがあります。

そこで、

入院した段階で、

現在の状態。

退院予定。

必要になりそうな支援。

費用。

を共有します。

そして、

通院。

買い物。

情報収集。

費用負担。

施設探し。

など、役割を分けます。

退院後に、「こんなに大変になるとは思わなかった」となる前に話しておくことが重要です。

遠距離介護では「退院日」が大きな問題になる

子どもが遠方に住んでいる場合、退院日に誰が対応するかも問題になります。

病院から自宅へ連れて帰る。

薬を受け取る。

家の環境を確認する。

食事を準備する。

サービス担当者と会う。

こうしたことが一日に集中することがあります。

だから遠距離介護では退院日が決まったら、

できるだけ早く仕事を調整する。

現地の支援者と連絡を取る。

必要なら宿泊を考える。

といった準備が必要です。

親のペットも忘れない

前回、第46話でお伝えしたように、親にペットがいる場合はさらに注意が必要です。

入院中、

誰が世話するのか?

退院後、本人が世話できるのか?

施設入所になったらどうするのか?

まで考えます。

人間の退院だけ準備できても、ペットの生活が回らなければ家庭全体は安定しません。

親の生活を考える時には、「ペットも含めて生活全体を見る」ことが必要です。

入院前に整理しておきたい7つの情報

突然の入院に備えて、次の7つは確認しておくと安心です。

1.かかりつけ医

2.持病

3.服用している薬とお薬手帳の場所

4.健康保険証や重要書類の保管場所

5.緊急連絡先

6.利用している介護サービス

7.一人暮らしの場合、家・ペット・郵便物などを誰が確認するか?

すべて完璧にそろえる必要はありません。

分かるところからで十分です。

退院前に確認したい7つのこと

退院が決まったら、次の7つを確認してみてください。

1.今、一人でできることは何か?

2.できなくなったことは何か?

3.夜間に介助は必要か?

4.薬の管理は自分でできるか?

5.自宅の段差やトイレ、浴室は安全か?

6.介護サービスは必要か?

7.家族が実際に対応できる範囲はどこまでか?

ここを曖昧にしたまま退院すると、家族側に急に負担が集中することがあります。

今やっておきたいことは3つ

一つ目は、「親の医療情報を一枚にまとめておくこと」です。

病院。

病気。

薬。

緊急連絡先。

これだけでも構いません。

二つ目は、「入院時に必要な物と重要書類の場所を確認すること」
です。

「どこにあるか分からない」を減らします。

三つ目は、「退院後に家族だけで支えない前提を持つこと」です。

地域包括支援センターや病院の相談窓口、介護サービスなど、外部支援を使うことを最初から選択肢に入れます。

入院の準備は「退院後の生活」まで考えて初めて完成する

入院・退院の時に家族が慌てないために何が必要か?

大切なのは、入院の持ち物だけを準備することではありません。

医療情報。

緊急連絡先。

家族の役割。

家の環境。

介護サービス。

退院後の生活。

ここまで考えておくことです。

高齢の親の場合、一度の入院をきっかけに生活が大きく変わることがあります。

それまで一人で暮らせていた人が、介護を必要とする。

車を運転していた人が運転できなくなる。

二階で寝ていた人が、一階中心の生活になる。

介護施設を検討することになる。

つまり、入院は、医療上の出来事であると同時に、親の暮らしを見直す大きな分岐点になることがあります。

だからこそ、「退院したらその時考えればいい」ではなく、入院した時から、退院後の暮らしを考え始める。

この意識だけでも、家族の混乱はかなり減らせます。

そして親が元気な今だからこそ、「急に入院したら、私たちは何をすればいい?」と一度話しておく。

それが、突然の介護から親と子の両方を守る、大切な準備になるのです。

第49話では、「仕事を辞める前に絶対確認したい10項目」というテーマで、介護が始まった時に勢いで仕事を辞めてしまわないために、会社の制度、介護サービス、家族分担、収入への影響など、退職を決める前に確認しておきたいことを具体的に整理していきます。

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