セレクトショップの魅力/コンセプトから成功事例まで

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みなさん、こんにちは!
今回の授業は「セレクトショップ」について話していきます。
セレクトショップって、一言で言うと「自分たちの目線で選び抜いた商品を並べる店」ですが、実はその中身はとても奥深いんです。
例えば、ビームスやナノ・ユニバースのように、ブランドごとに異なるテイストを持ったお店がある一方で、ディエチ・コルソ・コモやコレットのようにアートと融合したショップもあります。
そして、それぞれのお店には「誰に何を提供するか」というコンセプトが、しっかり決められています。今回の授業は、セレクトショップの成り立ちや、マーケティング戦略、成功事例まで幅広く学んでいきましょう!

1. セレクトショップとは?、


みなさん、普段、「セレクトショップ」という言葉を耳にすることがありますよね。
今回は、まず、セレクトショップとは何なのか、基本から押さえていきましょう。セレクトショップとは、一言で言えば、「様々なブランドの商品を、一つのお店に集めて販売するショップ」のことです。
洋服のブランド直営店が、自社ブランドの商品だけを扱うのに対し、セレクトショップは、異なるブランドの商品をバイヤーが選んで仕入れています。
では、セレクトショップと、ブランド直営店では何が違うのでしょうか。
ブランド直営店は、そのブランドの世界観を全面に打ち出し、自社の商品ラインナップを、フルで展開します。一つのブランドを、深掘りして見せる場で、そのブランドのファンにとっては、聖地のような存在ですよね。ただ、扱うのは、あくまで自社ブランドのみです。
それに対して、セレクトショップは、お店ごとにコンセプト、(テーマやスタイル)を決めて、国内外の色々なブランドの商品を、組み合わせて展開します。「この店に行けば、自分の好きなテイストのいろんなブランドが、まとめて見られる」というワクワク感が魅力なんです。
どのようにセレクト、(商品選定)しているのか? セレクトショップのバイヤーは、各ブランドの展示会や、ファッションショーなどに足を運び、自分たちのショップコンセプトや、ターゲットに合った商品を、世界中から探して仕入れてきます。「これは、うちのお店にピッタリだ!」と思えるアイテムを目利きして集めてくるわけですね。
だから、セレクトショップに並ぶ商品には、お店ごとのバイヤーのセンスが、色濃く反映されます。例えば同じブランドの商品でも、あるセレクトショップには置いてあるけれど、別のショップには置いていない…なんてこともあります。それだけお店ごとにセレクトの個性が出るので、ショップごとに違った雰囲気やスタイルを楽しめるわけです。
セレクトショップの代表的な特徴としては、まず、「商品の編集力」が挙げられます。一つのお店で多彩なブランドをミックスし、トータルコーディネートの提案をしてくれるんですね。
店員さんが、スタイリストのように「このシャツには、このパンツを合わせると素敵ですよ」などアドバイスしてくれたり、お店全体で、統一した世界観を作って新しいファッションを提案してくれることも多いです。
また、セレクトショップ独自のオリジナル商品、(プライベートブランド)を展開している場合も増えています。
例えば、有名セレクトショップのビームスや、ユナイテッドアローズでは、自社企画のオリジナルウェアを販売していて、それが人気商品になっています。このようにセレクトショップは、一つのお店で、「センスの良いものを、あれこれ発見できる宝箱」のような存在と言えるでしょう。

2. セレクトショップの7つの形態について、


次に、セレクトショップには、どんな種類、(形態)があるのか見ていきます。一口に、セレクトショップと言っても、ビジネスモデルや、品揃えの特徴によって、いくつかのパターンに分けられます。
ここでは代表的な7つの形態を、ご紹介しましょう。それぞれの特徴を簡単に説明し、例も挙げてみますね。

1つ目は、コレクションブランド、感性バイイング型、

世界のトップクラスのブランドや、新進デザイナーのコレクションから、バイヤーが、自分の感性で選び抜いた商品を揃えるタイプです。
バイヤーの審美眼が命で、尖った高級アイテムが並びます。
リステアなどがこの例で、海外の新鋭デザイナー作品や、有名ブランドの最新作を独自の視点で仕入れており、まさにバイヤーの感性が光るお店です。

2つ目は、感性クリエイティブ型、

お店自体が、クリエイティブな発信源となっているタイプです。単に商品を売るだけでなく、ショップ独自の世界観や、ストーリー、空間デザインなど創造性あふれる演出を前面に出しています。店内ディスプレイや、内装からブランドの組み合わせまで、芸術的なこだわりが感じられ、ショッピング自体が、一つの体験になります。例として、ドーバー ストリート マーケットが挙げられます。川久保玲さん、(コム・デ・ギャルソン)が手掛けた、このショップは、店内が、前衛アート空間のようで、有名ブランドと、若手デザイナーの作品が、独特のキュレーションで混在しています。まさに、「体験するセレクトショップ」の代表格ですね。

3つ目は、コレクションブランド陳列型、

有名ブランドを、幅広く取り揃え、「ブランドの品揃えの豊富さ」を、打ち出しているタイプです。
一つの店舗の中に、有名ブランドのアイテムがずらりと並び、ある意味、デパートの高級フロアのようなイメージに近いですね。日本の例では、エストネーションなどが該当し、国内外の著名ブランドを数多く扱って高級感のある陳列をしています。
「この店に行けば、主要な人気ブランドはひと通り揃う」という安心感が魅力の形態です。

4つ目は、SPAバイイング型、

SPA、(製造小売)とバイイング、(仕入れ)を組み合わせたタイプです。
自社のオリジナルブランド商品を企画・、生産して売りつつ、他ブランドの商品も、仕入れてミックスしています。
日本の大手セレクトショップの多くが、この形態ですね。例えばユナイテッドアローズは、自社企画のオリジナル商品もあれば、海外から仕入れたブランド服も、同じ店に並んでいます。
自社開発商品で、利益率を高めつつ、他ブランドでバリエーションや、話題性を補うという、ハイブリッドな戦略です。

5つ目は、ライフスタイル、複合提案型、

ファッションだけでなく、生活全般の提案をするタイプのセレクトショップです。
洋服に加えて、雑貨やインテリア、小物、本、音楽、さらにはカフェなどを組み合わせて、「こんなライフスタイルはいかが?」とトータルに提案します。ファッションは、あくまでライフスタイルの一部で、お店に行けば暮らしのインスピレーションが、得られるのが特徴です。
例えば、ビームスは、洋服以外に、家具や雑貨、アートブック、音楽やカフェまで手掛けており、まさに、ライフスタイルショップ的な展開をしています。また、アーバンリサーチの「ドアーズ」という業態では、衣類だけでなく、食器や生活雑貨も扱っていて、服を見に行ったら、つい、雑貨も買ってしまうような楽しさがありますね。

6つ目は、SPA進化複合型、

セレクトショップが成長する中で、自社オリジナル商品の比率を高めた進化形です。
もともとは他ブランド仕入れ中心でも、徐々に、自社企画の商品が増えて主力になっているタイプですね。ただし完全なSPA専門店ではなく、培ってきたバイイングの感性も活かして、外部ブランドとのコラボ商品なども展開します。日本では、ナノ・ユニバースが、この例に近いでしょう。元々セレクトショップとしてスタートしましたが、現在では、自社ブランドの商品が多くを占め、トレンド感のあるオリジナルアイテムを、次々発信しています。
それでも、セレクトショップらしく他ブランドとの別注コラボなども行い、独自の複合的な品揃えを維持しています。

7つ目は、百貨店ブランド複合型、

百貨店のように、非常に多くのブランドを扱う大型セレクトショップです。
厳密には、百貨店とセレクトショップは別物ですが、この形態ではセレクトショップ的な編集方針を持ちながら、百貨店並みに幅広いブランドを揃えています。海外では、バーニーズ・ニューヨークや、ニーマン・マーカスなど、高級百貨店が、実質的に、セレクトショップ的な存在と言えます。店内に多彩なブランドの商品が並びますが、サービスや雰囲気は統一され、ショップ全体で、一つのコンセプトを感じられます。
日本でも、ユナイテッドアローズが自社の複数レーベルや、取り扱いブランドを一つの大型店に集約し、ミニ百貨店のように展開するケースがあります。
とにかく圧倒的な品揃えつつ、セレクトショップならではの統一感を、持たせているのがポイントです。
以上、セレクトショップの形態を7つ紹介しました。ただ実際のショップは、これらを、いくつか組み合わせて、独自色を出している場合が多いですから、「うちの店はこの型一本!」と綺麗に割り切れるものではありません。あくまで傾向として捉えておいてくださいね。

3. セレクトショップのコンセプト企画について、


次に、セレクトショップを運営する上でとても大事な、コンセプト企画についてお話しします。セレクトショップは、先ほどから何度も出ているように「お店ごとのコンセプト」が命です。コンセプトとはつまり、「どんな世界観・、テーマで、誰に向けて、どんな価値を提供するお店にするか」という基本方針のことですね。このコンセプトがしっかりしていないと、どんな商品を仕入れるべきかも決まりませんし、お店の雰囲気やマーケティングも、チグハグになってしまいます。ですから、開業や企画の段階で、コンセプト設計をきちんと行うことが、非常に重要です。コンセプト企画の重要性としては、まずコンセプトが、明確だとお客様にお店の魅力が伝わりやすくなるという点があります。「この店はフレンチカジュアルがテーマなんだな」とか、「ここはストリートファッションと音楽カルチャーを、融合させたコンセプトなんだな」と、パッと分かれば、その世界観が、好きな人が集まりやすくなりますし、リピーターにもなりやすいですよね。逆にコンセプトが、ぼんやりしていると「このお店は、何が、売りなのだろう?」とお客様に伝わらず、印象に残りにくくなってしまいます。コンセプトはお店の核となる部分なので、企画段階で、チーム内でしっかり議論して、練り上げる必要があります。では、ショップコンセプトの設計方法について、簡単に触れましょう。一般的には、まずターゲットとなるお客様像を、具体的に描くことから始めます。「自分たちの店には、どんな人に来てほしいか?」を想像するんですね。年齢層、性別、ライフスタイル、ファッションの好み、職業など、具体的なペルソナ、(人物モデル)を設定します。例えば「20代後半から30代で、仕事もプライベートも、おしゃれを楽しみたい男性」や、「最新トレンドに敏感な10代後半から20代前半の女性」など、具体的にイメージします。次に、そのターゲットが求めるスタイルや、価値観に沿って、お店のテーマやテイストを決めます。例えば「都会的でミニマル」、「アウトドアミックス」、「ヨーロッパのクラシック」など、コンセプトの方向性を定めるわけです。そして最後に、店名やロゴ、内装デザイン、流す音楽に至るまで、そのコンセプトに沿って統一感を持たせます。仕入れるブランドや、商品の選定基準も「このコンセプトに合っているかどうか」です。こうして、お店に一歩入った瞬間にコンセプトが感じられるような空間と、品揃えを作り上げるのが理想ですね。コンセプトを設計するときには、市場でのポジショニングも意識します。他のお店との差別化要素を、明確にする必要があるんです。「このセレクトショップならでは」のポイントですね。例えば、扱うブランドのラインナップで差別化するのか、価格帯で差別化するのか、あるいは接客サービスや内装の雰囲気で独自性を出すのか。差別化ポイントがはっきりしていると、お客様の印象にも残りやすいですし、競合と比べたときに選んでもらいやすくなります。さらに、マーケティング戦略も、コンセプトに沿って考えていきます。エリアマーケティングとターゲット設定、そして差別化要素を組み込んだプロモーション戦略が重要です。エリアマーケティングとは、お店を出す地域や立地の特性に合わせた戦略のこと。出店エリアにどんな客層が多いか、競合ショップはあるか、その街のファッション傾向はどうといったリサーチを行い、それにフィットするブランド選びや、宣伝方法を検討します。例えば若者の街なら、最新ストリートブランドを多めに仕入れるとか、オフィス街なら、働く女性向けのきれいめファッションを充実させる、といった具合ですね。ターゲット設定が明確になれば、宣伝・、集客の方法も定まりやすいです。そのターゲット層に、よくリーチできる媒体や手法を選びます。たとえば高校生から大学生がターゲットならインスタグラムや、ティックトックなどSNSでの発信を強化するとか、30代以上の富裕層がターゲットなら、雑誌広告や、招待制の顧客イベントを企画するといった具合です。また、差別化要素は、マーケティングメッセージそのものでもあります。「ここだけのなになにがある店」と打ち出せるポイントを作り、それを積極的にアピールします。例えば、「日本未上陸ブランド専門のセレクトショップ」や、「全商品サステナブル素材で揃えたコンセプトショップ」など、他店にない特徴があれば、それ自体が宣伝文句になりますよね。もちろん実現するには、相応の仕入れ力や情報収集が必要ですが、明確なコンセプトと差別化があれば、お客様にも伝わりやすくなります。

4. 成功事例とポイント


では次に、具体的なセレクトショップの成功事例を見てみましょう。日本国内の有名セレクトショップと、海外で伝説的といわれるコンセプトストアを取り上げ、それぞれ成功のポイントを探ってみます。まずは、日本国内の例です。代表的な成功例としてビームス、ユナイテッドアローズ、ナノ・ユニバースの3つを挙げます。

• ビームスについて、


1976年に、東京・原宿で生まれた、日本のセレクトショップの草分け的存在です。創業当初は、アメリカ西海岸のカジュアルウェアを直輸入で販売し、日本にはなかった新鮮なスタイルが若者に大ヒットしました。
その後、時代の変化に合わせて、メンズ、ウィメンズ、キッズからストリート系、高級ライン、インテリアや音楽レーベルまで、次々とレーベルを拡大し、ファッションだけでなく、ライフスタイル全般を提案する存在へと進化しました。
成功のポイントは、「時代の空気を読むセンス」と、「多角的な展開力」です。常に新しいトレンドやカルチャーを素早く取り入れ、お店のコンセプトや品揃えを柔軟にアップデートしてきました。
また、海外ブランドの販売だけでなく、自社オリジナルブランドも立ち上げ、ビームスのタグが付いたアイテム自体が、ファンに支持されるようになりました。
セレクトショップでありながら、ブランド的な存在感も持たせたわけです。さらに店舗ごとの雰囲気作りや、接客にも力を入れ、「ビームスで買い物するのは楽しい」という顧客体験を提供できたことも大きな強みでしょう。

• ユナイテッドアローズについて、


1990年代に登場した大手セレクトショップで、創業者はビームスの元店長です。
「ビームスにはない、大人の上品さを持った店を作ろう」との志で始まりました。ユナイテッドアローズは、上質で洗練された大人のファッションに強みがあり、海外の高級ブランドから国内の新進デザイナーズブランドまで幅広く扱いつつ、自社のオリジナル商品開発にも早くから注力しました。
成功のポイントは、「高品質で洗練されたイメージ作り」と、「卓越した商品開発力」です。店舗に足を踏み入れると、落ち着いた上品な雰囲気で、接客も丁寧、おいてある商品もクラシックで、質の良いものが多いので、「ここに来れば間違いない」という信頼感を、お客様に与えました。
また、他ブランドとの別注コラボ商品を毎シーズン展開したり、日本初上陸のブランドをいち早く紹介したりと、他店にない商品提案もうまく行っています。こうした取り組みで、ファッション感度の高い層の心を掴み、大型店を全国に展開するまで成長しました。

• ナノ・ユニバースについて、


2000年代に台頭したセレクトショップで、東京の渋谷や、原宿で若い男性向けのおしゃれな店として、人気を集めました。特徴は、ヨーロッパテイストのトレンドファッションを比較的手の届きやすい価格帯で、提供したことです。高級ブランドのような雰囲気を持ちながらも、価格は抑えめというバランスが、20から30代の男性客に支持されました。
成功のポイントの一つは、「マーケティングの上手さ」です。ファッション誌や、広告でスタイリッシュな世界観を打ち出し、「フレンチシックで、かっこいい自分」をイメージさせるプロモーションを展開しました。
また、自社のオリジナル商品開発にも積極的で、トレンドに合ったプライベートブランド商品を、次々リリースしてヒットさせています。さらに、比較的早くからEC、(オンライン通販)に力を入れ、ネットでの販売も伸ばしました。実店舗とオンラインを連動させる戦略で、店舗がない地域の顧客も取り込み、事業拡大につなげています。
続いて、海外の成功事例です。
セレクトショップに当たる業態は海外では「コンセプトストア」などと呼ばれることもありますが、その中でも伝説的なのが、フランス、パリのコレットと、イタリア、ミラノの10 コルソ コモです。

• コレットについて、


パリのサントノレ通りに、1997年オープンし、2017年に惜しまれながら閉店した、世界で最も有名なコンセプトストアの一つです。
3階建ての店内にはハイファッションからストリートウェア、アクセサリー、ガジェット、書籍、音楽まで幅広い商品がセレクトされて並び、「ここに行けば最新でクールなものが何でも見つかる」と言われる存在でした。
さらに店内には、ウォーターバーというオシャレなカフェも併設され、買い物とカルチャー体験が、融合した空間でした。
コレットの成功のカギは、その卓越したキュレーション力と発信力です。オーナーである母娘デュオが、抜群のセンスで世界中からアイテムを集め、まだ無名だったデザイナーや、ブランドを次々に紹介しました。
著名ブランドと、ストリートカルチャーのコラボレーションや、アートとファッションの融合イベントなど、当時、斬新な試みも積極的に行い、業界のトレンド発信地となっていたんですね。
また、「ここでしか買えない限定商品」を多く扱い、常に新しい発見と希少な体験が得られる場にしたことで、世界中のファッション好きが注目するお店となりました。

• 10 コルソ コモについて、


ミラノで、1990年に始まったコンセプトストアです。
創業者のカーラ・ソッツァーニ氏は、ファッション誌の元編集者で、当初この場所をギャラリー兼ブックショップとしてオープンしました。
その後、ファッションブティックや、カフェ、ホテルなども加え、「スローショッピング」を提唱する体験型セレクトショップへと発展しました。
店内は、まるでアートギャラリーのようで、ハイファッションのアイテムも、アートピースのように美しく展示されています。
成功のポイントは、アートと商業を融合した独自の世界観です。
常に店内で、アートの展示会が開かれ、新進アーティストの作品と、高級ファッションが同じ空間に共存することで、訪れた人は、単に買い物をする以上の刺激を受けます。
中庭のカフェで、くつろぎながらファッションと、アートについて語り合えるような、時間そのものを楽しめる場を提供したんですね。
10 コルソ コモは「見る、食べる、買う、寛ぐ」といった行為が一体となった体験を売ることで、他にはない魅力を生み出しました。
単に物を売るのではなく、ライフスタイルそのものを売ることに成功した例と、言えるでしょう。
これら、国内外の事例に共通する成功のカギは、どのお店も「明確なコンセプト」と、「他にはない独自の価値」を打ち出している点です。
ビームスなら「カジュアル&ライフスタイル提案」、ユナイテッドアローズなら「上質で洗練された大人の世界」、ナノ・ユニバースなら「トレンド感と手頃さの両立」。
コレットなら「最先端カルチャーのハブ」、10 コルソ コモなら「ファッションとアートの融合空間」。それぞれのお店が代えのきかないポジションを築いたことで、多くのファンを惹きつけ成功しているのです。

5. 今後のセレクトショップの展望について、


最後に、今後のセレクトショップの展望についてお話ししましょう。
時代とともに、小売業のあり方は変化しますが、セレクトショップも、例外ではありません。特に注目したいキーワードは、ECとの融合、体験型店舗の拡充、そしてサステナビリティ、(持続可能性)への対応の3つです。
まずはEC、(電子商取引)との融合です。ファッション販売においてオンライン通販は、今や欠かせない要素ですよね。
セレクトショップ各社も、公式オンラインストアを充実させたり、ZOZOTOWNのような、大型ファッションECモールに出店したりして、ネット販売に力を入れています。
これからは、単に、実店舗とECを両立させるだけでなく、オンラインとオフラインを、シームレスにつなぐオムニチャネル、OMOといった戦略が、ますます重要になってくるでしょう。
例えば、オンラインで在庫を確認して、店舗で受け取れるサービスや、店頭で試着だけして、後日、オンラインで購入できる仕組みなど、チャネルを跨いだ便利な体験を提供する動きです。
また、店舗スタッフがSNSでコーディネート情報を発信し、そのままECで購入につなげるといった試みも広がっています。
お店のファンコミュニティを、ネット上で育て、情報発信していくことで、遠方のお客様ともつながりを持てるようになります。
実店舗の魅力、(実物を見て接客を受けられる安心感)とECの利便性を組み合わせ、より多くのお客様にリーチする取り組みが、今後さらに加速していくでしょう。次に体験型店舗の拡充です。
何でも、ネットで買えてしまう時代だからこそ、リアルな店舗でしか味わえない「体験」の価値が見直されています。
セレクトショップでも、ただ商品を陳列して売るだけでなく、お客様にワクワクする体験を提供する店舗づくりが、重視されるようになっています。例えば、店内にカフェやバーを併設して、ゆっくり過ごせるようにしたり、定期的に、アート展示や音楽イベントを開催してコミュニティの場にしたり、販売員さんが、一人ひとりにパーソナルなスタイリングサービスを行ったりといった取り組みです。
商品を買う以上の楽しさや、学びが得られる空間にすることで、「わざわざその店に行く」価値を高めているんですね。
また、テクノロジーを活用した、新しい体験にも注目です。
店頭に仮想試着ができる鏡、(AR技術)を置いたり、スマホアプリと連動して、商品の詳細情報やコーディネート例をその場で見られるようにしたりと、デジタル技術を取り入れて、ショッピング体験を進化させているお店もあります。
「単なる買い物」を超えたエンターテインメント性のあるセレクトショップが、今後増えていくでしょう。
最後にサステナビリティへの対応です。
ファッション業界全体で、環境や社会に配慮しようという動きが高まっていますが、セレクトショップでもこの持続可能性は、重要なテーマになっています。
具体的には、エコフレンドリーなブランドや、リサイクル素材のアイテムを積極的にセレクトして紹介したり、フェアトレード、(公正貿易)の商品を扱ったりといった取り組みがあります。
お客様側も、サステナブルなファッションに関心が高まっていますから、「環境に優しいおしゃれ」を提案できるセレクトショップは、これからますます支持されるでしょう。
また、店舗運営においてもプラスチック製ショッピングバッグをやめて、エコバッグを推奨したり、省エネの照明を使ったりという工夫が見られます。さらに一歩進んで、古着のリユースやアップサイクル、(リメイク)を取り入れたセレクトショップが登場する可能性もあります。
従来は、新品のブランド品を売るのがセレクトショップでしたが、これからは「価値あるものを長く大切に使う」というコンセプトで、ヴィンテージ古着や、リメイク商品をミックスするショップが増えるかもしれません。
サステナビリティを打ち出すことは、「時代に即した意識の高い店」というブランドイメージ向上にもつながるので、今後の重要な戦略の一つとなるでしょう。以上、セレクトショップの概要から種類、コンセプト企画、成功事例、そして、今後の展望まで一通りお話ししました。
振り返ってみると、セレクトショップというのは、お店ごとに一つの物語があるように思えませんか?商品の仕入れ方から店作り、売り方に至るまで、それぞれのショップが創意工夫を凝らして、個性を発揮しています。
その分、お客様にとってはいろんなお店を巡る楽しさがありますよね。ぜひ皆さんも、自分のお気に入りのセレクトショップについて「どんなコンセプトなんだろう?どんな戦略で魅力を出しているんだろう?」と考えながら訪れてみてください。きっと新たな発見があるはずです。
それでは今日の授業はここまでです。お疲れ様でした!
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