メールの「送信」ボタンを押したその0.1秒後。
指を離した瞬間に、なぜか胸がキュッと締め付けられるような、嫌な汗が噴き出るような感覚に襲われたことはありませんか。
「あ、添付ファイル忘れたかも……」 「宛先のお名前に敬称を付け忘れた気がする……」 「何か失礼な言い回しをしてしまったんじゃないか……」
そんな強烈な予感と不安に背中を押されるようにして、送信トレイや送信済みフォルダを何度も何度も確認してしまう。
無事に送れていることが分かっても、しばらくの間は心臓のバクバクが収まらない。
そんな経験、きっと誰もが一度や二度はあるのではないでしょうか。
実は、このようなご相談をいただく機会がとても多いんです。
送信トレイを何度も開いては胸を撫でおろす、そんなあなたの行動や心の動きについて、心理カウンセラーとして僕が感じていることをお話しさせてくださいね。
まず最初にお伝えしたいのは、送信ボタンを押した直後に不安になってしまうあなたは、決して「心配性すぎるおかしい人」でもなければ、「仕事ができない人」でもないということです。
むしろその逆で、あなたはとても優しく、相手のことを深く思いやれる細やかな気配りの人なのです。
メールという文字だけのやり取りだからこそ、「相手に嫌な思いをさせたくない」「失礼のないように届けたい」という温かい気持ちが、あなたの根底にしっかりとあるからこそ起こる反応なんですよね。
自分の発した言葉や行動が、相手にどう受け取られるかを真剣に考えている証拠でもあります。
僕自身、日頃からたくさんの心のお悩みに向き合っていますが、こうした「確認がやめられない」という不安を抱える方は、人一歩先まで気遣いができる本当に誠実な方ばかりです。
では、なぜボタンを押した「直後」に、あんなにも強烈な予感が襲ってくるのでしょうか。
それは、人間の心が「もう取り返しがつかない状態」になった瞬間に、リスクを回避しようとして過剰に警戒アラームを鳴らす仕組みになっているからです。
準備をしている最中や、文章を書いている最中は「修正できる」という安心感があります。
ですが、送信ボタンを押した瞬間、そのメッセージはあなたの手を離れ、コントロールできない世界へと飛んでいってしまいますよね。
コントロール不能になったと認識した脳が、「確認しなさい!」「何か忘れていないか!」と緊急シグナルを出してしまうのです。
だから、あの強烈な予感は、あなたの直感が何かミスを察知したというよりも、単に脳の警戒アラームが元気に作動しただけ、という場合がほとんどだったりします。
何度も送信トレイを確認して「あぁ、ちゃんと添付できてた……」と安心する作業は、疲れてしまいますよね。
でも、確認してしまう自分を「また気にしてしまった」と責める必要はまったくありませんよ。
「それだけ自分は、目の前の仕事や相手との関係を大切にしようとしているんだな」と、まずは自分の誠実さを認めてあげてくださいね。
もし送信ボタンを押した後に不安が襲ってきたら、ひとまず深呼吸を一つして、心の中で「アラームさん、教えてくれてありがとう。でも大丈夫だよ」と優しく声をかけてあげてほしいのです。
完璧なメールを送ることよりも、あなたが心をすり減らさずに、穏やかな気持ちで日常を過ごせることの方が、ずっとずっと大切なのですから。
万が一、本当に添付ファイルを忘れちゃっていたとしても、丁寧に一言添えて送り直せば、相手だって「誰にでもあるよね」と温かく受け止めてくれることがほとんどです。
あなたはもう十分に、しっかり頑張っていますよ。
少しだけ肩の力を抜いて、自分の優しさを誇ってくださいね。