凪を傷つけるやつは……俺が許さない

凪を傷つけるやつは……俺が許さない

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コラム
チャイムが鳴り終わるよりも早く、
教室の空気がざわついた。

「ねぇ聞いた? 三條くんが――」
「信じられないんだけど。なんであの子?」

全員の視線が凪に刺さる。

胸がぎゅっと縮まる感覚。
机の奥で指が震えた。

(どうしよう……どうすれば……)

三條輝が凪に告白したという噂は、
たった半日で学校中に広がってしまった。

廊下から戻ると、
女子たちが三條の席を囲んでいた。

その中心に、
クラスの中心グループの一人――
冷たい眼差しをした 
神谷 玲奈(かみや れな) が立っていた。

「三條くん、答えてよ。
 なんでよりによって“あの子”なの?」

彼女の視線が鋭く凪を斬る。

凪は身体がこわばるのを感じた。

三條は少し眉を寄せ、落ち着いた声で返した。

「……誰を好きになっても、俺の自由だろ」

玲奈の顔つきが歪む。

「でもさ、あの子って……地味だし、影うすいし。
 三條くんと並ぶなんて無理があるでしょ?」

凪の心が痛む。

(言わないで……そんなの……)

教室の空気がさらに張りつめていく。

玲奈は凪を一瞥し、
吐き捨てるように言った。

「ちょっと優しくされたからって
 勘違いするんじゃないわよ。
 似合ってないんだよ。
 ねぇ、わかってる?」

言葉が刺さる。
呼吸が苦しくなる。

逃げたい。
でも足が動かない。

その瞬間――

「……お前、何言ってんだ」

低く、でも確かに震えた声が
教室の入口からした。

悠真だった。

顔は怒りで赤くなり、
拳が強く握られている。

「凪が何したっていうんだよ」

玲奈が挑発するように笑う。

「へぇ。庇うってことは、もしかして……」

言いかけた言葉を、
悠真が鋭い声で断ち切った。

「凪を傷つけるやつは……俺が許さない」

空気が凍りついた。

凪は息を呑む。

(そんな……言い方……)

玲奈は舌打ちし、
取り巻きとともに席へ戻っていった。

沈黙。

悠真はゆっくり凪の方へ歩いてきた。
凪は俯いたまま目を合わせられない。

「……凪、大丈夫?」

優しい声。

強がりたかったけれど、
喉がつまって言葉にならない。

悠真は凪の肩にそっと手を置いた。

「泣きたいなら、泣いていいよ」

その言葉で、
張りつめていたものが一気に崩れた。

凪の目から涙がこぼれる。

周囲の視線の中で――
悠真は静かに言った。

「凪は、俺が守る」

その瞬間、
クラス中の空気が揺れた。

誰もが、
ふたりの“関係の深さ”に
気づいた瞬間だった。
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