行動する目的

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こんにちは、心理カウンセラーのナガエトモヒコです。
今回は、私が最初に学んだ心理学でもあるアドラー心理学の「目的論」について書いていこうと思います。

目的論とは

目的論は、アドラー心理学を代表する考えの一つでもあり、「人間の行動には目的があり、その目的に向かって生きていく」という考えです。
アドラーは、「どこから?」ではなく、「どこへ向かって?」が重要な問いであると言いました。つまり、この人は「どこへ向かっているのか?」を考えるのが目的論とも言えます。
また、人間には「究極目標」と呼ばれる大きな人生目標があると考え、人生はその人の究極目標へ向かう流れとされています。
例えば、人生の究極目標が「人より優越する」という場合、その人の行動には、常に人より優越することを目的にした行動がみられます。

目的論と原因論

目的論と並べてよく耳にするのが「原因論」です。
ここでは、二つの違いを簡単に説明していこうと思います。
まず、目的論は「人の行動には目的がある」という考えに対して、原因論は「人の行動には原因がある」というものです。
大きな違いは、目的論は「未来」に意識が向いているのに対して、原因論は「過去」に意識が向いていることにあります。
つまり、目的論は人間は未来に向かって動いていると考え、原因論は人間は過去の原因によって突き動かされていると言えます。
具体的な例を挙げて違いを見てみたいと思います。
例えば、子供がうるさくて子供を怒鳴ってしまった親について考えます。
これは、原因論で考えると「子どもがうるさいから怒鳴った」となります。
しかし、目的論で考えると「子どもを黙らせるために怒鳴った」となります。
「○○だから△△をした」が原因論で、「〇〇のために△△をした」が目的論での捉え方となります。
このように、目的に向かって行動することが目的論での考えとなります。

なぜ目的論が必要なのか

ではなぜ、アドラーは目的論を唱えたのでしょうか。
これは私の考えではありますが、原因論は人間は過去の原因によって突き動かされるとするのであれば、人間に自由がありません。過去の出来事や環境の犠牲者となってしまいます。
しかし、未来の目的に向かっていると考えるのであれば、人間には目的を考え、選択する自由があります。
その人間の自由をアドラーは強調したかったのではないかと思います。
また、目的論で物事を考えることによって、どんな自由があるかというと、上記の「子供を怒鳴った親」についてですが、これは子どもを静かにさせるという目的があります。その目的を自分で意識することができれば、「怒鳴る」といった怒りの感情を使う必要はありません。「もう少し静かにしてくれないかな」「お母さん(お父さん)は、もっと静かにできると思うよ」などといった言葉でちゃんと伝えることもできます。
つまり、目的論で物事を考えることで、より良い手段を選択することができます。

カウンセリングにおける目的論

アドラー派のカウンセリングでは、実際のカウンセリングの場合でも目的論で考え、クライアントと話を進めていきます。
クライアントが「どこへ向かっているのか」を問い、どうすればより良くなるかをともに考えていくのが、アドラー派のカウンセリングです。
他のカウンセリングでは、なぜ今の悩みを抱えているのかということを探る原因論の手法を取ることも少なくないと思います。
もちろん、原因が解ればクライアントもスッキリすることもあると思います。
ですが、アドラー派は原因を深く考えず、過去に縛られるよりは未来に向かって良いことを探しましょうといった感じなのです。
そのため、アドラー派のカウンセリングは助言的であり、短期的であることが、他のカウンセリングとは大きく異なります。

まとめ

ここまでの「目的論」についての内容をまとめると以下のようになります。

・目的論では、人間は目的に向かって行動すると考える
・目的論は未来志向の考えである
・目的論で物事を考えることで、より良い手段を選択することができる

その人がどこへ向かっているのかを問う目的論。目的論で物事を考えることで、今までになかった考えや行動が起きるかもしれません。
今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました。








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