学校では見たことのない姿だった。

学校では見たことのない姿だった。

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コラム
日曜日の朝。
窓を開けると、
やわらかな風が部屋の中へ流れ込んできた。

青い空。
雲はゆっくりと流れている。

「晴れた。」

思わず笑みがこぼれる。

時計を見る。
まだ待ち合わせまで一時間以上ある。

それなのに、凪はもう淡い水色のブラウスに袖を通していた。

鏡の前に立つ。
髪を整えてみる。
少しだけ前髪を直す。

「……変じゃないかな。」

言ってみてから、小さく笑う。
出かけるだけなのに。

こんなに何度も鏡を見るなんて、いつ以来だろう。

母がリビングから声をかける。

「今日はお友達と?」

「うん。」

「楽しんでおいで。」

その一言に照れくさくなって、

「行ってきます。」

とだけ返した。

駅へ向かう道は、いつもより少しだけ明るく見えた。

約束の時間より十分早く着いた。

改札の近くで待ちながら、人の流れをぼんやり眺める。
休日の駅は、平日とは違う空気が流れている。

買い物へ向かう家族。
部活へ行く学生。
旅行らしい大きな荷物を持った人。

その中に、見慣れた姿を見つけた。

「凪!」

陽菜だった。

白いブラウスに、淡いベージュのカーディガン。
デニム生地のロングスカート。
肩から小さなトートバッグを下げている。

学校では見たことのない姿だった。

凪は一瞬だけ言葉を失う。

「おはよう。」

陽菜が少し照れたように笑う。

「待った?」

「う、ううん。」

凪は慌てて首を振る。

「今来たところ。」

ありきたりな言葉だった。

本当は十五分も前に着いていたのに。

陽菜はそんなことには気づかず、

「よかった。」

と笑う。

その笑顔は学校と同じなのに、
服が違うだけで、どこか少し大人びて見えた。

「どうしたの?」

陽菜が不思議そうに首をかしげる。

「え?」

「さっきから、私のこと見てる。」

凪の頬がふっと熱くなる。

「あ……ごめん。」

「なんか。」

少し迷ってから、小さく笑う。

「いつもと雰囲気が違うなって。」

陽菜は自分の服を見下ろして笑った。

「制服じゃないから?」

「うん。」

「変じゃない?」

「ううん。」

凪はすぐに首を振った。

「すごく……似合ってる。」

その言葉を口にした瞬間、自分の顔が熱くなるのが分かった。

陽菜も少しだけ照れたように笑う。

「ありがとう。」

その短い一言が、朝の光の中へ溶けていく。

二人は顔を見合わせて笑った。

それだけで、今日一日がきっと楽しい日になる。

凪はそんな予感を、静かに胸の中で感じていた。

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