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ドライビングポジションの基礎とヒント 2/2

●ペダル
ペダルは、ステアリングホイールと同様に、限られたスペースの中で力を発揮します。
ペダルに影響を与える最も重要な3つの要素は以下の通りです。

1.ドライバーからの距離
足の動きが限られているため、ペダルはドライバーから適切な距離に置かなければならず、窮屈なスタートポジションから無理に伸ばしたり押したりしなくても、確実にペダルを踏み込むことができる必要があります。
ペダルの踏み心地はドライバーによって異なりますが、一般的には、長い距離を走るときに十分な力を発揮できるように、ペダルを踏み始めたときの脚の角度を90度以上にする必要があります。
ペダルを踏む時間が短かったり、ゆったりと座ったりする場合は、120度以上の角度が好ましいです。
下図は、90度と120度の角度を示しています。
PED1-2.png


2.レバレッジレシオ(テコの作用と比率)
一般的なレバーと同様に、レバレッジレシオによるペダルの移動量を考慮して、ドライバーからのペダルの距離を設計する必要があります(上記1)。
ペダルの移動距離が長すぎると、動作が疲れてしまうことがあります。
ペダルの移動距離が短すぎると、余計な力が入って疲れてしまうことがあります。

3.コントロール感度
感度について語るとき、ペダルトラベル(ペダルの移動量)は再び重要な役割を果たします。
ペダルトラベルは、最適なコントロールを行うために必要な精度に調整する必要があります。
例えば、アクセルペダルのストロークが短いと、荒れた路面では正確なコントロールが難しくなります。
また、クラッチペダルの踏み込みが短いと、クラッチの繋がりが早くなりすぎて、ギクシャクとなる動きの原因になることがあります。


●インフォメーション/メーター/コミュニケーション
ドライバーは、シート、ペダル、ステアリングホイールを通して見たり感じたりする路面に加えて、ドライバーのドライビングスタイルや行動を最適化するための情報を必要とすることがよくあります。

必要な情報は、車両やレース(該当する場合)の性質に対応したものでなければいけません。
例えば、燃料消費量の管理に大きく依存しているレースでは、燃料流量計が有用です。
また、ドライバーとコ・ドライバーやピットクルーがコミュニケーションをとる必要がある場合は、コミュニケーションシステムが必要となります。
また、車両の制御にスイッチが必要な場合は、ドライバーインフォメーションシステムの設計において考慮する必要があります。

レース車両やハイパフォーマンス車両には、レーシングカーと同様のニーズがありますが、情報の焦点は、得た情報から判断する適切な運転を確実にすることにあります。
つまり、燃料が不足していないか、エンジン冷却システムが機能しているか、適切な回転数でシフトしているか、などです。

1.メーター類
レース車両やハイパフォーマンス車両では、最も重要で頻繁に目にするメーター類は、ドライバーの視線に近い位置に配置する必要があります。
下図に示すように、視線から5~10°の範囲内であれば、ドライバーはコースから目を離すことなく、メーターの表示をすぐに確認することができます。
IGC1-2.png


2.レースにおける無線機
ドライバー同士の通信では、ラリーのような協力的なレース状況では、通信が非常に明瞭である必要があるため、高品質のノイズキャンセルシステムを使用する必要があります。
ドライバーからピットへの通信でも、同じ原理が適用されますが、より長距離の通信が行われます。

特にレースコースが起伏のある地形の場合は、無線機の種類とアンテナの配置を考慮しなければなりません(視線の届かない場所での通信となります)。
機器の品質が通信距離と品質を大きく左右するため、高品質のノイズキャンセリング無線機は必須です。

3.LCDディスプレイ/データ収集
ステアリング・ホイールをベースにしたデータ収集機能付きLCD/LEDディスプレイは、複数の計器を持つ代わりに1つの画面で済むため、非常に人気があります。

車両設計者がこれらのディスプレイを使用する際に考慮すべき点は、その明るさと反射防止の特性です。
直射日光の下では、光量の不足したディスプレイは消えてしまいます。
また、センサーの要求に応じたデータ収集の柔軟性や、ディスプレイをカスタマイズできるかどうかも考慮すべきです。

●コックピット環境
コックピットの環境は、乗り心地、温度、空気の流れ、騒音レベルなどによって大きく左右されます。

乗員が最適な状態で集中できるようにするには、極端な状態にならないように環境を調整するコックピットの設計が必要です。

路面の凹凸は、乗員の着座時に減衰させることで、車両の軽快なハンドリングはそのままに、乗員にクッション性を持たせることで、ある程度隔離することができます。

ドライバーの冷却はしばしば問題となりますが、車両の前部からコックピットに新鮮で冷たい空気をダクトで送ることや、エンジンや排気ガスからコックピットを隔離することで解決できます。


■ドライビングポジションの基礎とヒント (2/2まとめ)

・ドライバーの位置を決める
上記の方法と同様に、厚紙で作ったコックピットのモックアップを使って、ドライバーの着座位置を決めるのも有効なテクニックです。
ドライバーの下に板や支えを使い、ドライバーがリラックスできるようにするとともに、頭を適切な位置に置いて視野を確保します。
厚紙でステアリングホイールとメーターパネルを作り、ブロックでペダルの位置と移動量を示します。
視野は「ステアリングホイール」の位置で再確認してください。

・ドライバーの快適性を考える
ドライバーの快適性にも配慮します。
コックピットが十分に機能していても、環境要因が考慮されていなければ、乗員は疲れたり、暑かったり、ケガをしたりします。


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今回で「車の基本と製作のコツ」は終了となります。
いかがだったでしょうか?
あらためて文字で書きだす作業をしていくと、うまく纏められていたか不安になりますが、こちらの内容が何処かの誰かの一助になれば幸いです。

また、異なるテーマで何かお伝えできればと考えております。
その時はぜひご一読ください。
                                  轟
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