第1回 ウェイト版の「8番 Strength」と「11番 Justice」は、伝統的マルセイユ版の流れを換えてしまっていた。

第1回 ウェイト版の「8番 Strength」と「11番 Justice」は、伝統的マルセイユ版の流れを換えてしまっていた。

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占い
ハルカさん、お待たせしました。
じゃあ、鑑定をはじめましょう。

あっ、その前にひとつだけお聞きしてもいいですか?

はい、どうぞ。何でもおっしゃってください。

ありがとうございます。先生にいつも占っていただいているのは、
ボッティチェリの「ヴィーナスの誕生」をモチーフにしたマルセイユ版のタロットカードですよね。

ええ、そうですね。イタリアで15世紀に生まれた伝統的なマルセイユ版の流れを組んだカードです。

でもね、先生。私の持っているカードと先生のカード、ネットでいろいろ調べてみたんですけど…… 私の「ライダース ウェイト スミス」版というデッキは、8番 Strength(力)と11番 Justice(正義)になっていて、先生のと逆なんです!

これって不良品ですか?一番売れ筋で評価も高かったのに… だまされたんでしょうか?くやしいですっ!

まあまあ、ハルカさん落ち着いてください。よく聞いてくださいね。
お持ちの「ライダー ウェイト スミス」版というタロットデッキなんですが、この商品名について少しだけ知ってくださいね。

はい、わかりました。よーく聞いておきますね。


ええ、まず「ライダー ウェイト スミス」版のライダーというのはイギリスの出版社の名前です。ウェイトというのは監修者の名前、最後のスミスというのは、女性イラストレーターの名前なんです。

19世紀になってから発売されたので歴史が浅いんです。とはいえ、爆発的に大ヒットしたものですから、その後、2匹目のどじょうを狙ったほかの出版社からも多数の類似タロットカードが発売されたそうなんです。

へえ~、知らなかったです。友達が同じのを持っていると思ってパッケージを見てみたら、彼女のは「ウェイト スミス版」となっていたし、ネットのタロットカード専門店で調べてもあまりにも種類が多くって、よくわからなかったんですよ。

そうですよね、今や数百、いや数千種類のタロットカードが存在しますから、私も全部を把握しているわけではありませんから。

えーっ!先生が分からないこと、私に分かるわけないじゃないですか。

あはは、それでね。私のマルセイユ版の系統を踏む『ヴィーナス カード』は、15世紀に生まれ伝統的なタロットなので、「8番  Justice(正義)」「11番 Strength(力)」になっています。こちらが当然正解なんです。

やっぱり!じゃあなんで、そのウェイトさんは順番を換えちゃったんですか?
信じらんない!

ええ、ただなんせ600年以上も前のことなので、専門書を読んでも100%正しい答えは見つからないんです。
ただし、ハルカさん!これだけは言えます!ぜったいに!

ど、どうしたんですか? アイキ先生が興奮するところ初めて見ました!

あ、え、あっと… すみません。つい。

調べてみると、出版社ライダーのタロット初出版は1909年。
監修者のアーサー・エドワード・ウェイトですが、19世紀にイギリスで生まれた魔法(秘密)結社「ゴールデン・ドーン:黄金の夜明け団」に所属していたんだそうです。
その時、女性イラストレーターであるパメラ・コールマン・スミスに目をつけ、78枚の絵を描かせました。

のちに「ウェイト版」と呼ばれるカードは、アーサー・エドワード・ウェイト博士が、「黄金の夜明け団」の解釈に基づいて創作したものなので、占星術の暦の都合にあわせるため「獅子の絵柄」の「11番 Strength(力)」を勝手に「8番 Justice(正義)」と入れ替えてしまったのです。

ふぅ~、いやはや長くなってしましましたね。すみません。


いやあ… 
アイキ先生、本当にありがとうございます。まったく知らない事実を教えてくれて嬉しいです!

まさか、そんな理由で、勝手にカードの順番を換えてしまうなんて、まったくウェイトさんてひどい!

さきほども申し上げましたが… 600年前からつづく伝統を百数十年前に勝手に換えてしまったのですから、その誤りを正さないままのウェイト版タロットで占ってはいけないんですね。

よっく分かりました。なるほどなあ。えっ!でも、その間違ったカードを買ったり、間違ったウェイト版で占っている占い師さんって…

その問題は、また今度にしましょう。
さあ、時間がまだ大丈夫なら、これから鑑定しますよ。

ありがとうございます! じゃあ、お言葉に甘えて、お願いします!

(つづく)


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